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麻雀コラム「麻雀店経営サポート」 従業者名簿をしっかり完備し 警察の立ち入り運用基準を理解して 2024年も安全な店舗営業を! 行政書士・社労士:荒木康宏
■風営法取得後
風営法は取得してそれで終わりではありません。施設内の改装や変更が有れば構造変更の申請をしなければなりませんし、管理者が変わった場合には、管理者変更の届け出をしなければなりません。
許可の更新は他の許認可と異なりありませんが、変更に関する届け出は多くあります。
許可取得後の手続きに加え、風営法許可店には警察の見回りが付いて回ります。許可の管轄が公安委員会なので、抜き打ち検査は仕方のないことです。
今回は、2024年に警察が来ても問題なく対応できるように、事前対策と事後対策に分けて、警視庁発表の最新の解釈運用基準を引用しながら解説します。
■事前対策・従業者名簿の完備
風営法の許可取得後に必ず作らなければならないのが、従業者名簿です。警察が見回りに来たときは、この名簿の有無を確認してきます。この名簿が無いと、結構大事になるので、必ず備え付けて下さい。解釈運用基準では、35条以下に細かく規定されています。
【第35条 従業者名簿等について】
⒈従業者名簿の完備
・従業者名簿の記載については、雇用契約のある労働者に限るものではないが、労働基準法に基づく労働者名簿の記載により従業者名簿に代替できる場合には、別に従業者名簿を作成することを要しない。
《解説》上記のとおり、労働基準法に基づいた雇用契約書がある場合には、名簿の作成は不要となりますが、現実問題として、雇用契約書は作成している所は少数だと思うので、労働者名簿を作成しておかなければなりません。
・業務の一部が委託される場合において、当該委託業務に携わる従業者も従業者名簿に記載することを要する。
《解説》自前の労働者分だけでなく、派遣や単発で来ている労働者の名簿も備え付けなければなりません。簡単に言うと、その事業所で働く者全員の名簿を備え付けておかなければなりません。
⒉従業者の生年月日等の確認
⑴確認を必要とする従業者
上記従業員全員分の確認が必要です。年齢確認が従業員名簿の中でも重要性が高いです。未成年者保護の観点から、年々年齢確認は厳格化しています。
⑵確認を必要とする事項
確認すべき事項で最近では外国人に関する解釈基準が設けられました。
・接客従業者の生年月日及び国籍については、接客従業者が日本人であるか外国人であるかにかかわらず、必ず確認しなければならない。
《解説》最近では外国人労働者も増えています。外国人だから適用外ではありません。むしろ、外国人の方が煩雑です。就労制限の有る在留資格と無い在留資格が分かれているので、そこだけ注意してください。
[就労制限の無い在留資格]◎特別永住
◎永住
◎日本人の配偶者等
◎定住者
これらの在留資格を有していれば、就労制限はないので、麻雀店で就労することは可能です。
[その他在留資格]その他の在留資格は、就労制限があるので、麻雀店で就労することはできません。
この中で注意しなければならないのは、「資格外活動」を有している外国人です。留学生で多いです。在留カードの裏に資格外活動のスタンプを押されていますが、資格外活動は風営法業務に従事禁止と書かれているので、雇うことはできません。
⑶確認に用いる書類
本人確認及び名簿と共に保管しておく資料に関しては、以下のとおり決められています。
・「当該者の生年月日及び本籍地都道府県名の記載があるもの」としては、例えば、船員手帳、小型船舶操縦免許証、身体障害者手帳、猟銃又は空気銃の所持許可証がある。一方、国民健康保険の被保険者証や児童扶養手当証書は、本籍が記載されていないことから、これに当たらない。
《解説》この中でポイントは、「本籍記載書類」であることです。警察は、本籍地で犯罪履歴を管理しているらしく、住所地でなく本籍地を確認したがります。なので、本籍地を確認できる書類の保管が重要です。仮に住民票を提出させるのであれば、本籍地入りにしてください。実際に、見回りに立ち会ったとき、この点は結構しつこく言われたことがあります。
■事後対策・見回り時の対策
正直、警察と喧嘩しても良いことはありませんし、最後は面倒臭くなり根負けすることもあると思います。しかしながら、こちらも根拠に基づいて不当なことは不当と言えるようにしておければ警察も一目置いて早めに立ち入りも終わると思います。ただし、これも上記の従業員名簿がしっかり完備されていることが前提ではあります。
【第36条 報告及び立入りについて】
⒈立入り等の限界
・立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内、必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行ったりすること等は、認められない。また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。
《解説》基本的人権の尊重の観点から、風営法の調査に必要な範囲内で必要最低限の調査に留めるべきとの発想です。風営法と関連性の無い税務関連の書類は拒否することが可能です。よく聞くのが、売り上げ帳簿を見せろと言われたというものですが、これは拒否できます。「法的根拠は何ですか?」という言葉を公務員は嫌うので、これを使うのもありです。ただし、一般的な立ち入り調査ではなく捜査令状持参の調査だと素直に提出しなければなりません。
⒉報告又は資料の提出の要求と立入りの関係
・立入りは、直接営業所内に入るものであるため、営業者にとって負担が大きいので、報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない。
《解説》必要最低限の調査なので、名簿や添付資料の提出があれば警察は大人しく帰りなさいというものです。なので、書類を渡してお引き取り願うのが賢明です。
⒊報告又は資料の内容及び種類
・報告又は資料の提出を求めることができる場合における内容及び種類は、次のものに限られる。
ア 当該営業に関連する報告又は資料に限り、営業者等の私生活に関するもの及び兼業している営業がある場合における専ら当該兼業に係る営業に関するものには及ばない。
イ 法の目的の範囲内で行う指導監督等のために必要な報告又は資料に限り、法の目的に関係のない他法令の遵守状況等に関するものには及ばない。
ウ 法に基づく指導、監督等を行うため必要最小限度のものに限る。
《解説》調査権の濫用を未然に防ぐために、必要最低限の範囲に限定をしています。あくまで、犯罪の捜査と異なり、是正を目的とした現状調査なので、営業者の負担にならないように定められています。
⒋報告又は資料の提出の回数
・報告又は資料の提出を求めることができる回数については、この法律の施行に必要がある場合につき、原則として1回とする。ただし、その提出要求が十分に履行されない場合は、更に追加要求することを妨げるものではない。
・報告又は資料の提出の要求手続等
ア 当該要求は、通常は文書で行うものとする。
イ 資料の提出を受ける場合にあっては、相手方にその返還の要否を確認し、返還を要する資料については、できる限り速やかに返還することが必要である。
《解説》調査の資料の請求は1回で終わらせて調査の円滑化を図るものです。
■立入り
⒈立入りの対象となる営業所等
・法は、「風俗営業の営業所」及び「特定遊興飲食店営業の営業所」に立ち入ることができると規定しており、許可を受けた風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所に限られてはいないことから、無許可の風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所であっても立ち入ることができる。なお、その事務所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出すれば、他の都道府県の区域においても当該営業を営むことができるものであるから、当該営業の「事務所、受付所又は待機所」に立ち入ることができる警察職員は、その所在地を管轄する都道府県警察の職員に限られない。
《解説》考えれば当たり前のことですが、許可店や届出済店だけが対象になるわけではありません。当然ですが、無許可店も立ち入りの対象となります。そして、立ち入りなので、管轄内の警察署員にも限定されません。
⒉立入りの手続及び方法
・ア 立入りは、公安委員会の定めるところにより行い、事後において報告書を作成し、これにより幹部に報告するとともに、これを保存する必要がある。
イ 個室又はこれに類する施設内に立ち入る場合にあっては、事前にノックするなどにより客が在室しないことを確認する必要がある。
ウ 調査の必要上質問を行う場合にあっては、原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、営業者側への質問で十分に目的を達しない場合に限り行うこととし、通常は行わないようにすることとする。
エ 営業時間中に立入りを行う場合には、できるだけ営業の妨げとならないようにする必要がある。
《解説》特にウが重要です。営業時間中に警察が立ち入りに来ることもあるでしょう。その際、いきなりお客に質問することは運用規定から逸脱しています。なので、質問を店にするように主張することができます。
■まとめ
上記の内容を頭の片隅においておければ、警察の立ち入り調査も怖くはありません。ただし、立ち入り調査での主張は、従業員名簿をしっかりと備え付けているのが前提なので、備え付けていない麻雀店はしっかりと年齢確認・本籍確認の出来る書類を添付して作成をしてください。ほとんどの場合、従業員名簿を確認して警察は帰っていきます。
名簿を備え、立ち入り運用基準を覚えて2024年も安全に店舗の営業をしてください。
文:荒木康宏
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