【追憶の麻雀】第40回「井出洋介プロの自戦記」

追憶の麻雀

昭和59年8月10日   第92号

 

井出洋介プロの自戦記

緑一色で逆転の優勝

白ばら道場6周年記念大会

 

去る6月17日、全日本アマチュア麻雀競技協会・白ばら道場開設6周年記念マージャン大会が行なわれた、私と植木将且さん(全アマ協会々長・白ばらオーナー)とは、もう4年以上の付き合いになる。

この植木さん、見た目には非常に若々しいナイス・ミドルのようだが、実はもう65歳。そもそもは、奥様のために始めたマージャン業だったのだが、その奥様が突然、病魔に冒され、帰らぬ人となってしまったのである。

一時期は酒に溺れたこともあったという植木さんだが、亡き妻が遺してくれたマージャン経営に打ち込むことを新しい生きがいと識ってから、ひと際精力的に活動を開始した。

健全娯楽として、競技麻雀にも注目し、全アマ協会を設立。さらには、その成績処理にコンピューターを導入するなど、大変積極的である。

しかし、彼の真骨頂は何といっても会員や客との”血の通った交流”とでも言ったらいいだろうか、とにかく、物事に筋を通しながら、なおかっ、人間的なふれあいを大切にしているところが、人の集まってくる最大の要因だと思う。

さて、この「白ばら道場6周年記念大会」には、私も一選手として参加させていただくことになった。

日頃、えらそうなことを言っていて、実戦で大負けというのも格好が悪いので、まあそこそこの成績は残したいというのが正直な気持ち。

参加96名で半荘4回戦の大会。これだけ人数が多いと、たいてい4連続トップが一人や二人出るもので、この大会のポイント・システムから考えれば(2万5千点持ち3万点返し、さらにトップ者には順位ウマ2万点)、優勝は4連勝の人の中から出るだろう。

1回戦トップという好調なスタートを切った私だったが2回戦、マイナスの2着に終わり、優勝の行方は望み薄。

あとは2連勝して10位以内入賞を目標に切り替えた。

3回戦を終えたところで、上位にいたのは、3連続トップの草村礼子さん。テレビや舞台で活躍されている女優さんだが、マージャンの方もなかなか達者で、各種大会でいつも好成績をおさめている。

もう一人、3連続トップの高橋哲義さんが2番手で、この2人のどちらかがトップならば、その人の優勝。

 

私は、と言うと9位につけていたものの、その差が6万点以上あり、役満でもアガって大トップを取らない限り、8人抜きはむずかしい。

ところが、その役満ができてしまうのだから、私もツイている。

 

オヤで【発】をボン、【二三四索】とチーしているものの、【一・八・五・三】とソーズを余らしていて、手の中が【四・四・六・六・八・八・八索】。

緑一色のテンパイである。【四索】が出て4万8千点をアガってしまえば勢いもついて、大ダントツ。一気にトップまで駆け抜けてしまったのである。しかも、集討してみると同じ最終戦で大トップを取った戎本英夫さんとの差がたった2百点。この黒棒2本によって優勝と準優勝の分かれ目となった。

 

記念大会だったので、優勝者と準優勝者でかなりの差のある賞品内容だった。

3回戦までトップの草村さんは、最終戦、惜しくも崩れて5位に、高橋さんは痛恨の

ラスで15位にまで落ちてしまった。

成績発表、及び表彰式も兼ねて、大会終了後は会場を移し懇親パーティー。

私は、ただでさえ優勝、豪華賞品をかっさらっている上、本紙「麻雀新聞」から半荘最多得点賞までいただくことになり、ちょっと図々しいかとも思ったが、主宰者の植木さんから、「いつも協力してくれる井出さんが、プロとしての実力を示してくれて本当によかった」と祝福され、本当はちょっとツイていただけなんですよ、と心の中で舌をペロッと出しながらも、ありがたく頂戴することにした。

 

今後も、健康の続く限り、全アマ協会に、”白ばら”に、そしてマージャンに全人生を注ぐという植木さん、そして会員の皆さん、どうぞ、現在の楽しい雰囲気のマージャンをずっと続けてください。

 

大会成績

 

①井出洋介 192・4

②戎本英夫 192・2

③鳥尾秀利 171・6

④高野昌一 143・8

⑤草村礼子 141・4

⑥鈴木貞男 128・6

⑦谷地良信 119・3

⑧大竹康夫 117・2

⑨角田敏雄 117・2

⑩山口嘉雄 113・9

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