【第七回】e’sグループ 広川 宰有 氏 ⑦【麻雀に関わる人々】 | 麻雀新聞

【第七回】e’sグループ 広川 宰有 氏 ⑦【麻雀に関わる人々】

麻雀に関わる人々

第七回:e’sグループオーナー 広川 宰有 氏⑦

 前回に引き続き、「広川ヒロカワ 宰有タダスミ」氏にインタビューを行い、お話を伺った。
 広川氏の経営する、e’sグループといえば、難波店e-sou(イーソウ)と梅田店estar(イースター)の両店舗のことであり、より詳しい情報を求める場合は、以下から参照してほしい。

 *以下本文中、敬称略
 *当記事のまとめが、2018年2月10日に発刊される 麻雀新聞2月号 に掲載予定


記者

 大阪阿倍野で健康麻雀店を経営していらっしゃる、N先生にお話を伺う機会がありまして、その時に先生もおっしゃっていたのですが、――健康麻雀って、朝の十時から夕方の五時までなのに、風俗営業の要素なんてない、みたいな話をされてまして。

広川

 逆に言うと、そういう健康麻雀をされているお店なら、風俗営業の許可を取らない方がいいんです。(許可を)取ることによるメリットは、貸卓を入れることができる。麻雀業として営業することができる。(許可を)取らず、カルチャーサロンとしてやっているなら、時間外営業とか十八歳未満の立ち入りOKなんです。そういうメリットあるんですよ。健康麻雀だけやるんなら、(許可を)取る必要ないんです。
 実は、よく問題になったのは、サウナとか旅館とかに麻雀卓置いて――大阪でも問題になったんですけど――一卓(朝まで)二〇〇〇円とか。夜終電を逃してから、サウナ入ったお客さんがそれで遊ぶ。そうすると、「麻雀店は深夜営業したらいけない」、って言ってるのに、サウナならOKで、しかも二〇〇〇円で。「麻雀店の経営を圧迫してるんじゃないか」、というクレームが出て、指導が入ったみたいなんですけど。これは、風俗営業の許可を取らない方が得という実例です。
 あとは、例えば(許可を)取らずに麻雀店をやってて、参加者がお金賭けても(麻雀店側は)問題にならないんですよ。

記者

 なるほど。賭場開帳している、ってことにはならないんですね。その人たちの責任で、賭博をしている、という裁定になるんですね。

広川

 賭博開帳図利っていうのが、その場所の主がやらせて、利益を得たら、っていう話ですから。図利に当たらない。深夜営業も関係ない、マンション麻雀なんか、その典型です。自分たちでやっているだけですからね。
 ただその、警察に対しては、麻雀業をする上で、許可申請が必要ですからね。行政からを許可をいただくその際に、この場所自体が風俗営業に適した場所であるかを確認してもらう。学校から一〇〇mより遠い、入院施設のある病院が近くにないとか。こういう歓楽街に関しては、五〇mなんですけど。で、あとは、物件自体が適しているかどうか。光量とか、火事が出た時に鉄扉があるだとか、消火設備があるとか、非常照明があるとか、そういう物件としてのものとか。地域のもの、物件のもの、あとは本人が行政処分を受けてないかどうか。スピード違反とかは大丈夫なんですけど、薬物とか、禁治産者でないかとか、そういうのを調べて、問題ない人でない限り営業許可はもらえないので、一応(麻雀店を)経営している人は、警察的には大丈夫な人なんです。お墨付きをもらっているんです。
 それから、麻雀店のゲーム代っていうのは上限があるんですよ。二四〇〇円+消費税。上限はあるんですけど、下限はないです。一時間あたり、それを超えてはいけないんです。この理由は、反社会勢力の資金源となりうるから、ということで規制されたと思います。上限以上のゲーム料金をもらったからといって指導をうけるところも、そうそうありませんが。
 ゲーム代の上限は上げてほしいですね。

 麻雀店を経営するにあたっての経営環境というのはどんどん悪くなっています。最低時給というのが、大阪維新が政権を取ってから五年連続上がってまして、大阪は九〇九円まで上がってて、これなかなか厳しい。
 また、経営者じゃないと分かりにくいと思うんですけど、3.11で原発が停まったじゃないですか。電気代が値上がりしたのはご存じですか? 一般の家庭で、10%未満。ただ、法人は20%。うちみたいな店だと、20%上がると、年間で一〇〇万変わるんです。その分、利益も押されます。お客さん誰もわからない。時給が上がるたびに、年間何十万と変わる。ほかに社会保険料。そっちの負担もある。そうやっていくと、やっぱり厳しいですよね。

記者

 そんな中で、ゲーム代上限が二四〇〇円+消費税、ですからね

広川

 会社を経営する以上、利益を上げないといけない。人件費を含めてコスト削減。そうするとサービスの質が低下する。サービスの質向上に向けて、ゲーム代を上げると、今度はお客さんが離れていく。難しいですね。

記者

 ありがとうございます。では次の質問――業界を盛り上げるために、なにか取り組んでらっしゃることはありますか?

広川

 業界を盛り上げるための取り組み、具体的な取り組みですねぇ。まぁ、いろいろやってきたんですけど、実は二十年以上前に、エムズスーパーカップトーナメントという大会をやりました。これは、ウチのお店(パオ)と、麻雀用具の株式会社Mさんがやってた、肥後橋の麻雀店S、長瀬の麻雀店Pさん、今里のところの麻雀店Iさんの四店舗集めて、対抗戦したり。それが増えていって、二十店舗近くなりました。他の地域の麻雀店のオーナーさんからは、「大阪って、ほかの店舗さんと仲良いんですね」、って、言われます。そういう流れを作ってきましたね。それがあって、名古屋もNF-NETってできました。横同士のつながりを作って、顔を知っていれば、他店に対する苦情も少なくなると思います。この業界が、警察から呆れられるのは、いつまで経っても同業者からの通報が多いと。そういうのはナシになったほうがいいだろうなぁと思います。
 それに、(麻雀店の)営業許可取った瞬間はOKでも、一週間もしたら、どこかしらアウトになってることはよくあります。

記者

広川

 (そもそも)風俗営業法も古くて、いっぱい改定しないといけないところがあると思います。(例えば)無料でお茶を出すのはOKでも、コーヒーやアメはダメなんです。でもこれを、お金を取ればOKなんです。
 風営法はなんどか改定されています。しかし、根本の部分は、日本が戦後貧しかった時代背景を色濃く反映しています。
 だから法律っていうのは、どんどん時代に即して変えていくべきかと。大きい意味でいくと、憲法もそうだと思うんですけどね。なんでもあれだめ、これだめっていうんじゃなくって。
人間、成長していけば体も大きくなって服のサイズも変わるじゃないですか。年を取れば、好みも出てくる。そしたら、着たい服も変わる。そういうのに合わせて変わっていくべきものと思うんですけど、なかなか変わっていないところが多いですね。
 何回か改正があって、もう二十年以上前の改正で、ゲーム代の上限が上がって、二五二〇円になった。あとは、アルコールの提供がOKになった。そのタイミングだったと思うんですけど、ブー麻雀がアウトになったんです。
 ブー麻雀が合法だった時は、景品を使っての、賭博が公然と認められていたんですね。それがそのタイミングでアウトになったんです。要は、オンレートがアウトになったんです。
 むかし、プロ野球の解説者で江本孟起さんが国会議員だったころに、後藤田さんという有名な法務大臣がいらしたんです。
 国会で江本さんと後藤田法相の間で麻雀問答がありました。ざっと言うと、
 江本さん「賭け麻雀は、どれくらいのレートまではOKですか?」
 後藤田法相「境目は非常に難しい。刑法では『ばくち』になる。ただし、『社交儀礼の範囲内』であればOK」
 一般的には「お小遣いの範囲はOK」みたいに言われてました。
 結局それからしばらくは、2.0までのレートは取り締まりが全然なかったんですよね。

記者

 2.0までがお小遣い(笑)

広川

 東京が風俗浄化令を推し進めていく中で、歌舞伎町で規制が入った。その時は、2.0の東風が取り締まりにあった。たまたまそこに蛭子さんがいて捕まった。そのお店というのは、周りの2.0のお店がどんどん摘発にあって、そのお店にお客さんが集まる中で、値上げしたと聞いてます。で、蛭子さんは運悪く。あの人麻雀好きですからね。

記者

(笑)

 


 次回は、2月12日更新予定です。

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