麻雀界隈探訪② | 麻雀新聞

麻雀界隈探訪②

麻雀界隈探訪②

麻雀ファンのあなたにも、意外に知られていない麻雀に関する事柄を
麻雀好きのプロマジシャン・向町テツロー氏が隅々まで探訪。
第1回目の今回は、麻雀牌製造業者に聞く麻雀牌が出来るまで。
これを読んだらもう麻雀牌を強打するなんてありえない!

削ってのち、磨いて、磨いて、磨く

 金型から出てきた麻雀牌は冷まされた後、別の部屋で削られることになる。
 というのも、金型から出てきた麻雀牌はやや台形になっており、また冷える時に若干「ヒケる」ので、側面が歪んでいるからである。
 側面の4面を彫刻面と垂直になるように削ると、見た目にはほぼ完成のように思えるが、この時点では牌のエッジがすべて立っており、ツモったり盲牌したりすると指がかなり痛い。
 そこで次は、研磨工程に入る。麻雀牌60セット程度を、商店街の福引でつかうガラガラを巨大化したような機械に研磨剤と共に入れ、約10時間グルグルと回しっぱなしにするのである。これでまずほとんどのエッジが落ちて、なめらかなフォルムを持つようになる。
 次に、5㎜〜10㎜程度の竹チップを使って同じように巨大ガラガラに入れてグルグル回す。
 さらにコンパウンドで牌を磨き、最後の仕上げに「綿の実」と呼ばれる3㎜程度の綿の玉と共に巨大ガラガラで20分ほど磨けば、文字に色が入ってない以外は、普段我々が目にするピッカピカの麻雀牌の出来上がりである。

選別して、色入れ

 ピカピカに磨き上げられた牌は、微妙な色味に合わせて選別され、ようやくここで1セットの麻雀牌として牌皿に入れられる。そして、職人さんの手によって一牌一牌丁寧に色を入れられていくのである。
 ところで、一般的な麻雀牌の彫刻面に使われている色が何色あるかみなさんはご存ですか?
 僕はこの時まで知りませんでしたが、実はたったの5色しか使ってないんですね。ちょっと意外でした。黒が萬子と筒子と風牌赤が萬子と筒子と索子と中緑が索子と發あと、特別な一色が1索に、明るい赤が「赤5」に使われているそうです。
 青色と表現されることが多い筒子ですが、実はあれも字牌と同じ黒だったんですね。

フィルムで包んで、最後に磁石を《入れる》

 色入れ、乾燥の終わった牌は種別ごとにキャラメル包装され、最後に「磁石を入れる」作業を施されることになる。
 実は金型成形時にタケ側に入れる「磁性体物質」は、この時点では1ガウスも磁力を帯びていない。この「磁性体物質」は、着磁装置という特殊な装置に通されることによって一気に磁力を帯びるのである。
 キャラメル包装された麻雀牌のセットを着磁装置に通すと、麻雀牌の中に埋め込まれた磁性体物質は一瞬にして磁石に生まれ変わり、この作業を以って全自動卓用の牌は出来上がりとなるのである。
 ちなみに、手打ち用の牌は、着磁装置に通さないだけで牌としては同じものである( もちろん磁性体物質も入っている)。
 ※全自動卓の種類によっては牌のほうに磁力を求めない機種もある。この場合、牌の中には鉄片が入っており着磁装置には通さない。

たかが麻雀牌されど麻雀牌

 全行程を見終わった後、森さんは「もっと簡単に作ってると思ったでしょう?」と仰った。
 確かにもっと簡単に1セットずつポンポン製造していると思っていた。
 まさかユリア樹脂の微妙な違いによって色ムラが出来たり、最初の研磨に10時間もかけたり、何10セットもある中から最適な組み合わせの1セットを分別してるなどとは、これっぽっちも予想していなかった。
 おかげで、ほとんどの麻雀牌が適正な値段で販売されていることもたいへん良く理解できました……。
 正直言って、高くないです、麻雀牌。
 その後、森さんから麻雀牌の色々な話を伺った。

 最新の牌には識別用のRFタグが入っているものがあるということ。
 ここ数年徐々に大きくなっていった牌だが、最近は逆に縮小傾向にあること。
 そして牌が小さくなっても余白を少なくして文字のサイズは維持していること。
 さらに字を読みやすくする特殊な彫りについて、などなど。

 話を伺ってよく判ったのは、麻雀牌は未だ進化の途中で、枯れ切った技術ではないということ。そして麻雀牌を製造するというのは、ゲームとしての公平さを保証するという意味で常にガン牌との戦いなのだなとしみじみ実感しました。大変な仕事ですよ、本当に。ゲーム中うっかり落としてしまったり、気持ちが昂って思わず強打してしまったりする牌だけど、今後は丁寧にそっと扱わせて頂きます。

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