ふうえい裏話 vol.92
by 行政書士・谷田部 智敬
ひとくちにふうえい(風俗営業)といっても、そこには「光」も「闇」もある。
行政書士が見たそんな世界の裏話……。
今年の4月1日、アダルトビデオ(AV)への出演強制問題を受け、業界の健全化を図る第三者委員会「AV業界改革推進有識者委員会」が発足し、「出演者らの人権配慮」「根源的な改革断行」などを提言したそうです。
この委員会の委員には憲法学者や犯罪学者の大学教授、表現規制問題に詳しい弁護士等が委員として名を連ねており、「知的財産推進協会(IPPA)などの業界団体も参加しています。
委員会では武蔵野美術大学の志田陽子代表委員が「表現者にとっての表現の自由は可能な限り守られるべきだが、他者への配慮がないと表現そのものが続かない」として、AV業界が社会に認められる「持続可能な発展」が必要と語り、表現規制などの専門家である山口貴士弁護士は、「『出演者の自己決定権・安全』が確保されて初めて『表現の自由・職業選択の自由』というロジックを使うことができる」などと説明されています。
そして、委員会は「適正AV」とはIPPAに加盟したメーカーが制作し、正規の審査団体の厳格な審査(?)を経て認証された映像のことと定義しています。因みに知的財産推進協会(IPPA)というと立派なネーミングですが、AVメーカーの業界団体です。
業界では有識者委員会が定める規則に従って、「出演者の年齢確認をきっちりやろう」とか「女優にNG事項の確認をしよう」とか「性病検査とコンドームの使用を標準化しよう」とか言っています……。
おいおいおい! 「性病の検査とコンドームの使用の標準化」ってなに?
そういうことが行われている業界だということを、学者先生も弁護士先生も認めているってこと?
それが表現の自由の許される芸術とでも言うんでしょうか?
AV出演強要被害をなくすことに異論はありませんが、その前に「現況のAV業界の実態を認めた上」での議論や法整備なんて、「馬鹿じゃないの」と私は思います。
存在しちゃっているんだからそれを認めた上での議論なんて、業者のお抱え有識者会議じゃないかと思われても仕方ないんじゃないですかね!