【追憶の麻雀】第32回「自動卓を入れてひと息ついたがさて、その後は」

麻雀新聞第76号 昭和58年8月10日

自動卓を入れてひと息ついたがさて、その後は

東京では普及80%の地区も

司会 自動卓の普及は2万6千卓、35%と推定されます。平均稼動率が40~50%と言われてますから、お客の半数以上は、自動卓で遊んでいる状況だと思います。一部では、その地区の客が全部自動卓でゲームをし、店舗間の争奪戦ではないが、料金ダンピングなどの問題も出てると聞いています。まず中心地区の実情から……

― 私の地区は、軒数で70%、卓数で40%の普及。昨年の後半からの普及の速度が著しい傾向にあります。稼動率は、50%ぐらいで、自動の入っている分だけ動くということです。10卓中4台自動なら、4卓は必ず動くという具合ですね。それ以上は、客の店に対する信頼度の問題で、「しかたないが手打ちでやるか」と「他店へ行くか」に分れますね。

司会 自動を入れてない30%の店の状態は。

― ひとつは、店をやめたいという気持の経営者と、客が自動を好まないというケースです。手打ち300、自動400円が相場なんです。客が好まないというのは、220円でやってるからです。機械化しないのは持家の人が多く、テナントだと売り上げアップのために、機械化する傾向がありますね。

司会 客が好まないというのは珍しいケースで、しかたなしにやってる場合が多いんでしょうね。

― 経営者自身の感覚の問題ですからね。持家ならば食えればいい、悪ければやめようということです。また、価格ダウンを待ってる人もいます。その意欲のある人は、安くなってから購入しようと資金を貯えてますね。

司会 料金ダンピングの傾向は……。

― みられませんね。400円以下でやってるところはほとんどない。「高いと言われたけれどどうなの」との電話があったから「いくらだ」と聞くと「400円」「それなら普通だが、他に何かとってるだろう」「テーブルチャージを取ってる」と言うから「それだ。今は、テーブルチャージの時代じゃないよ」と話した程です。

― 私のところも状況は同じようなものです。80%以上は普及していますね。自動は、最初に2台、4台と入れますが、客は手打ちはイヤだと他店へ流れます。すると、経営者は不安なんですね、3年前は機械が足りませんから我慢したけど、今では自動の入っている店は、全卓導入というケースが多い。手打ちを1、2台残しておくのは、スペースの関係で自動が入らないからで、物置き代りになっている。

司会 稼動率はいかがですか。

― 地域的に差があります。駅に近いところで80%、ひとつ離れますと60%。料金は、手打ちはほとんどないから400円という料金が、客に浸透しています。3年程前は、高いの安いのとやってましたが、今は自動があたりまえだと思ってますね。

 

真剣に廃業考える未設置店

 

司会 料金の崩れは。

― 最近、新装開店のところが、エレベーターなしの4階だから安くしなくては、というケースで300円。ぽつぽつ出てはきています。

司会 影響は――。

― 自動400円が客の頭にこびりついていて、その影響はないみたいですね。

司会 中間地区はいかがですか。

― 自分の地区は、導入は早かったですね。近隣が皆入れておけば(台数が1、2台であっても)、必ず機械を求めて客は動くだろうと予想しました。そして、次の購入資金を貯えられる。実際に、他地区から客がかなり来てましたね。しかし、現在は元に戻っています。軒数で70%、卓数では50%。全卓自動という店は増えています。料金は350円が主流ですね。現在入れつつある店は、迷った末に価格が安くなったといった理由で、購入しています。それに、購入していない2割前後の店は、先程の話のように、真剣に廃業を考えている店が多いですね。内装にもお金をかけず、10年、15年とやった店でも、これから再投資して回収できるかどうか迷っているようです。

― 私のところは、副都心とも言えますが、軒数で80%近くは普及していますよ。導入時期は遅かったが、地区に代理店ができ、急激に伸びました。ところで、売りに出ている店はどのくらいあるかと、不動産屋を回って見たことがあるんです。すると、自動卓を入れて、ひと思ついて売らなくなった店も、結構あるんですね。

司会 自動卓によって、どの程度の利益が上るか店によって違うが、カンフル剤にはなったということですか。料金は―。

― 手打250、自動350から400円。早い時期に導入した店が100円アップでスタート。手打ち250円なら350円と、ところがその人たちが上げられず、ズルズルときているのが現実ですね。逆に、後から入れた店は、いずれ400円になるんだからと、スタートから400円なんです。

 

導入時期で違うゲーム料金

 

司会 周辺地区の実情はどうですか。

― 私のところは、立地条件が悪い。それだからこそ組合役員が積極的に機械を入れるように指導しました。普及率は85%ぐらい。積極性のある班長の地区の普及率は高く、女性の班長で興味のない地区は低い。零細ですから、4卓以下の店は入ってませんね。料金は安いんです。手打ち200、半自動250、自動300円。テーブルチャージは、400円認可の時点で取らずに400円でやるように指導しています。8卓の店なら、自動5台手打ち3台、という割り合いが多い。お客は、結局は自動卓でやっています。

司会 普及率が70~80%でも、地区によって料金が、300、350、400円と分かれていますね。上限300円の時に入れた業者と、400円の時の業者とでは、料金の差がでてきてますか。

― 私個人では、200円上限の時に、機械を入れるかどうか迷いました。300円の認可が降りて、すぐ導入し、300円でスタートしました。上限300円の許可の時点で入れた人は、常に上限いっぱい取る姿勢ですよ。

 

地域差あるがやや料金は安定

 

司会 テーブルチャージでスタートした地区は、上限400円になった時に直上けできましたか。

― 私の地区は、いつも上限より下なんですよ。下げる競争なんです。地区会を開くと、上限はいいから下限を決めてくれですからね。

― 機械の普及の初期の頃は、確かにテーブルチャージという形もありました。僕自身は、それに反対で、上限より高い料金設定をしてました。お客は、その日の都合で3時間の時もあれば、5時間の時もある。試算してみると時間で取るのもテーブルチャージでも大差がない。

司会 いかに高料金を苦労して取るかという前向きの経営者が多いとも言えるでしょうね。導入期は遅くても、普及が急速に伸びた地区では……。

― 最初は自動卓に不安があったわけです。2台入れた店に見に行くと、始終故障したりでね。機械が安定してからは、客が慣れたこともあって、同一機種があっという間に普及しました。ですから400円プラステーブルチャージはあっても、それ以下はあまりなかった。

― 地域によるんじゃないですか。都心地区でもダンピングの激しいところもありますよ。

― ダンピングの問題は手打ちの時代からありましたね。当時、組合で150円が適正料金と話し合ったあげくに、100円にした店があります。ところが、こういう店は良くて半年、悪い場合はーヵ月、平均して3ヵ月で代替りなり、廃業しています。機械に関しても同じで、必要経費は一定ですから、ダンピングして稼働率でカバーしても毎日満卓になるわけではないですからね。

―店に金をかけなければいけない時代です。手打ちの時でも、大の大人が1時間遊んで300円もとれない商売ならやめちゃうよ、と従業員のミーティングでも話をしました。10卓あって値上げもできないような営業姿勢ではどうしようもないですよ。同じレベルでやるから、隣近所が安くやるとビクツクんですね。取るものは取り、還元するものは還元する。そのやり方は、店のカラーで違ってきますけどね。

司会 ダンピングは怖れるに足りない。自分の経営姿勢がしっかりしていればいずれ相手は消えるということですね。

― 過当な競争は、お互いが共倒れですよ。

 

秋に40万台の機種も出現か

 

司会 自動卓の価格は、安い方がいいが、平行して普及率も高くなるから、料金もそれ程上げられない。この秋には、50万を切る機種も出るという情報の信頼度も高いんだが……。

― 客を常に満足させようと考えれば、新しいモデルは必要悪みたいなものです。同じ機械を5、6年も使うというのは、お客にとってサービスにならない。「年中いるのはマスターだけでいい。機械や従業員は、たまには替えろ」と冗談を言う人もいる。これから先、価格が安くなったら、入れ替えなくてはならない。

― そうなると、中古市場も必要でしょう。

― ただ新品が40万に近い価格だと、オーバーホールして、中古で出すメリットもなくなるでしょうね。

― 自動車と同じで、乗れる車が、山になってスクラップされるような状況になるような気がします。それを乗り切らないと、僕らの業界は食って行けないんじゃないかな。

 

将来の不安は料金値下げ!

 

司会 これからどんどん普及していって、100%に近くなった場合、料金が下る可能性は……。

― それはありますよ。だから、先取りしなければダメなんです。

― その時からダンピングがはじまるはずです。

― 今は機械を入れる店は入れた。入れて勝負しようとする人と、このままやってダメなら廃める人に分かれるから、ダンピングがない。

― 変に安定してるわけですよ。これから先、価格の安いものが出れば、入れざるを得ない。となるとダンピングが起きますね。

― ダンピングというより、手打ち300円でやってた店が、安い機械が出たからそれで300円でやるというケースでしょう。

― それは、一種のダンピングなんですよ。

― 価格が78万の時は、客も「そんなに高いのなら料金が高くてもな」と納得してくれたが、40万台になれは、手打ちと同じに、あたりまえになる。旅館のテレビは、熱海では無料だが、地方へ行けば100円が必要ということですよ。料金の見直しは、我々だけでなくお客もする。適正料金は、その時になって問題になるでしょうね。

― 機械が客を減らしたかも知れませんね。我々が客を選択しすぎて、所得の低い層をしめ出したかも知れません。当初、機械を入れた時の状況は、他地区から客を呼び回数は増やしたが、麻雀人口を本当に増やしたかどうかの疑問が残りますね。

― 私の地区でも、周囲が全部自動卓を入れてる中に1軒だけ手打ちだけの店がある。そこが盛っている。それは低料金だと思うんです。安くて皆手打ちだから、恥しくなく気楽にできるからでしょうね。自動5台、手打ち3台という店では、手打ちはほとんどやりませんね。

― 自動が隣りにあって手打ちでやると、何かみじめな感じがするんでしょうね。そうかといって、自動の高い料金ではできないし、だから手打ちだけの店に行ってしまうんでしょうね。

司会 自動卓によって料金アップはできたが、それについて行けない客が去ったということですね。

― 私はそれほどないと思いますよ。しかし、ダンピングは必ず起る。ですから、機械を入れて一息ついた店は普及してしまえば、営業に本気で取り組んでいる店に、結局は客が流れて、苦しくなってしまう。機械だけにたよって、一時をしのいだ店は、いずれダメになる。

― 手打ちの時も知恵を絞ったり、努力した店は勝ち残ったように、自動卓が金部に普及すれば同じですね。

― 営業姿勢は変えてはいけないものだからね。

司会 ところで、機械を入れて300円の店が出た場合、それまで400円でやっていた店は、どう対処しますか。

― 競争すれば、下げるでしょうが、料金面で不満を持っている客は、手打ちの店に行く。今、400円でやってる客は、それ程不満は抱いてないんじゃないか。

― そうとも言えませんね。不満は持っていても、遊び方が違ってきている。回数が少なくなってますね。

― やはり、400円は高いが、自動でやりたいからというのが実情ですよ。今まで週に4回やってた中年のグループが、自動400円になったら、近くのスーパーの食品売場に寄って、飲食物を持ち込んでやってるんですよ。

― 回数を滅らしたくないわけですね。それで、飲食代でカバーする。回数の多い客には負担をかけてることは確かだね。

 

サービス業の原点に戻ろう

 

― 価格の安い機械が出て、投下資本が低いから300円で行こうとなれば、機械で遊べれは満足という客は、必ず流れますね。先行投資した店も、それによって空卓ができ、稼動率を上げようと競争する現象は予想されます。

― しかし、ダンピングに走る店は、今までと同じで自分の首を締め、結局は廃業です。目標を決め、ノルマを課し、従業員の教育をし、サービス業として徹底していく店は、下げられる道理がないですよ。

― 麻雀業は、サービス業であると徹しなけれぱならない時代ですね。

― 物価上昇を考えれば経費は必ず上ります。機械によって救われたとすれば、何年間か料金がすえ置きだったものが、3年ぐらい飛び越して値上げできたことです。機械があたり前になれば、また値上げできないわけだから、ダンピングは自滅の道をたどることになる。

― これから導入する店は、ある意味で消極的な経営だったはずです。そこの客を既設店が取っていたわけではないから、安い店ができても客は動かないでしょう。

司会 一時的に客は流れても、客は戻ってくると思いますよ。100円余分に出しても、気分が良く満足感を得られれば、客はいいんですよ。その満足感が何かは重要なテーマですが、結局は、サービス業としての自覚と姿勢でしょうね。

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