麻雀界隈探訪①

麻雀界隈探訪①

麻雀ファンのあなたにも、意外に知られていない麻雀に関する事柄を
麻雀好きのプロマジシャン・向町テツロー氏が隅々まで探訪。
第1回目の今回は、麻雀牌製造業者に聞く麻雀牌が出来るまで。
これを読んだらもう麻雀牌を強打するなんてありえない!

耳に成ると書いて「耳成(みみなし)」

「耳に成るのに『みみなし』とはこれ如何に」な地名、それが奈良県橿原市にある耳成。
 大阪(梅田)からならJR⇒近鉄大阪線と乗り継いで約1時間半の道のり。駅周辺にも特に大きな建造物がない静かな街だが、実はここは西日本で最大級の麻雀牌製造拠点なのである。
 お邪魔したところは森工業株式会社さん。現在流通しているほとんどの全自動卓用麻雀牌と一部の高級手打ち麻雀牌を製造している会社である。
 我々の応対をして下さったのは専務取締役の森一義さん。笑顔の絶えないやさしいオジサン、といった感じの人である。

秘密は何もないでも写真はNG

 説明に入る前に、いきなり森さんから注意が入った。

「今日は説明はしますけど、写真撮影は無しで」

 えっ、これはなんとも残念。しかし仕方がない。製造工場では良くある話である。

「それはやっぱり特許とか秘密とか……」

 と恐る恐る訊いてみると、

「いや、別に。なんでも訊いて下さい。なんでも教えますよ」

 とニコニコ顔の森さん。単に写真を撮られるのが嫌いということらしい。
 いずれにしても、麻雀牌の製造工程の写真が撮れないというのはちょっと残念である。
 応対用のテーブルに着くと「こうやって麻雀牌を作ります」と言って森さんが3つの部品を出してこられた。
 それぞれ麻雀牌の「背の部分」、「本体部分」と中に入れる「磁石」である。
 背の部分は通称「タケ」と呼ばれていて、内側に磁石を入れるための溝が掘ってある。タケは本体側との食い付きを良くするためか、内側は本体の3分の1程の高さがあり、横から見るとタケ側が凸、本体側が凹の形になっている。そして、この3つをギュギュッと圧着して1つの麻雀牌になるのである。
 ここで森さんが麻雀牌の製造工程をひと通り説明して下さったのだが、なにせ目の前にあるのは数個の麻雀牌のみ。理屈は判るが実感が伴わない。

「まあ、今言うても判らんでしょう。現場で説明しましょか」

 森さんはこう言うと、我々を先導して事務所の隣にある建物に入っていった。

原料は意外な会社からやってくる

 その建物は、原料からタケと本体部分を作り、さらに一体化までしてしまう工場で、ここで麻雀牌の90%は形作られる。
 麻雀牌はユリア樹脂という熱硬化性樹脂で出来ているのだが、硬化前のユリア樹脂はサラサラでフワフワの粉末状である。
 余談であるが、この粉末状ユリア樹脂、なんとパナソニック製なのである。ちょっと意外でした。
 さて、この粉末状のユリア樹脂をたこ焼きよろしく金型に流し入れ、約150度・20トンで2分間加圧加熱すると、例のカチコチに固まった麻雀牌の原型が出来る訳である。簡単に手順を説明すると

  1. タケの金型にユリア樹脂を入れ、加圧加熱スタート
  2. 本体の金型にもユリア樹脂を入れ、加圧加熱スタート
  3. タケが出来上がったら磁性体物質を入れる
  4. 本体が出来上がったら、磁性体物質の入っているタケと重ね合わせ、再度加圧して圧着
  5. 金型から抜いて出来上がり!

 とこうなる。
 ユリア樹脂の流し込みから麻雀牌の形になるまで、時間にしておよそ10分程度。手順自体は簡単そうに思えるが、とても重い金型や補助器具をとっかえひっかえしないといけない上、麻雀牌は常にアツアツの状態で出てくるので、かなり大変そうである。
 そして、大変なことがもう1つ。それは原材料のユリア樹脂の粉末に起因することであるが、「ガン牌」対策である。本来のユリア樹脂は無色透明なのだが、納入される粉末はすでに着色済で、この色が麻雀牌の成型色となる。
 しかし、実はこの色、ロット毎に微妙な差異がある。この色の違いは普通にモノを作る場合は特段問題になるほどではないのだが、麻雀牌の場合には非常に大きな問題になる。ガン牌になってしまうからだ。
 また同じロットであっても、保存の状態、その日の気温、成形時の微妙な温度の違いなどで色が変わってしまう場合があり、これらも当然ガン牌になってしまう。
 同じ日に、同じ材料、同じ機械で同じように作っても、微妙に色合いが変わってくる。これが麻雀牌を作る際の一番大きな問題なのである。

ガン牌を作らない工夫と労力

 素人考えでは萬子、筒子、索子、字牌と牌の種類ごとにラインを設けて分業で作成すれば「アッという間に」1セット完成、と思うのだが、実際の現場ではそう簡単に事は運ばない。このように製作するとラインごとに麻雀牌の色味が変わってしまうからである。そこでこの工場では、全種類の牌を一度に2個ずつ作成し、何10セット分かまとまったところで色味の似ている牌同士を組み合わせ、再び1セットとして揃え直しているのである。これはまったく予想していなかった労力である。
 わたしは麻雀牌は1セットずつポンポン作っていると思っていたので、この工程にはかなり驚かされた。しかし、この工程を経ないと、いくらユリア樹脂で作ったといえど竹牌と同じような「ガン牌だらけ」のセットになってしまうのだそうだ。
 そして、このような工程を経るため麻雀牌には基本的に補充牌の概念がないのである(使用中のセットと同じ色味の麻雀牌を用意出来ないため)。

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