麻雀コラム「麻雀店経営サポート」 行政書士・荒木康宏

【キャッシュレス決済の種類と導入方法を解説】

■はじめに

最近では、キャッシュレス決済が当たり前のようになってきました。現金が使えない店舗が当たり前にあります。弊社の従業員も現金を持ち歩きません。また、決済方法も多岐に渡ります。その中で、今回はキャッシュレス決済の種類と導入方法について書いていきたいと思います。

■労働基準法上の支払い

その前に、話は脱線します。労働者に対する給与は、現在のところ労働基準法では、現金手渡しが原則で、銀行口座振り込みは例外です。労使の合意がある場合に例外的に銀行振り込みが可能です。

意外かもしれませんが、労働基準法自体古い法律なので手渡しが原則です。現代では、原則と例外が逆のように感じます。

最近のキャッシュレス決済化の波に押され、労働基準法を改正して賃金を電子マネーで支払えるようにする法改正運動も起きつつあります。

このように、労働基準法もキャッシュレス決済に時代は大きく動いています。新しいことが大嫌いな役所でさえキャッシュレス決済に取り組んでいます。埼玉県庁は、県証紙だけでなくキャッシュレス決済で申請料を支払えます。

■風営法とキャッシュレス

では、風営法店ではキャッシュレス決済は認められるのでしょうか。それとも法律上の制限はあるのでしょうか。

【風営法上の条文】

風営法の条文を調べても、支払いでは現金を手渡ししなければならないという文言はありません。風営法上も現金決済は必須ではありません。警察署にも確認済みです。この点に関しては、風営法許可店すべて同じ条件です。

【風営法と手数料】

千葉ではまだあります。カードを使用した場合の手数料負担が。通常10%ですが、酷い店になると20%から30%要求します。これは、千葉のキャバクラのことなので、他の都道府県は分かりませんが、手数料を客負担にする店は多いのではないでしょうか。

もちろん、これはカード使用規約違反です。余談ですが、これ、カード会社に支払い後連絡を入れると、手数料分がカード会社から返金されます。また、手数料を要求した店にはカード会社からペナルティがあります。

私の知人で、嫌いな店や邪魔な店に対してカードで払いをして、カード会社に連絡をして遊んでいる人がいました。小さい嫌がらせですが、違反しているのは悪いことですから…。

【風営店のキャッシュレス決済化】

検索すると、ありとあらゆる分野の風営店でキャッシュレス化が進んでいるのを感じます。使用するのを躊躇するような性風俗店でも使用可能を謳っている店が多いです。

これに対し、麻雀店ではまだまだキャッシュレスではなく現金払いが主流のように感じます。これは、麻雀店の形態に起因する部分もあるようですが、今やこのキャッシュレス決済の波には逆らうことはできないので、以下キャッシュレス決済の導入方法や種類に関して書いていきます。

■キャッシュレス決済の方法と種類

まず、キャッシュレス決済の方法として大きく3種類に分けることができます。どの決済手段を利用しても、お店側にはデメリットはありません。結果的に支払いを受けることが出来るので。

①前払型

消費者が事前にチャージした金額の範囲において決済を行う方法。

例:Suica・PASMOなどの交通系電子マネー、nanaco・WAONなどのコンビニや大手スーパー系電子マネー

②即時決済型

登録されている銀行口座から、決済時に自動で引き落とされる方法。

例:デビットカード

③後払型

決済後に一定期間におけるカード利用金額をまとめて、銀行口座から引き落としされる方法。

例:クレジットカード・スマホ内アプリ

このように大きく分けて3種類の決済方法があります。現段階では③のクレジットカード払いの割合が大きいと思います。前払い型はチャージ金額限度があったり、デビットカードは口座と連動して即時にお金が消える心理的負担があったりするからだと思います。また、③の中に含まれる代表的なスマホ決済であるLINE PAYやPAYPAYでは、銀行口座と連動してお金を口座からスマホにその場で移管できたり、まとめて後払いを設定し一定期間の支払いをまとめてする機能もあるので、利用者が増えています。

支払い方法に関しては、上記3種類があり、どの決済方法をお客が選ぼうがお店にはお金が入ってくることに変わりはありません。

■店の立場からの決済方法

では、店側ではどの決済方法を採用するのが良いかそれぞれみてゆきましょう。まず、キャッシュレスをする上で絶対に必要となるものは、以下の2点です。

ネット回線と決済端末の2点は欠かすことが出来ません。インターネットを利用していない事業所はほぼないと思うので、それを考慮すると決済端末の確保が最低限必要となります。

◎決済端末

決済端末は、各取扱業者によって無料であったり有料であったりして一概には言えません。ただ、予算としては5万から10万円を想定して置いた方が良いでしょう。端末は無料でも登録料やその他で支払いが発生するかもしれません。使用する手段により決済端末が異なることもあり、複数台必要になることもあります。

最近流行りのスマホ決済では、電子マネーを導入する際はタッチ決済が利用可能な端末が必要になり、QRコード決済を導入する際はコードを読み取る端末が必要になります。

◎通信費用

インターネット通信費用がかかります。ただ、ほとんどのお店は、なんらかの形でインターネット環境を有しているので、改めてネット回線を増やす必要もありません。なので、この点は特に大きな出費はないと思います。

この2点が店側の物理的な負担です。特に大きいのが決済端末です。これは、カード会社が個別に支給するもの、決済代理店が貸し出すものに大きく分かれます。一番楽なのは、決済代理店を介して決済をし、その端末を使用することです。

現在、クレジットカードや電子マネーが多くあり、その支払い方法ごとに端末を用意するのは高コストになってしまいます。ですから、代理店を介してその端末で一括処理するのが楽です。ただ、この点は、店側の決済しやすい事情も絡んでくるので、各店舗が客層を見て判断するのが良いと思います。

■決済手数料

当然のことですが、決済端末を使用する場合、決済手数料がかかります。未払いを防いでくれる分、手数料を取られることになります。手数料も、相場は、使用金額の3から5%が多いです。

前述のとおり、千葉の飲み屋では平気で20%を取るところも多いですが、お客に転嫁することはできません。これも、使用するキャッシュレスサービスの手数料を考慮して決める必要があります。

手数料は安いが、使用者が少ないキャッシュレスサービスを選択してもまったく意味がないので、そこは、客層とその使用している決済方法を考えて慎重に選ぶ必要があると言えます。

■決済方法の選択

キャッシュレス決済を導入した弊社の顧客に尋ねたところ、目安の上位2点は以下のとおりでした。

◎決済手数料の安さ

前述のとおり、決済手数料は代行会社によって異なります。ただ、安かろう悪かろうでは困るので、その決済方法の利便性も考慮した上で決定しなければなりません。

◎入金サイクルの短さ

決済から実際にその売上金が入金される期間は、決済代行会社によって異なります。決済から入金までの期間が短い代行会社を選ぶとよいでしょう。売上金入金までの期間が短ければ、資金繰り悪化の心配が少なくなります。

上記2点を中心にキャッシュレス決済方法を選ぶことが多いです。

■キャッシュレス決済代理店

個別に決済会社に打診するか、決済代理店を通すかですが、代理店を通している方が多いようです。キャッシュレス決済手段が増えるにつれ、代理店を通した方が手数料は高くなりますが、煩わしさが無くなることのメリットの方が重視されています。

■補助金

「毎回、毎回おまえいい加減にしろよ」とクレームを受けそうですが、補助金はあります。ただし、風営法許可業者は適用除外されています。もし、読者の方で別に法人があり、別事業をしていてそちらで使用を考えておられるなら、「IT補助金」を検索して下さい。

簡単に説明しますと、国の指定するIT機器やITシステムを、特定のベンダーから購入するとその費用の半額を国が負担するものです。

社内電子決済システムの構築も対象だったはずです。もしご興味があれば、検索をしてください。

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