麻雀長屋のひとびと -第四回「ハラスメント」-

「麻雀コラム」 連載第五回
 麻雀大好き落語家の三遊亭楽麻呂師匠が「麻雀」で
 現代社会を愉快に叩っ斬る!

第五回「振り込め詐欺」

三遊亭楽麻呂

「隠居さん、こんにちは」

「おやおや、八っつぁんじゃないか。今日はどうした?」

「ちょいと、隠居さんに相談が」

「何だい?」

「昨日、家に葉書が来ましてね」

「誰から?」

「それが、民事訴訟管理センターってところからです」

「ずいぶん、お固いところからだな。でっ、何だって?」

「総合料金未納、最後通告ってんですよ」

「やたら難しいな」「お金を払ってない件があり、民事訴訟の訴状が提出されていて、連絡がないと差し押さえをするってぇ内容なんです」

「それはえらいことになったな。お金はキチンと払わなきゃ駄目だよ。で、何を払わなかったんだい?」

「それが、まったく心当たりがないんですよ。自慢じゃないけど、金払いはいい方ですからね。まっ、とりあえず、ここに連絡しなさいって電話番号が書いてあったので、電話してみました」

「それで、どうなった?」

「まずは、料金未納って書いてありますけど、何を滞納してるんですかって聞きましたら、それは答えられないって」

「答えられない?」

「そうなんですよ。で、どうすればいいかと聞いたら、これから言う番号に電話をかけて、弁護士に相談しなさいって」

「それで、その弁護士にかけたのか?」

「ええ、そうしたら、すぐにコンビニに行ってプリペイドカードを20万円分買って、その券の番号を教えろ。すぐにやらないと大変なことになると言われて、その通りにしました」

「プリペイドカードで20万円分?」

「そうなんですよ。しかし、それっきり向こうから連絡がないし、こっちから電話をかけてもつながらないんです」

「ははー、それはやられたな」

「何にです?」

「詐欺だよ」

「えっ詐欺?」

「そうだ」

「そんなことはありませんよ。葉書の差し出し人はきちんとしていたし、第一、訴訟番号までちゃんと書いてありましたよ、そ-355って」

「典型的な詐欺だ。騙されたな」

「えっー、そうだったんですか!!じゃぁ、払った20万円は?」

「二度と戻ってこないな」

「やられたー!!くやしい!!」

「今後は気をつけないとな。今の時代は詐欺天国で、被害総額は年々増える一方だ」

「そうだったんですか」

「そうそう、手口だって星の数ほどある。身近なところでは、メールやラインのなりすましで金をむしり取ろうなんていうのもある」

「それは驚きですが、隠居さんがラインを知ってることにもっと驚きました」

「アタシだってそのくらいのことは知っているよ」

「じゃあ、隠居さんは詐欺に引っかかるなんてことはないんですね」

「当たり前だ。ようは細心の注意力を持つってことだな。アタシの場合、麻雀でこの力がずいぶん身についた」

「へー、やっぱり麻雀はいいんですね」

「そうだ」

「それに考えてみれば、隠居さんは金にシビアですからね」

「大きなお世話だ」

「めったなことでは金を使いませんよね」

「アタシの一番の自慢はここ10年で、大きな出費は一度だけってことだ」

「何に使ったんですか?」

「この間、息子から電話があって、会社の金が入ったカバンを網棚に忘れてきて、このままじゃクビになるから50万円振り込んでくれっていうから、指定の口座に振り込んだんだ。まっ、子供のためだったら50万円なんて安いもんだ。ハッハッハ」

「………………」

関連記事

おすすめ記事

  1. オンライン麻雀『雀魂』が、リリース3周年を記念した「雀魂感謝際3rd」を2022年4月23日(土)1…
  2. U-NEXT Pirates・瑞原明奈プロが2022年4月20日(水)19時から放送されるTBS『東…
  3. Mリーグ・TEAM RAIDEN/雷電で活躍する黒沢咲プロ(日本プロ麻雀連盟)の著書『黒沢咲の 鳴か…
  4. 18周年を迎えたオンライン麻雀『Maru-Jan』。毎日約8000人で賑わう初心者から上級者まで自宅…
ページ上部へ戻る