【追憶の麻雀】第88回「激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【3】」

追憶の麻雀

麻雀新聞第274号 1998年(平成10年)5月10日

激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【3】

だまし売りの時代は去り 他人より勉強したものが勝つ

消費者の目で週1度 店の周辺を観察せよ

 

30年以上、新製品の企画をしてきたり商品の本当の原価を知ってしまうと、バカらしくて買う気がなくなる。原価100円のTシャツに20円でブランドを印刷して4千円で売る世界がまだ存在している。アナログ時計の中身の機械と文字板のコストは250円で、あとはデザインとベルト代と知ってから、千円以上の時計は持たなくなった。カード電卓が100円で市販されていても、原価を知っているだけに驚かない。

「日本は製造業が強い」と政府は言っているが、それは一部の原材料やハイテクメーカーについてだけだ。その他の製造業は稼働率の低迷と人余りで泣いている。

大企業のコスト低減のコンサルティングもしているが、「発注価格は原価割れでもできる」とアドバイスしている。製造業は最低限必要な稼働率を得るために、定期的・安定的な受注には必死になる。だから、適正な原価を勉強すれば、「うちの発注を機械の償却と人件費に充てて、利益は他社から得てよ」と言える。

どんな商売でも、だまして売り付ける時代は去って、他人より勉強した者が勝つようになった。

スーパーとデパートの売り上げがダウンしたと記事になった。売り上げが伸びるという前提や、サービスより看板を重視する経営が破綻するのは、大昔に欧米も経験している。

「日本はあらゆる点で欧米より30年遅れている」と亡父に言われて憤慨したものだが、経験を積み、多くの本を読んで、やっと、なるほどと実感するようになった。40年ほど前の映画「理由なき反抗」の中で、ジェームズ・ディーンが大型冷蔵庫から取り出した1リットルビンのミルクをラッパ飲みした。その絵は、日本では今でこそ普通だが、その当時は信じられなかった。

20年ほど前にアタリ社のテレビゲームが米国の家庭で問題になった。それを忘れてプレイステーションが世界を席巻しているなどと言うのは、「日本が一番」の言葉に酔いしれる国民性の表れだろう。校内暴力・ナイフ事件・覚醒剤の普及は、来るべきものが来ただけで、次に来るものを意識しながらでないと適切な対処ができない。良い意味でも悪い意味でも先達から歴史を学んで、恐ろしい風が頭の上を早く通り過ぎるようにするしかない。

小さな店は、ビッグストアと同じやり方では成り立たない。よほどの個性がない限り、単独店では生きていけない。変化する地域社会の中で共存していくには、他店への助力も必要だ。街に魅力がないのに自分の店だけ繁盛するという事例は少ない。現状から自店の顧客の分析をして魅力あるサービス内容にしても、町がさびれては将来はない。

1週間に一度は「消費者の目」を持って周辺を観察することだ。他店の改廃やイベントによって、人の流れの変化が分かるようになる。それを続けると、微妙な変化にも敏感になって、店の置き看板やポスターの位置、角度まで気になるようになる。

「考える」ということは、学歴や記憶力の差ではなく、難しいことではない。現実を見つめ、自分を知ろうとすることを続けると、視野がだんだん広がり、周りも見えてくる。見えてくると、その環境に融和するようになる。個々の店が同じようにすると、街全体が魅力あるものになる。

実は、以上のことはビッグストアづくりに酷似している。金と人材に恵まれず、意思統一が取れにくい商店街は、ビッグストアから利用できる良い点だけを学び取るべきだろう。

もともと趣味でもあったが、高齢者福祉施設の運営マニュアルづくりの仕事で、3カ月分のメニューを作成した。1食で4品、90日で合計1000品ていどのおかずを自分で作れるからできたことだ。当然、食材や調理器具の買い物も自分だから、種々の商店の内容について、ヘタな主婦より詳しくなった。

新製品づくりも新サービス計画も、「消費者になりきって、その目で見ること」と考えている。

(つづく)

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