6月から7月にかけて全5回の日程で「脳トレ健康麻雀サポーター養成講座」という取り組みが千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅にある「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」で開催された。
この柏の葉キャンパスを中心とする柏市全域は「地域活性化総合特別区域」「環境未来都市」の対象地域として選定されており、「健康長寿都市」をキーワードに地域連携による疾病や介護予防、高齢者の積極的な社会参画などの実現を目指すモデルタウンとして機能しています。
今回の講座も、東京大学特任研究員で講座の講師も務める矢冨直美氏が代表の「柏の葉を健康にする実行委員会」が主催し、「地域を健康にするモデルづくりへの参加」がテーマの取り組みとなっています。
健康マージャンの他にも料理や旅行、ウォーキングなどをテーマにした同趣向の講座も開催されており、地域を、コミュニティを健康にする活動への参画を促す良いきっかけとなるものである。
また、今回はこの取り組みの意義に賛同し、マージャン卓メーカーの株式会社ジョイスが、6台のマージャン卓を提供していた。
今回お話を伺った、地域型認知症予防というものの発案者である矢冨先生、そしてこの講座をバックアップするファシリテーター(支援や調整、促進的立場の人)の小熊理恵さんによれば、マージャンの要素には①注意分割機能(複数のことを同時に行ったり、注意を向ける)、②エピソード記憶(体験した記憶を思い出す)、③計画力(新しいことをする時、段取りを考えて実行する)が備わっており、まさにこの3つの機能こそが、認知症になる以前に低下する機能であるそうだ。
翻っていえば、認知症予防として鍛えるべき機能すべてがマージャンというゲームに備わっているというわけだ。
ここでこの講座における「サポーター養成」というテーマに直結してくるわけだが、認知症予防の側面からみても鍛えるべき機能が揃っているマージャンというゲームを高齢者の方々にいかに習慣化して多くの仲間と楽しんでもらうかということが問題となってくる。
もちろんマージャンという競技は楽しくて魅力的なものだが、人数や場所の問題などクリアするべき課題は多いといえる。
そこでこの「脳トレ健康マージャン」というプログラム自体を各地域、各コミュニティに持って帰っていただき、その中でこの活動を実現し、広めていってもらうサポーターを養成しようというのが今回のこの試みであるのだ。
ソーシャルキャピタルという言葉が最近よく使われているが、これは社会やコミュニティにおける人々の協調的関係や結びつきを表すもので、これが高いほどその社会の効率性が高まり、良い影響が出るといわれているが、この地域やコミュニティの結びつき、ネットワークのひとつのツールとして「マージャン」が機能することがこのプログラムの目標といえるだろう。
今回取材した最終日の講座では、20名をこえる参加者の皆さまで今後の活動方針や内容について、グループディスカッションを行っていた。
この方々がそれぞれのコミュニティで活動を始められ、地域型認知症予防のモデルとして「脳トレ健康マージャン」が広まっていくことを大いに期待したい。