昭和61年5月10日 第130号
これからのインテリア
浅草駅前で4月23日に開店したばかりの「国際倶楽部」。浅草松屋の前という好立地で人通りも多く、しかもビルの8階ワンフロアを使用する良い条件。この店の見どころは1階入ロエレベータ前に立っている”呼び込み人形”と、”店内のクリンリネスを保つための空調設備”、そして、”時間ごとの売上げを管理するコンピュータの導入”、この3点が見ものと言えましょう。
概要
198平方㍍(60坪)の中に17卓。スーパー雀夢15台と、プレジデント2台。
オーナーは、マージャン店の経営が始めてという素人。そこで施工業社が協力して開店から開店後のフォローまで手伝うといったプロジエクトで完成させた新しいケース。
営業形態は、リーチマージャンプラスセット。従業員数20人の構成。
営業管理は、時間ごとの売上げが集計されるコンピュータ管理システム。
宣伝方法
オーナーが素人であるためマージャン店を専門に施工している業社が、メンバー募集から経営のあらゆるノウハウを提供。そのひとつが1階入ロエレベータ前にあるICを使用したマスコットの呼び込み人形である。
外見は、マネキン人形であるが、胴体部分を切断し、中に装置を組み込み、営業内容をしゃべるようにセットされ、さらに、いらっしゃいませのあいさつと同調しておじきもするという精巧なもの。
このマスコット人形が入口に立って、しゃべって、あいさつをしてくれることで宣伝効果はバツグンである。
コンピュータで経営管理
入口には呼び込みロボット
設計データ
床は、パイルのグレーのウールカーペット、これでタバコを落としてもある程度はアクリルのように黒くならないで済む。
壁面は、アルミハクの壁材とガラスのタペストリー(くもりガラス)とオリジナルのステンドグラス。普通の壁面造作工事の4倍はかかっているというだけあって高級感が出ている。
天井は2㍍×4㍍程の大きさの下がり天井を並列させ、その中にFL(フォグランプ)の基本照明を配置、この下がり天井の中に空調が組み込まれているために、17卓同時にタバコを吸ってもクリーンな風が流れている。カーテンはどんちょうスタイル。暗幕+レース+シルクサテンの三重構造。テーマカラーのグリーンを使用し豪華さを演出。
サービスカウンターは、店内を一望できる中央に設置され飲みものは無料サービス。
ファサードは、大理石で床から壁面へと立ちあげ、入ロドアはチーク材を使用。
エレベータと入口の間に、テンヤものを下げるガラスケース棚を設置していることで、入ロまわりの汚れや臭いをとりのぞき、美観が配慮されている。
さらに、都内のマージャン店で初めて設置されたプレジデント2台は、色は白とゴールドのツートンカラーで、吸音材の壁を使い、音がひびくのをおさえた空間になっている。接待用で予約オンリー。
管理システム
大型店やマネジャーまかせの経営の場合に、オーナーが直接現場に出向かないため、経営管理が一番むずかしい問題となります。特に、リーチマージャンでは、売り上げ管理が重要になります。
この店では、施工者が独自に開発したソフトによって、各卓ごとの売り上げが、客の来店時から退店時まで細かくコンピュータに自動的にインプットされ、定時ごとにプリントアウトされます。
卓の使用時間が自動的に記入され、的確な売り上げが計上されるわけです。これによって、経理上のミスが除かれますから、従業員は接客サービスに専念することができます。
マージャン店経営からマージャン業へと変って行く流れのなかで、企業経営という立場に立った施工者のアイデアが、強くオーナーに訴えたことは確かです。
今後の店作り
マージャン店の店づくりが高級化すると同時に、くつろぎ、楽しむといった要素が加
わってきます。
こうした状況からイニシャルコストがアップし、人的サービスが不足するということはさけなければなりません。
その意味からも、今後のマージャン店づくりの最大のポイントは、利用客層に合ったイニシャルコストのかけ方、顧客吸引の戦略的な計画、そして、省力化されたキメ細かなサービス管理体制なのだと思います。