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【第10回】麻雀を教えるって、どういうこと?
- 2018/6/8
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麻雀を教えるって、どういうこと?
「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」
この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第10回目は、「一盃口」「二盃口」「七対子」について。
麻雀新聞通巻500号突破おめでとうございます!
私がこの業界に携わるようになった時から何度も目にしてきた麻雀新聞。記念すべき500号に記事を書いているとは夢にも思いませんでしたが、これからも末永く、600号、700号…1000号と続いていくことを心から願っております。
さて、今回は3つの役をお伝えしたいと思います。まず1つ目の役は『一盃口』です。この『一盃口』を伝える時にもかならず図示するようにしたいですね。
今までの伝え方と同様に、3種類の数牌と字牌を使い、順子と刻子共に含む牌姿をホワイトボードや黒板に並べることがまずは大切なことです。
そして次のポイントは、『一盃口』が部分役であるということです。>部分役とは、「手牌の一部が条件となる役」でした。ここまで伝えた役の中で部分役だった役は、
- 役牌
- 三色同順
- 一気通貫
この3種類でしたね。
『役牌』は3枚で作る部分役、『三色同順』と『一気通貫』は9枚で作る部分役だったということをここでは復習しましょう。部分役についての理解をさらに深めるためですね。
その上で、ホワイトボードや黒板に図示した『一盃口』の部分にアンダーラインなどの印をつけ、『一盃口』が部分役であることを伝えるのです。『一盃口』とは、同じ順子が2組ある形のことですね。門前役で1翻の『一盃口』ですが視覚的にもわかりやすいので覚えやすい役だと思います。
ここで大切なことは2つ。『一盃口』は6枚で作る部分役であるということと、6枚で作る部分役は『一盃口』の他にはないということです。
ですから、前述しましたが、この『一盃口』は生徒さんにとっても覚えやすい役の1つであることは間違いありません。
しかしここが問題なのです。『一盃口』がわかりやすく覚えやすい役であるだけに、この『一盃口』を伝えると『一盃口』ばかりを狙ってしまう生徒さんが多くなってしまうのです。
それを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?
私は、以前お伝えした『翻』を用いて説明します。『一盃口』と同じように1翻役で順子を使って作る役に『平和』がありますね。
この『平和』を使った例を図示します。手牌Aのようなテンパイ形を図示し、ここから何を切ったらいいでしょうか?
といった簡単な問題を出すのです。いろんな答えが出るかとは思いますが、ここではまず正解を出さずに、打牌候補を書き出します。
- 1萬切り
- 3萬切り
- 4萬切り
選択した答えは1萬切りと4萬切りに分かれるとは思いますが、まずは3萬切りもあるんだというところからスタートします。
3萬を切ると1萬と9索のシャンポン待ちですねと。しかし役が無いため、3萬を切る場合はこの形のままリーチを選択することが多いですよね。その反面、1萬切りと4萬切りには役が完成しますよね。
1萬切りは『平和』、そして4萬切りには『一盃口』となるのですが……『一盃口』を伝えたばかりですから、この牌姿を見ると4萬切りを選択する方が多くいるかとは思います。
読者の皆さんは当然おわかりですよね。ここでの正解は打1萬です。『一盃口』も『平和』も同じ1翻です(厳密には点数は違いますが)。
しかし、この形の場合、1萬切りは『平和』で2萬・5萬待ち、4萬切りは『一盃口』で2萬待ちですね。
同じ1翻なのに待ちの枚数が違う『一盃口』と『平和』。どちらを選択しますか? と生徒さんに聞けばもう答えはおのずと出るはずです。『平和』ですよね。
この例のように、『一盃口』という役は見た目以上に作るのが難しく、更には点数が安く設定されているのですね。
ですから、『一盃口』という役は積極的に狙って作る役ではなく、手作りの過程において頭の片隅においておく程度に留めておく方がよいのかもしれませんね。
以上のように『一盃口』の説明が終わった後、図示してある『一盃口』と雀頭の部分を残して2つのメンツを抜き取ります。
そしてその抜いた6枚の部分に、もう1つ『一盃口』を組み込んだ(手牌B)上で新たな説明に入ります。このように、『一盃口』が2組ある形が出来ることって、あると思いませんか? と。
そう、『二盃口』ですね。
『二盃口』とは、同じ順子が2つある形が2組、つまり『一盃口』が2組ある形を『二盃口』と呼ぶのですと説明するのです。
『一盃口』の説明を丁寧にしておけば、『一盃口』が2つある形の『二盃口』の説明は簡単ですよね。生徒さんの理解もスムーズに進むものと思います。
ここでもう1つ生徒さんに問題を出すのです。『一盃口』は1翻でしたけど、『二盃口』は何翻でしょうか?
『一盃口』は一だから1翻だよね? だったら『二盃口』は二だから……2翻なのかな? と思う方も必ずいるはずです。
しかし『二盃口』は3翻です。もちろんみなさんはご存知だと思いますが、ここで《美しさ》についての説明が生きるのです。
見た目にも美しく、作るのも難しい『二盃口』。美しいから翻数が高めに設定してあると説明すると理解が深まりますよね。やっぱり女性は美しい形が好きですから。
そしてもう1つ同時に伝える役があります。それは『七対子』です。この『七対子』の説明にはコツとポイントがあります。
何故このタイミングで伝えるのかはまた後ほど。まずは先ほど説明した『二盃口』を図示したものを使います(手牌B)。
手牌Bの牌姿から、7筒(または4筒)を2枚抜いて、代わりに1枚余剰牌(これは字牌が良いでしょう)を1枚加えるのです(手牌C)。
4筒か7筒を引いたら『二盃口』のテンパイですよね。早く4筒か7筒が来ないかな〜って思っていたら……なんと中を持ってきちゃいました。って。でもね、これも役なのですよ〜と。こんな感じの説明です。
ここでホワイトボードや黒板に『七対子』の文字を書き込みます。すると、以前説明した「対子」の説明を覚えている生徒さんならきっとピンとくるはずなのですね。
7つの対子だから『七対子』。対子が7組ある形です。これは今まで説明してきた役の中でも一番簡単な説明となるはずなのです……よね……。
しかしちょっと待ってください。皆さんが慣れ親しんだこの『七対子』、よくよく考えると麻雀の原理原則に反している役だということに気がつきませんか?
麻雀の大原則、それは4つのメンツと1つの雀頭を作ること。しかし『七対子』には1つのメンツもありません。それなのに何故『七対子』は許されるのか?
それは『七対子』がアメリカ生まれの役だからなのですよね。この部分については、歴史的な背景を含めて自分の言葉で説明してあげるのが良いと思います。これぞ各講師の腕の見せ所の部分となるでしょう。
そして後々説明が一番難しい『七対子』の翻数についてです。詳しく説明するのは非常に難しい『七対子』の点数の問題ですが、本当の話をこの段階でしても生徒さんたちが理解出来るはずもありませんよね。
ですから私はこの段階では、《『七対子』は2翻相当》と伝えるようにしています。点数計算の考え方が確立されてから普及した『七対子』ですから、ちょっと特殊な計算方法をするのですが、現時点では2翻相当だと思っていれば概ね間違いはないですよとお伝えするのですね。
そしてここからが今回の山場です。ここで生徒さんに本日最後の質問をするのです。『二盃口』って、よく見ると『七対子』ともとれますよね。『二盃口』と『七対子』、この2つは複合するのでしょうか? しないのならどちらを優先するのでしょうか? と。
- 『七対子』と『二盃口』は複合する
- 『七対子』を
- 『二盃口』を優先する
優先する
この3つを提示して考えてもらうのですよ。
3つの答えを用意しますが、ここではほとんど2つの意見に分かれます。複合するという答えと、『二盃口』を優先するという答えです。
何故なら、『七対子』は2翻で『二盃口』は3翻だから、高い方がいい! という意見ですね。
答えは《『二盃口』を優先する》なんですが、ここで最初に、『二盃口』と『七対子』が複合しない理由から説明します。
それは、《『二盃口』は順子手》で、《『七対子』は対子手》だからなのです。メンツ構成の成り立ちが違うからなのですよね。
『二盃口』を順子に分けて説明すると生徒さんもわかりやすいかもしれませんね。
そして『二盃口』を優先する理由。それは《高め取りの法則》ですね。麻雀は如何なる場合があっても高い方を優先するということなんですが……この高め取りの法則、いろんな例や例えがありますが、それも講師の先生の力量ということで。また機会があれば詳しく説明したいと思います。
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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。