【第11回】麻雀を教えるって、どういうこと? | 麻雀新聞

【第11回】麻雀を教えるって、どういうこと?

麻雀を教えるって、どういうこと?

「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」

この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第11回目はチャンタを教えることって?

 こまで沢山の『役』をお伝えしてきましたが、麻雀の『役』には本当に様々な役があるということを生徒さんに理解して頂けたのではないでしょうか。
 そんな『役』には、《対の関係》にある『役』が数多くあるのですが、その代表的な役をお伝えしたいと思います。
 今回お伝えする『役』は、『混全帯么九』。そう、チャンタですね。『混全帯么九(チャンタ)』は、手牌すべてに么九牌(ヤオチュウパイ)が含まれている形です。
 この『混全帯么九(チャンタ)』を説明する時も当然図示するのですが、この時に《対の関係》として伝える『役』は『断么九(タンヤオ)』です。
 手牌すべてに么九牌(ヤオチュウパイ)が含まれている形である『混全帯么九(チャンタ)』に対して、『断么九(タンヤオ)』は2〜8までの数牌で作る形、つまり手牌に么九牌(ヤオチュウパイ)がまったく含まれない形ということになりますよね。

『混全帯么九(チャンタ)』と『断么九(タンヤオ)』

 この二つの役が《対の関係》であることを理解することで、麻雀の手作りの幅が飛躍的に増えるということを生徒さんに伝えることが、この『混全帯么九(チャンタ)』を伝える時の一番大きなテーマだと考えています。
 何故かというと、手作りの基本である『断么九(タンヤオ)』と今回お伝えしている『混全帯么九(チャンタ)』とは、手牌構成のメカニズムがまったく異なるからなのです。
 手牌を上手にテンパイに導くために重要なことは、単独孤立牌の使い方であると私は思います。
 その単独孤立牌の扱い方が上手いか下手かは、麻雀の成績に直結する重要な事柄ですよね。
 通常時であるなら、単独孤立牌は、

 字牌⇒1・9牌(老頭牌)⇒2・8牌⇒3〜7牌

 の順序で切り出していくことが手牌構成において有効なのですが、『混全帯么九(チャンタ)』を狙った手作りでの単独孤立牌の切り出しの順序はちょっと異なります。
 『混全帯么九(チャンタ)』は手牌すべてに么九牌(ヤオチュウパイ)が含まれている形ですよね。普段使いにくい字牌や1・9牌(老頭牌)を使うわけですから、

 4・5・6牌⇒3・7牌⇒2・8牌⇒1・9牌=字牌

 こんな感じで切り出されることになるでしょう。
 組み合わせ(メンツ)を作る上で必要となる牌を切り出していくわけですから、《対の関係》である『混全帯么九(チャンタ)』と『断么九(タンヤオ)』とでは手作りの難易度がまるで違います。
 だからこそ、『混全帯么九(チャンタ)』は門前2翻、喰い下がり1翻なのですが、それでも『混全帯么九(チャンタ)』が作りにくく難しいのは間違いなく、あまり人気がない『役』であるかもしれません。
 また、捨て牌も変則的になるために、相手に『混全帯么九(チャンタ)』を狙っていることがバレてしまいやすいということもマイナス要素になるのかもしれませんし、最初に切り出される牌が必要となる手役なだけに、キー牌がなくなってしまうことが多いのも難易度を上げている要因だと思います。
 しかしちょっと待ってください。麻雀の『役』を伝えるにあたり、生徒さんにはあまりネガティブな情報を与えない方が私は良いと思っているのです。
 そればかりか、『役』の難易度や出現頻度、翻数などで優劣を決めない方が良いでしょうね。
 私はこんな時、逆転の発想を生徒さんに伝えるようにしています。手牌に順子が多ければ『平和』を狙えばいいですし、対子が多ければ『七対子』を狙えばいいのです。一色に偏っているようなら、『混一色』や『清一色』を狙いますし、三色にバラけているようなら『三色同順』を狙えばいいですよね。
 それと同様に、端牌や字牌が多い配牌なら、「『混全帯么九(チャンタ)』を狙いましょう、皆さんの手作りの幅が劇的に広がりますよ〜」といった感じで伝えることが大切なのだと思うのです。
 アガリ易い配牌というのは当然存在します。好きな手役というのもあるでしょう。
 それでも、一生に一度しか来ることのないその配牌とツモを、その手牌の最高形に育ててあげることの大切さを伝えることも、麻雀講師として必要なことだと思うのです。
 狙いにくく、作るのが難しい『混全帯么九(チャンタ)』ですが、決して毛嫌いすることなく、『混全帯么九(チャンタ)』を狙える機会があったら積極的にチャレンジするように生徒さんを誘導してあげるのが良いでしょう。

『混全帯么九(チャンタ)』と《役の複合》

 『混全帯么九(チャンタ)』と一緒のタイミングで生徒さんに伝える『役』は『純全帯么九(ジュンチャン)』です。これも『混一色』と『清一色』の時と同様、『純全帯么九(ジュンチャン)』の牌姿を図示し、ホワイトボードや黒板に書いた《混》の字を消して、「ここにはどんな漢字が入るでしょうか?」と生徒さんに質問してみるのも良いかもしれませんね。
 『混一色』と『清一色』の時にもお伝えしましたが、この『混全帯么九(チャンタ)』と『純全帯么九(ジュンチャン)』も兄弟のような関係の『役』ですね。
 『混全帯么九(チャンタ)』は、手牌すべてに么九牌(ヤオチュウパイ)が含まれている形であるのに対し、
『純全帯么九(ジュンチャン)』は手牌すべてに1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)が含まれている形ですね。
 ここでもまた私は生徒さんに質問を投げかけます。「この『純全帯么九(ジュンチャン)』ですが、今まで学んできた役と非常に相性がいい『役』があるのですが……それはいったいどんな『役』でしょうか?」といった質問をするのです。
 ここでは生徒さんからいろんな意見が出ると思いますが、仮に正解が出たとしてもすぐには正解とは伝えません。
 それは何故かというと、生徒さんの理解度には個々で大きな差があるからですね。
 わかる人のペースで講義を進めてしまうと、理解度が遅い生徒さんは一気についてこられなくなってしまいます。
 というわけで、ここではまず、『純全帯么九(ジュンチャン)』と絶対に複合しない役から生徒さんに考えてもらうのです。
 この段階までで伝えてある『役』は、

  • リーチ
  • 門前清自摸和
  • 断么九(タンヤオ)
  • 役牌
  • 平和
  • 三色同順
  • 一気通貫
  • 混一色
  • 清一色
  • 一盃口
  • 二盃口
  • 七対子

 この中で、絶対に複合しない『役』の代表は『断么九(タンヤオ)』ですよね。これはすぐに理解してもらえると思いますが、ここでも『断么九(タンヤオ)』と『純全帯么九(ジュンチャン)』が《対の関係》であることを再認識してもらうといいでしょう。
 そして、次も絶対に複合しない『役』を考えていきます。
 先程お伝えした『混全帯么九(チャンタ)』は、手牌すべてに么九牌(ヤオチュウパイ)が含まれている形であるために、手牌には字牌が必ず含まれている役ですが、『純全帯么九(ジュンチャン)』は手牌すべてに1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)が含まれている形ですから、手牌には字牌が入ってはいけないことになるのですよね。
 つまり、字牌を使った『役』の『役牌』と『混一色』は絶対に複合しない『役』であることがわかると思います。
 そしてあと2つ、『一気通貫』と『七対子』も複合しないということを伝えなければなりません。『一気通貫』は手牌に456という順子が必ず含まれますから『純全帯么九(ジュンチャン)』にはなりませんし、『七対子』は1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)が6種類しかないですから複合出来ないということを伝えるのです。
 そして残った役の中から複合しやすい役を考えてもらうのですが、ここまで説明すると大抵の生徒さんからは正解が出てきます。そう、『三色同順』ですね。
 ここで、あらためてホワイトボードや黒板に1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)が含まれた順子を図示することにします。

  • 一二三(マンズ)
  • 七八九(マンズ)
  • ①②③(ピンズ)
  • ⑦⑧⑨(ピンズ)
  • 123(ソーズ)
  • 789(ソーズ)

 この6種類ですよね。メンツを作る上で、刻子と順子では順子の方が圧倒的に作りやすいことを改めて伝えた上で1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)を含んだ6種類の内、4種類を使って4メンツを作ろうとすると、『三色同順』が非常に複合しやすいということを理解してもらえると思います。
 また、もう少し別の視点からも考えてみることを伝えてみるといいかもしれませんね。
 123や789の『三色同順』を狙っている時に、もう1つのメンツと雀頭を1・9牌(老頭牌〈ロウトウパイ〉)が含まれている形にすることで『三色同順』に『純全帯么九(ジュンチャン)』が複合し、一気に高打点になることをお伝えするのが良いでしょう。
 今回の裏テーマは《対の関係》と《役の複合》であったことが伝わりましたか?
 『役』をお伝えする講義の中でも、ちょっとした工夫でいろいろな麻雀の要素を伝えるこが出来るのですね。それではまた次回。

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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。

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