【第15回】麻雀を教えるって、どういうこと?

麻雀を教えるって、どういうこと?

「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」

この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第15回目は、いよいよ『役満』の登場となります!

 回は『嶺上開花』『槍槓』『三槓子』という3つの『役』をお伝えしました。
 今回はまず、このタイミングで伝える残りの『役』について説明したいと思います。

素敵なネーミングの『海底撈月』『河底撈魚』

 その『役』は『海底撈月』(ハイテイラオユエ)(または海底摸月 ハイテイモウユエ)『河底撈魚』(ホウテイラオユイ)です。
 海底とは、局の最後に行われるツモのことを指し、河底とは局の最後に行われる打牌のことを指すのですが、この2つの役のネーミングセンスってとても素敵ですよね~。
 『海底撈月』は「海の底から月を取る」という意味で、『河底撈魚』は河の底から魚を獲るという意味なのです。どちらも月と魚をアガリに見立ててのネーミング。これも素敵な名前なのですが、私は『海底』と『河底』という考え方が私はとても好きなのです。
 捨て牌のことを『河』(ホウ)と言いますよね。『河底』は、『河』の最後の牌ですから何となく意味が伝わると思うのです。しかし『海底』というのはちょっとピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 壁牌(ピーハイ)のことを牌山と言いますよね。牌山の最後なのに、何故『海底』と言うか考えたことってありますか?
 この考え方こそが私が『海底撈月』を好きな理由なのです。

 麻雀とは関係なく、普通、山の最後って何だろう? と考えた時、皆さんなら何を想像しますか?

 私なら、山の裾野なら平野だとか地面だとか、そんなイメージしか涌いてきません。しかし、山の最後はそれを通り越して海の底だという考え方が、私は好きなのです。『河』の概念がなかった中国の麻雀から、細かく精査された日本の麻雀に発展していく過程において、大正時代に制定されたという『海底撈月』と『河底撈魚』。この名前についての由来や、『海底』と『河底』の意味などを交えて生徒さんに伝えると、生徒さんからの先生の評価がグンとあがるのではないでしょうか?

いよいよ『役満』登場!

 ここまで一般役と懸賞役についてお伝えしてきましたが、麻雀の『役』にはまだまだたくさんの『役』がありますよね。ここからは残りの役について触れていきたいと思います。
 それは『役満』です。麻雀をご存知の皆さんなら、当然『役満』に対しての価値は理解されていると思いますが、麻雀を学ぶ皆さんには、その凄さを伝えるところから始めます。

 麻雀の役の中で、『役満』は一番高い役であるということを説明するのです。
 『役満』が麻雀の役において一番高い役だと言われてもなかなか伝わりませんよね。ですから、点数におけるいくつかの例を先に伝えるのです。

 まず、ここまで点数についてはまったく触れてきませんでしたが、最初は各自の持ち点の説明から伝えるようにしましょう。スタート時、各自が25000点(または30000点)、全員合計で10万点(または12万点)を持ってスタートします。……といっても、最初はピンとこないですよね。
 リーチを掛けるのに1000点が必要だという話は、リーチの講義の時にしたはずです。それでは、アガリ点はいったいどのくらいなのか? という説明をこの際にすると良いでしょう。
 点数計算の講義の際に詳しく説明するという注釈を入れた上で、麻雀のアガリ点は、親は子供の1.5倍だということを伝えます。そして、麻雀の点数計算において、一番安い手は平和で、子は1000点、親は1500点だということを伝えるのです。
 それを踏まえて、「役満はいったい何点なのでしょうか?」といった問題を出すのも面白いかもしれませんね。

 私は毎回この問題を出すのですが、返ってくる答えは様々です。それでも大概は、「10000点?」「20000点くらいかなぁ?」といった反応が多いですね。ここで正解の、《子は32000点、親は48000点》を伝えると、ほとんどの生徒さんはとてもビックリとした顔をされます!

「先生、そうしたら支払う点数が無くなっちゃうじゃないですか!」なんて反応はしょっちゅうです。いかに役満が難しく、価値のあるものだということを伝えるのが麻雀講師の腕ですね。

まずは『四暗刻』『大三元』『国士無双』を教えよう!

 ここまで伝えた上で、『役満』の説明に入ります。
 役満の中で最初に伝える役は、『役満』の中でも比較的ポピュラーなものから伝えるようにします。それは、
 『四暗刻』
 『大三元』
 『国士無双』

 の3種類の役満です。
 その中でも最初に伝える役満は『四暗刻』(スーアンコ)です。

 『四暗刻』は、『暗刻』が4組ある形ですよね。これは以前、『三暗刻』を伝える時に補足として『四暗刻』を伝えてあるはずですから、生徒さんにとっても理解しやす『役満』であると思います。
 この『四暗刻』を伝える時のポイントはズバリ1つ。
 『刻子』を作ることがいかに大変かということです。
 以前、組み合わせの作り方の講義において、麻雀のメンツでは順子よりも刻子の方が圧倒的に作るのが難しいということをお伝えしてあるはずです。ですから、組み合わせ(メンツ)を作るときは刻子ではなく順子を作りましょう、とここまでの講義では伝えてきましたよね。
 作るのが難しいから点数が高い。これだけで生徒さんにはこの『四暗刻』の価値を伝えることが出来ると思っています。
 この説明で不十分だと思う方は、『三暗刻』との違いを伝えてあげると良いかもしれませんね。
 『三暗刻』は2翻であることはお伝えしてあるはずです。
 この2翻、いったいどのくらいの点数なのかということをここで数字を使って表すのはどうでしょう。一般的な場合、『三暗刻』だけですと50符2翻であることがほとんどですよね。つまり、子は3200点、親は4800点ということになります。
 ここから『刻子』が1つ増えるだけで、『四暗刻』という『役満』になり、点数も子が32000点、親が48000点と10倍になるのです。それくらい『刻子』を作るのは難しく価値があるということを伝えてあげるのが大切だと私は考えます。
 そしてもう1つ補足として、『四暗刻』には、『ツモり四暗刻』と『四暗刻単騎』の形があることを伝えるのも大切ですね。
 『ツモり四暗刻』は、『対々和三暗刻』の形で、ツモった場合だけ『四暗刻』になるのに対し、『四暗刻単騎』は手の中に4つ『暗刻』が出来ていて、雀頭が無い形のことを言うのですが、『四暗刻単騎』は出アガリでも『役満』になるというのがポイントです。

 次に伝える『役満』は『大三元』(ダイサンゲン)です。『大三元』という名前は、麻雀をご存じない方でも聞いたことがあるくらい、麻雀の役の中では有名な役の1つですね。
 『大三元』は『役満』の中では珍しい『部分役』の役満です。白、發、中の3種類の三元牌が、すべて刻子であることが条件で、9枚で作る『部分役』であるということですね。つまり残りの5枚は何でもいいということになります。ということは、『役満』の中でも比較的作りやすい役満であると言えるのですが、実際にはそんなことはありませんよね。何故なら、『大三元』を狙っていることが他家にわかってしまうからなのです。みんながみんないらない牌を切るわけではなく、相手のことも警戒しながら打ち進めるのが現実的な対応になりますから、三元牌を2つポンした場合などは3種類目の三元牌が場に放たれることはそうそうあることではありません。つまり狙いやすく作りやすい役満である反面、出アガリしにくい役満であるとも言えるでしょう。
 そしてここで伝えることがもう1つ。
 それは『小三元』です。『小三元』は一般役であるだけに、一般役の際に伝えることも出来るのですが、『大三元』との対比を伝える意味と、『小三元』の出現頻度と難しさを加味して私はこのタイミングで伝えます。
 『小三元』は白、發、中の三元牌のうち、2種類を刻子で、1種類を雀頭とした形ですね。こちらも部分役ですから、残りの6枚は何でもいいということになります。
 この『小三元』は4翻ですね。しかし内訳は、役牌プラス役牌の2翻と、小三元の2翻を合計して4翻ということになります。
 雀頭部分に2翻の価値があるということです。
 『大三元』と『小三元』の違いはたった1枚。この1枚の違いで、『大三元』は32000点か48000点、『小三元』は8000点か12000点。
 1枚の牌の価値についてもこの『大三元』を例にして伝えてみるのも良いかもしれませんね。

 長くなりましたので『国士無双』はまた次の機会に。

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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。

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