【追憶の麻雀】第52回「麻雀の『ツキ』の研究・後編」

追憶の麻雀

 

【表1】

難易度 アガリの組合せ 確率
1 ピンフ 1 5398000000000 1/2.38
2 タンヤオ 1 931800000000 1/13.8
3 1ペイコウ 1 437800000000 1/29.4
1 7トイツ 2 1505000000000 1/8.54
2 3シキドウジュン 2 21750000OOOO 1/59.1
3 1ツウ 2 116700000000 1/110
4 3アンコウ 2 67410000000 1/191
5 チヤンタ 2 34780000000 1/370
6 3レンコウ 2 278600000 1/46200
7 3シキドウコウ 2 10390000O 1/124000
1 ホンイツ 3 3080OOOOOO0 1/418
2 ジュンチャンタ 3 6369000000 1/2020
3 2ペイコウ 3 1318000000 1/9760
1 ホンロウトワ 4 490300000 1/26200
2 ショウ3ゲン 4 265500000 1/48400
1 チンイツ 6 1337000000 1/9620
1 4アンコウ 役満 21370000OO 1/6020
2 コクシムソウ 役満 1309000000 1/9820
3 ダイ3ゲン 役満 16140000 1/797000
4 9レンパオトウ 役満 8951000 1/1440000
5 ショウ4シイ 役満 2249000 1/57200OO
6 ダイシヤリン 役満 839800 1/15300000
7 ツウ1ソウ 役満 161300 1/7970000O
8 リュウ1ソウ 役満 146100 1/880OOOOO
9 ダイ4シイ 役満 46080 1/279000000
9 チンロウトウ 役満 46080 1/279000000

 


ポーカーの役の出る確率

 

ロイヤル・ストレート・フラッシュ:1/649,740

ストレート・フラッシュ:     1/72,193

フォア・カード:         1/4,166

フル・ハウス:          1/694

フラッシュ:           1/505

ストレート:           1/256

スリー・カード:         1/48

ツー・ペア:           1/21

ワン・ペア:           1/2.5

役なし:             1/2

 

チャンスを!

 

『確率』こそ勝利への最短距離

③の答を間違えた方、もうお分かりだろう。100円玉に記億装置はない。マージャンも同じ。Aがトップになる確率は残り80回で1/4、つまり20回(計40回)である。

このことは、マージャンゲームにおいて、実に重要な意味を含んでいる。

問題を分かりやすくするために③で「20連勝」といったが、現実としては、ほぼあり得ないことである。(興味ある人には「Aが20連勝する確率はどのくらいか」というのも面白い設問なのだが、紙幅の都合上、割愛する)

しかし、数回続けてAがトップを取るということはあり得る。

この場合、我々は「Aはツイている」「勝ち運に乗っている」というだろう。

しかし、このツキというのは”記憶装置”を持っていないのだし、ツキはこれからの勝負の予測に役立つわけではなく、今までの勝負の結果を示すだけなのである。

確率論―冷厳なる科学とは、そういうことである。「アイツはツイている」という記憶装置は、人間の心にこそあり4者がそう思いこむ。

確率論の上からは”一時的に”Aがトップを取ったとしても、次はB、C、Dにトップが移っていく。

つまり”ツキの流れ”というのは、単なる憶測結果ではなく、正しい観察結果(科学)なのである。

 

名人は沃野をめざす

 

以上のことから、確率は最重要視しなければならないことがお分かり頂けよう。

同時に、冒頭に「マージャンは小局ではツキに、大局では確率に左右される」と記した意味もお分り頂けよう。6月号の本稿で”マージャンはツキが七分にワザ三分”という俗言を採り上げた。初心者が名人級と対等にやって勝つことのできる唯一の?ゲームである。偶然性が高い。

 

しかし、長い間対戦すると結局、名人級には勝てない。この差はどこに由来するか?「確率と心理」(これも冒頭にあげた言葉だが)に由来する。

 

初心者はどこまでも偶然性に頼り、当然ながら、高手から見ると打ち方がメチャクチャである。名人級はマージャンの確率と心理に通じている。この差である。配パイは、初級だろうが名人級だろうが、何といっても偶然でしかない。どのパイがどう来るか分からない。問題は、この偶然なる配パイ(手の内)をどのように仕上げていくかにある。

名人級は、無意識のうちにも、アガリ役のできそうな確率をアタマに置いている。あるいは考え得る最高点(役)を心に描く。つまり”どの役が手づくりしやすく、アガリやすく、しかも点を取れるか”を知っている。初心者は荒野を目指し、名人級は沃野を目指す。

 

「次にどのパイが来るか分からない場合には、最も可能性のあるものに従うべきであることは言うを待たない」これは、デカルト(17世紀フランスの有名な哲学者)の次の言葉を意味するだろう。

 

「それが真実であるかどうかを、断定するだけの力がわれわれにない場合には、最も可能性のあるものに頼れ」。

 

『確率』のむずかしさ

 

確率とは、あくまで”率”である。”絶対”ではない。

従って、確率論が単純に正しいとか間違っているとか割り切れるものではない。確率論は、いうなれば現実の一つのモデルである。有用であればよいモデルなのだが、適用できる限界を越えれば価値はない。

 

先の、例えばホンイツの確率1/418というのは、418回目に起るということではない。1回目に起るかも知れないし100回目かも知れない。ほとんどあり得ないことだが、2回連続で起らないとは断定できない。その場合は174724回に1回(1/418×1/418)の確率ということになる。

 

いま一つの誤解は、ツキの流れについてである。

もし、マージャンで、ツキの流れがなければ、4人は同じ力を持っていることになり、ゲームとしての興味はなくなってしまう。

今までアイツはツイてた、ツイてなかった、と過ぎたことをよくいう場合があるが、これは正しい。しかし、これから先のことをいうのは、迷信でしかない。

 

コトはマージャンに限らない。同じことをしても、オレは生まれつき運がよく、アイツは全然ダメだ、という考えは、非常に多くの人の心に浸透しているが、全くの迷信である。

 

運と長所はいつも一緒

 

ツキの流れというものがあって、ある時期に、ある人物に、ツキがまわることはよくある。それは誤解して、オレには常に”幸運”がついていて、アイツには常に”悪運”がつきまとっているという考えが出てくるわけである。

これを”信仰”という。同じ信仰なら、前向きに考えた方がよいに決っている。

 

マージャンでも、あるいは人生でも、不遇の時(ツイてない時)は、じっと辛抱あるのみ”忍一字”。これは反撥力を秘めた音無しの構えである。クサッてしまった投げやりではない。

名人級の雀士は、この”忍一字”を好んで口にする。事実、半荘第1局はビリだったが、第2局はトップなどということはよくあることである。

あるいは、東1局で親の倍マンを取ったが、オーラスでは沈んでいた、などというのもそう珍しいことではない。逆にいえば、だからこそマージャンは面白い。千変万化のゲームである。

 

かの詩人ゲーテは、

「運と長所はいつも一緒に連れ添っている」

という名言を残している。

自分の長所を発揮できるよう心がけよ、ということか。ツキは必ずまわる!

折からの盛夏、確率を十分に活用して、勝率をあげライバルを打ちくだき、”左ウチワ”で涼をおとりください。

 

あがりはタンピン!

 

前頁の【表1】を見て頂きたい。朝日新聞のゲーム・サイエンス・クラブが発表した「マージャンのアガリ役の確率一覧表」である。

このクラブでは、確率算出の計算方法も、当然ながら提示しているが、ぼう大すぎて掲載できないので、朝日新聞の権威?を信じて、話を前に進めよう。最終的な採否はむろん、我々の手にあるが、手づくりの上で参考にはなる。

 

なお、【表1】でいう確率とは、136パイの中から任意に14パイを持ってきた場合の各役のアガリの組み合わせ数を、全役のアガリの組み合わせ数で割ったものである。

簡単にいうと、ピンフはアガリの組み合わせが5兆3980億通りもあり、それは全アガリ(12兆8600億通り)の2・38回に1回の割合で出来る。

同様に、タンヤオは13・8回は1回表われる。清一色は、9620回に1回の確率である。当然ながらチンイチを狙うより、ピンフを狙った方が4040倍もアガリやすい。(9620÷2・38=4042)

 

さて、以上を前提に、我々の「経験的実感」と比べながら【表1】を見てみよう。ざっと次のようなことが分かる。

 

①何といってもピンフ、タンヤオが圧倒的に多い。マージャン役の「基本はメン・タン・ピン」といわれるのを裏付けている。名人級ほどピンフの名手であり、やたらにポン・チーしないで、待ちパイの多さに期待をかけている意味がよく分かる。

 

マージャンは複雑怪奇

 

②トイツの確率が、意外に高い。もっとも、7トイツはテンパイ近くなると待ち(捨て)パイの数が狭ばまるから判断が難しい。

 

③同じ役満でも、確率に大差がある。我々が一番多く見る役満は四暗刻と国士だが、それが確率的に証明されている。ツウイーソウ、チンロウトウなど、これで見ると、ダブル役満にしてもよいくらいのものである。

 

④同様に、同じ翻数の中でも難易差がある。

 

⑤また、例えば2翻役必ずしも3・4翻役より簡単ならず。3シキドウコウがその典型。難しい役にはこだわらない方が賢いようだ。

 

⑥マージャンは、大きく分けるとピンフ系の手とトイツ系の手があるが、ピンフ系が断然有利である。

 

⑦よくある2翻役、3色同順と一気通貫では、3色同順の確率の方が断然高い(59・1対11011約2倍)。これが【図1】の解答である。

 

⑧その他。

 

この表から読み取れるヒントはまだまだある。この数項に限らず、読者の対局経験から、今まで漠然と推測されていたであろう”アガリやすさ”と、どれほどの違いがあるかジックリ検討してみたい。

 

ともあれ、この確率表は、実戦の際の戦略の一つの目安になる。つまり、この表を念頭において手づくりをすれば、長い目大局)で見れば、マージャンの勝ち組に入れるということだろう。

 

【表2】は、西洋のマージャンこと、ポーカーの確率表である。参考までに掲げたが、

【表1】と比較してみると、いかにマージャンが奥深いものであるかがうかがわれる。

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