麻雀コラム「麻雀店経営サポート」 今回は副業として人気、転売ビジネスにおける古物商許可の内容についてあれこれ解説していきます! 行政書士・社労士:荒木康宏
- 2024/6/2
- 麻雀コラム
今月も先月に引き続いて、サイドビジネスについて解説していきたいと思います。副業ブームの昨今、麻雀営業者の方の中にもサイドビジネスに興味のある方は多いことでしょう。いろいろな情報が溢れかえっていますが、なかでも転売ビジネスに乗り出す人が結構いるようです。仕入れをして利益を乗せて売り払う。一見すると誰でも出来る簡単な副業です。販売先としてオークションもあります。誰でも気軽にできる副業です。
特に最近では、中古品や廃品を仕入れ、手を加え、転売している人も結構います。今回は古物商許可の観点から解説してゆきます。
■古物商許可の要否
なんでもかんでも古物商許可がないと販売をしてはならないかと言われたら、そうではありません。古物商許可の不要な場合ももちろんあります。ただ、線引きが難しいので許可を有していて損をすることはありません。
【古物商許可が必要な場合】
基本的には、業として古物品の仕入れと販売をする際に必要となります。具体的には以下のとおりです。
◎古物を買い取りそのまま売る場合
◎古物を買い取り修理して売る場合
◎古物を別の品物と交換する場合
上記の場合には、古物商許可が必要となります。商売として仕入れと販売をするのであれば必要となります。
【古物商許可が不要な場合】
常に古物商許可が必要かといえばそうではありません。反復継続した業務でなければ古物商許可は必要ではありません。具体的には、以下のとおりです。
◎自分で使用するために購入したものを売る場合
◎無償でもらったものを売る場合
◎海外で購入したものを売る場合
個人的な売買やたまたま要らなくなったものをオークションで売る場合などです。しかし、常にこのような場合とは限らないので古物商許可を取得しておいて損はありません。以下、古物商許可の必要な場合を念頭に解説します。
■変わった古物商許可申請
古物商許可は許認可の申請の中では簡単な部類になりました。ここ10年でかなり簡単な申請に変わりました。正直、私の事務所でも申請が簡単になり過ぎて申請報酬を下げることになりました。ただし、簡単になった分、許可後のチェックが厳しくなりました。それは後述します。
《必要書類》
現在の必要書類は以下のとおりです。
◎申請書
◎過去5年の略歴書
◎本籍が記載された住民票の写し
◎誓約書
◎役所発行の身分証明書
◎URLの使用権限があることを疎明する資料
本当にこれだけです。お客様から報酬を頂き難いくらい簡易になりました。ちなみに、過去の申請で必要だった書類は以下のとおりです。
◎申請書
◎過去5年の略歴書
◎顔写真
◎本籍が記載された住民票の写し
◎誓約書
◎役所発行の身分証明書
◎登記されていないことの証明
◎URLの使用権限があることを疎明する資料
◎事業所の登記簿謄本
◎事業所の契約書
◎事業所の所有者の使用承諾書
◎マンションの場合はマンション利用規約
◎自動車商の場合は駐車場の契約書及び不動産登記簿謄本
これくらい書類が必要でした。古物商許可の書類が減らされたときはかなり衝撃でした。
基本的に、許認可の申請では自己所有不動産ではない場合、不動産所有者の使用承諾書を求められることがあります。風営法の申請では、「使用承諾書が取れれば申請は半分終わり」という位に無くてはならない書類です。逆に言うと、使用承諾書がないと許可は下りません。
その書類が不要になった衝撃は大きかったです。仮に申請書類で古い方の書類を用意すると、不要書類として受け取ってもらえません。
申請書も印鑑が不要になったため、その場で二重線を引いて訂正が可能になりました。記入内容も平易なので、書類作りに慣れていない人でも十分に記入可能です。
上記書類で注意しなければならないのは、「身分証明書」くらいです。これは、運転免許証やパスポートのことではなく、市役所や区役所が発行する破産歴等が無いことを証明する書面です。これは、本籍地の役所でないと取れません。
《申請場所》
申請場所は、事業所を管轄する警察署の生活安全課です。最近の生活安全課は、予約なしで受け付けてくれるところも増えましたが、基本的には予約をしていった方が良いです。
《申請手数料及び標準処理期間》
申請手数料は19000円、標準処理日数は40日です。手数料は証紙で払いますが、現金・カード払いの警察署も増えています。
《その他》
提出して30分位待たされます。特に問題が無ければ受付票を貰い終了です。風営法の担当官と異なり、そこまで細かく厳しい指摘はありませんが、古物商だからと舐めていると痛い目に遭うのでちゃんとやりましょう。後日電話があり古物手帳を取りに行き終了です。
■古物商許可取得後
古物商許可は簡単に取れますが、取った後が大変です。バカにしているとかなり痛い目をみます。
《古物商プレートの作成》
古物商許可番号と事業所名の入ったプレートを作成し、事業所の見やすい場所に掲示しなければなりません。これを掲示しないと法律違反です。これは忘れがちですが、古物商にはこのプレートの掲示義務があります。
警察が見回りに来た際には、「古物商プレートはどこですか?」から会話が始まります。無いと結構きつい指導を受けます。許可後すぐに作らなければなりません。
《販売台帳の作成》
販売台帳の作成は必須です。これも見回りの際に「台帳を見せて下さい」と始まります。載せる内容は、
◎取引日
◎取引相手の住所及び氏名
◎商品名・金額
◎身分確認書類の写し
です。書式は自由です。これが無いとプレートが無い場合よりも厳しく指導されます。冗談抜きでこれが無いと始末書と営業停止を食らうこともあります。
《各種変更届》
各種変更届の提出も重要です。これらが遅れると指導の対象になります。特に管理者と営業所の変更は注意が必要です。
古物商許可の目的の1つに盗品の流通防止があります。ですから、古物商許可は、取得よりも取得後の手続きが大変です。ただし、これも申請書自体は難しくないので個人でも十分に対応可能です。
■古物商での失敗
《取らないリスク》
古物商許可を取得しなくても副業的にやるなら問題ないだろうと思い、無許可でオークションに出品している人も多くいると思います。しかし警察をしっかり見ています。オークションで盗品の見回りをしていることもありますし、大々的に出品をしていて、評価が多い場合は抜き打ち的に警察から古物商許可の有無の確認が来ることがあります。
昔、まだチケットの売買が比較的自由だったころ、大量にチケットや金券を捌いていた人が古物商法違反でしょっ引かれたことがあります。対面でないからバレない、オークションだから大丈夫とタカをくくっていると痛い目に遭うこともあります。
副業的に行うにしても、やるなら古物商許可を持っていた方が安全です。実際に、うちの事務所の関与先でもオークションが発端で指導を受けた人もいます。古物商許可を取得してオークションをやるようにと。
また、税務署からも「オークションの古物の売り上げは?」と言われた人もいます。これは別の話ですが。それ位、役所はネットを監視しています。税務署は、最近のパパ活女子のSNSもチェックして課税ターゲットにしているそうです。ネットだから大丈夫ということはまったくありません。
《許可後に何もしないリスク》
「古物商許可は簡単」という言葉をよく耳にします。しかし、簡単になった分だけ取り締まりは厳しいです。管轄に拠っては見回りが結構あります。ちなみに、自分も見回りを受けたことがあり、指導を受けたことがあります。盗品を売買している場合は別として、一発取消はありませんが、始末書の提出や改善後巡回があります。何もしないまま無視をしていると最悪許可取り消しがあります。私の知り合いでも許可取り消しになった人はいます。
■最後に
「誰かの不要物は誰かの必要物」との言葉があるように、今後も古物の転売は良いお小遣い稼ぎや副業になると思います。もちろんビジネスですから失敗のリスクがあるのは当たり前ですが、許可後の見回り対策だけはしっかりとしておけば十分に稼ぐことが可能なビジネスだと思います。
許可取得は難しくはないので、許可後対策をしっかりしていくのが継続してゆく重要なポイントとなります。!
文:荒木康宏
荒木行政書士・社労士事務所
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