【追憶の麻雀】第25回「トラブル解答集〔4〕」 | 麻雀新聞

【追憶の麻雀】第25回「トラブル解答集〔4〕」

麻雀新聞第71号 昭和58年3月10日

 トラブル解答集〔4〕

 (3)カンによるいろいろなトラブル(続)

⑨四力ンはチャンカンがあっても成立するだろうか

東家が8p、南家が中と1sをカンして、西家を4mをポンしていました。数巡後、西家が4mを加カン、すると北家が「ロン、チャンカンでマンガンだ」と言いました。一方西家は「四カンだから洗れだ」と譲りません。さて、結論は……
【こたえ】

要するにカンの成立がいつなのかが問題になります。カンの成立は四枚の同一牌を明示した時で、この時他家から「ロン」がかからなければリンシャン牌を補充できるのですから、チャンカンはカンの成立以前のアガリと考えられます。したがって、四カン流れとならず、北家のチャンカンのアガリが認められます。

⑩ハイテイ牌はカンによって繰り上がるだろうか

白をポンしていた北家A君がハイテイ一枚前に白をツモって加カン、補充牌の1sをツモ切りしたところ、西家B君か「ロン・ピンフ・ドラ一丁の上にハイテイだから3,900点だ」と言います。一方、北家A君は「2,000点だよ。ハイテイ放銃じゃないもん」と頑張ったのですが……

【こたえ】

全段審ルールではワンパイ(王牌=流局のとき残す牌)一四枚残しとしていますし、カンによる補充牌は正規のツモとはいえないかも知れませんが、結果的に王牌が一四枚となればハイテイ放銃となります。

王牌を完全な七トン残しでゲームをしている時は、ハイテイ一枚前をカンすることはできないことになります。この場合ですと、ハイテイニ枚前の牌をツモってカンした場合がハイテイ放銃となる理屈です。

王牌はリャンカン・パー、サンカン・キューなどの残し方をせず必らず一四枚残しにするのが、トラブルを未然に防ぐ最良の方法です。

⑪ハイテイとリンシャンカイホウは重複するだろうか

前問⑩の事例と同様なケースでA君が白をカンして補充牌の2sでツモアガリ「ハイテイのリンシャンカイホウてリャンハンになるね」と言ったのですか、さて……

【こたえ】

王牌の一つ手前の牌がハイテイ牌であり、これてツモアガれば「ハイテイツモ」となりますが、ハイテイ牌の一つ前の牌をツモってカンしてアガっても「ハイテイツモ」とはならず、「リンシャンカイホウ」のイーハンだけが加算されるだけです。重複することにはなりません。

一部にはハイテイとリンシャンカイホウの重複を認めているところもあるようですが、これはイーハン役として確立している「ホーテイラオユイ(河底撈魚=ハイテイフリコミ)」「ハイテイラオユエ(海底撈月=ハイテイツモアガリ)」とリンシャンカイホウの性質の違いを認識しないで、漠然とアガリ役だけの一面を捉えているための誤認です。

⑫間違ったカンのリンシャンカイホウでツモった牌をフリ込んだら

西家のAさん7mを暗カンし補充牌の6sをツモ切りしたところ、南家のBさんが「ロン、高目の三色でマンガン!」ところがAさんの暗カンは気が付いてよく見ると7779mとなっていたので、Aさん「7mはカンできないから、カンの補充牌でのフリコミは無効だよ」と主張しましたが……【こたえ】もちろんアガリは認められます。アガった南家Bさんには全く過失がないわけですから。

大体、カンをする前に四枚が同一牌であることを他の三家に明示して、その時自分も確認していれば、こんな事態は決して起こらないのてす。

⑬チャンカンでドラは増えるだろうか

2pをポンしていた東家Aさん。もう一枚のかん2pをツモって加カンしたら、北家Bさんが「ロン」といって新ドラをめくると、表示牌が1pしたがって新ドラは2pとなりました。そこでBさん「ドラが一枚ふえてドラ2のピンフで7,700点だ」と喜んだのですが……

【こたえ】

前出の⑨でも述べたように、チャンカンはカンの成立以前のアガリと考えられます。したがって、カンの成立後に認められる新ドラは、チャンカンでは認められず、北家Bさんのアガリは3,900点ということになります。

⑭カン振りはイーハン役なのだろうか

南家A君、中をポンしているところへ四枚目の中を引いてきたのて加カン、リンシャン牌の4mをツモ切りしたところ、西家B君からロンがかかり、「カン振りだからイーハン増しだ]と言われたのですが……

【こたえ】

一般に行なわれている麻雀では時々見かけられますが、これは麻雀をよく知らない人が、リンシャンカイホウと混同してしまったものと思われます。

カンをしてツモアガった場合がリンシャンカイホウで、ツモ切りしたリンシャン牌が他家に放銃となっても、何の役にもなりません。

今まで、この混同に気付かなかった方は早速改めて下さい。

⑮誤まった打牌の呼称にロンをかけてしまったら

8pをポンしている北家のA君が「8pカン」と言って、フーロしている三枚の牌の横にツモ牌を並べた。すかさず西家B君が「ロン、チャンカンならマンガンだ」と言って手牌を倒しました。

ところが、A君のカンしたのは8pでなく7pでした。明らかにモーパイ違いだったのです。

【こたえ】

打牌を呼称する場面はよく見られますが、マナーとしても感心できるものではありません。第一、打牌を呼称しなければこういうトラブルは未然に防げるわけです。

あくまでも誤ったロンをかけた西家B君に責任があるとして、チョンボにする考えもあります。しかし、誤まった呼称をした北家A君にまったく責任がないとすると、この誤称が悪用されることも考えられます。

そこで二人の共同責任として、この二人が他の二家にチョンボ相当の罰符を支払います。全段審ルールでもこれを規定しています。

このケースでしたら西家B君と北家A君が4,000点ずつを支払い、親が4,800点、子が3,200点受け取ります。当事者の一方が親の時は、6,000点と4,000点の計10,000点の罰符を他の二家が折半で受け取ります。

⑯四カンツの成立はいつ?

西家A君が一人で北中6mの三つをカン。さらに手牌の888m東へ8mを引いて暗カン。「四カンツが完成したから役マンだ」といったのですが、他の三家は「四つカンしてタンキをアガらなければ役マンじゃないよ」と反論しました。さて、どちらが正しいのでしょうか。

【こたえ】

四カンツを完成させただけではだめで、タンキをアガって初めて役マンとなります。

ただし、全段審ルールでは四カンツの役マンを採用しておりません。したがって、四つ目のカンが成立すれば流局となります。

⑰複数の人による四カンツの成立は?

東家Aさんが東9sをカン南家Bさんが發をカンしています。さらに西をカン、リンシャン牌を取ろうとしたところ、北家Dさんが「四カン流れだ」といって手牌をくずしてしまいました。ほんとうに四カン流れとなるのでしょうか。

【こたえ】

一発役は一巡以内にチー・ポン・カンがあれば、たとえ自分自身のカンでも消えるというのが規則だから、東家A君のアガリは一発役が消えて、リーチ・ツモ・リンシャンカイホウの2,600点オールで、北家B君の主張が正しいといえます。

 

(4)リーチをめぐるトラブルとは

①ダブルリーチと四風子連打(あるいは九種么九牌倒牌)とはどちらが優先するのだろうか?

東家A君、配牌を見てびっくり、ドラドラ・チートイツをテンパイしています。東を捨てて、北単騎でダブルリーチ。ところが南家も東、続いて西家、北家もともに東を捨てて、四風子連打となった。北家のB君が「四風子連打で流局だよ。せっかくのダブルリーチ残念だったね」と言ったのですが、東家のA君は「ダブルリーチがあった時は流局とはならないよ」と頑張ったのですが……。

【こたえ】

全段審ルールをはじめ、一般的にみても四風子連打・九種么九牌倒牌を流局と規定しています。したがってこの規定を認めている以上、どんなケースにも優先し流局となります。

全段審ルールでは親も次局へ移動しますが、一般的には親は連チャンの一本場としています。

なお、ダブルリーチのリーチ棒は供託したままとなります。

②ポン・チー・カン(暗カンも含む)があっても、第一ツモでリーチがかかったとき、ダブルリーチとなるだろうか

北家のA君は第一ツモで5sをツモってテンパイ。「ダブリーだよ」と言ったのですが、その前に西家B君が南家の發をポンしていたので「ボクがポンしているから第一ツモでもダブリーじゃなく、ただのリーチだよ」と注意しました。どちらが正しいのでしょう。

【こたえ】

いくら第一ツモのリーチであっても、その前にポン・チー・カン(暗カンを含む)があればダブルリーチとはなりません。したがって、ただのリーチでB君の主張が正しいといえます。

③リーチの取り消しはできるだろうか

258sでテンパイした南家A君、大喜びで「リーチ」と言ったまではよかったのですが2sが捨ててありフリテンと気が付いて「リーチやめさせてよ」と言ってリーチ棒を引っ込めようとしたのですが……。

【こたえ】

たとえリーチ棒を出していなくても、リーチの発声があった以上リーチの取り消しはできません。それがノーテンリーチであってもです。
親しい仲間同士であっても、リーチの取り消しは厳禁とするのがトラブル防止最良策です。

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