新式麻雀タクティクス 第13回

皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。前々回より、「麻雀の守備」について、色々な戦術を紹介できればとお話しています。

さて、今回ですが「ノーテン罰符」についてお話してみたいと思います。

以前も書いたとおり、麻雀は何もせずとも失点していくゲームです。その大きな原因となっているのが、この「ノーテン罰符」です。いわば局の参加料で、自分が攻撃している時間以外は、常にツモられによる失点か、罰符による失点がついてまわります。どんなに放縦を避けるのが上手くても、この小さな失点をも抑えることができなければ、守り切ることはできません。

だから攻撃こそ重要になっていると以前はご紹介したわけですが、今回は守備です。すなわち、この「ノーテン罰符」を払わないで済むようにするために、できることをやってみようというのが、今回のテーマなのです。

◎罰符は重い!

「麻雀はノーテン罰符で決まるものではない」という言葉も耳にしますし、つい最近まで、このノーテン罰符を戦術に取り入れてくるということは少ない傾向にあったようですが、今は、むしろ積極的に取り入れていこうという流れがあります。その理由は、1000~3000点という失点と、反対にテンパイ料をもらえたときとを比べると、収入としては天地の差があると、その価値が認められるようになってきたということです。

たとえば、ある1牌の危険牌をリーチに対して通せば、自分は形式テンパイが取れるとします。それがまだ中盤ならば、自分にアガリのない形から押していくのは無謀なので押さないでしょう。しかし、もし最後の1巡であれば、その牌を止めてオリた場合1000点の罰符、押して通った場合1500点の収入ということになるので、差し引き2500点違うということになります。

なんだ2500点か、安いな、それでリーチに放縦したらどうするんだ……と思うでしょうか。しかし、今一度考えてみてください。この2500点というのは、確定の収支です。麻雀は、満貫のリーチをかけているときでも、8000点の収入が確定しているわけではありません。平均すれば4500点程度の収入は見込めるでしょうが、表面上大きく感じてしまう打点というのは、実は不確定な収入なのです。

それを考えるとこの確定2500点の重みはなかなか馬鹿にできないものがあります。ある1牌を切ればテンパイというのなら、たとえそれが5回に1回満貫に放縦する牌だとしても、残りの4回で2500点ずつ得になるのですから、十分にカバーできています。

さらにいえば、残り巡がないなら、自分の役や打点はさほど意味を持ちません。つまり形式テンパイであっても、たいていの場合は切ってテンパイを取るのが長い目で見て得になります。

最近では映像対局でもそういった選択が多く見られるようになっていますが、もしそれで放縦してしまう場面を目にしても、「形式テンパイから放縦するとは何事か」ではなく、2500点を軸に押し引きをしているということに注目すると、面白い見方ができると思います。

◎形式テンパイを維持するために

牌図A 麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子3麻雀牌 萬子4麻雀牌 筒子4麻雀牌 筒子5麻雀牌 索子7麻雀牌 索子8麻雀牌 索子9麻雀牌 西麻雀牌 西      麻雀牌 萬子8麻雀牌 萬子6麻雀牌 萬子7
15巡目 西は2枚切れ

牌図B 麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子3麻雀牌 萬子4麻雀牌 索子7麻雀牌 索子8麻雀牌 索子9麻雀牌 西     麻雀牌 筒子5麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子4   麻雀牌 萬子8麻雀牌 萬子6麻雀牌 萬子7

 

このように、終盤は、アガリに向かうというより、テンパイに向かい、それを維持するという攻防が一方で始まります。牌図Aは、どのみちのみ手で安いし、終盤なので鳴ける牌が出て形式テンパイを取ったところ。一息ついて安心するところですが、それで終わらず、この手にはまだやっておくべきことがあります。

それは、③⑥が上家からこぼれたら、チーして西落としに入ることです。自分で③⑥を引いても同じく西を落とします。つまり、このままでは危険牌をもってきた場合、切らないとテンパイが維持できず、困るので、それを避けるためにまず自分のツモ番を飛ばし、さらに「安全牌単騎」の形にテンパイを組みかえることで、危険牌を1枚は吸収できるようにしておくのです。

そしてさらにいえば、牌図Bのように西落としに入ってもまだやることがあります。それは二三四789が上家から切られたら出来メンツからチーして「今通ったはかりの牌単騎」にすることです。すなわち、理屈はさきほどと同じで、ツモ番の拒否と「安全牌単騎」の形でテンパイを維持するのが目的です。この巡に危険牌をツモり、その牌単騎にしたあと、さらに次巡危険牌をもってくれば、もう切るしかなくなります。それを避けるのが狙いになります。

◎終盤の攻防は一つの見所

終盤の攻防といえば、各者大きな手ができてきて、それがぶつかり合うということで、今も昔も麻雀の醍醐味ですが、最近はさらにこのテンパイ料争いが加わって、また違う面白さがある見所となっています。

テンパイを維持する鳴きだけでなく、自分がノーテンで複数の他家がテンパイ濃厚と見るや、鳴きでテンパイを装って形式テンパイ者をおどしたり、形式テンパイをとっていそうな誰かに海底を押し付けたり、わざと1000点に差し込んだりと、あらゆる手段で、失点を最小に抑えようという努力が見られます。

テンパイ→アガリは神のみぞ知るところですが、テンパイ料ならもう少し手の届くところにありそうです。工夫の効果も大きく、すぐに実践できるので、最終盤の戦いを制するべく、色々と試してみることをおすすめします。

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