麻雀新聞第275号 1998年(平成10年)6月10日
激変の時代マージャン業は生き残れるか?【4】
これぞ本当の発想の転換
政治・企業・行政・マスコミも巻き込む
必要なのは批判より提案
車の定期点検制度を見習え
社会不安から物を買わなくなった現在の状況は、「心理バブル」と表現されている。将来が見えない時に、1200兆円(※)の預金を使えといっても、難しい。使わざるをえない状況を作るか、強制するしか方法はない。
そこで思い起こすのは、田中角栄時代の自動車の定期点検制度だ。マイカー族はやむをえず点検費を出し、修理工場がどんどんできて、大きな労働市場を創出した。これは継続的な需要となり、大きな産業になった。あれこそ「国家的な新製品」といえるだろう。
携帯電話の流行は数兆円規模で小さいが、周辺の通信ビジネスが育てば、将来は大きな産業となるに違いない。しかし、情報という理解されにくい新分野だけに、そこに一般の金持ちが参入する余地は少なく、経済を活性化する即効薬とはなりにくい。今必要なのは10兆円規模以上の、分かりやすく、誰でも参入でき、急速に発展する産業の創出だ。「批判」より「提案」だ。
不況の原因が土地価格の下落なら、遊休土地を有効利用して建築需要や雇用を生み出すことを考えればよい。
民間には、視点を個人レベルから国家的レベルまで自由に変えて発想できる人は少なくない。官庁が考えると、省益中心で抵抗が出る。より広い支配層の利益になるプランの作成が求められる。政治・企業・行政・裏社会の仕組みを知った上での、バランスのとれた、皆が得する提案が必要といえる。
スポーツ紙のトップ記事に総理大臣が登場するような今は、テレビ・週刊誌を中心とするマスメディアを巻き込んでのムードづくりも必要だ。
では、私なりに1つのプランを描いてみる。
〔私的プラン〕
集まれ!『駐禁党』
〔身近で理解しやすいテーマでの政治団体立ち上げ〕
- 不法駐車をなくすことを目的として、すべてその物差しで判断・対処する政党。
- 不法駐車で迷惑をしている人(タクシー・トラック店舗)に賛同を求めて、基礎になる選挙票田を作る。小さなマージャン業界が火付け役になることも考えられる。
- 地域警察に徹底取り締まりを要求し、組織として証拠・証人も含む通報に協力する。
- 駐車場の建設についての各種優遇制度を提案し、行政に要求する。
- 党の立ち上げは、マスコミを巻き込んでの話題作りと圧力団体づくりのため。
- 必要不可欠な駐車のために、例外を明示する公的な表示板制度を提案する。
〔取り締まり徹底のための方策とその効果〕
- 法的にはほとんど整っているが、米国式に取り締まりを警察から委託する民間または半民間の機関設立のための環境を整える。
- 警察が法を徹底運用しやすい環境を商店街を巻き込んでつくり上げる。
- 有料駐車場の利用が増え、土地に需要が向上する。個人の青空駐車も減少する。
- 駐車管理のための、技術を要しない継続的な雇用が発生する。
- 官庁向けには、各種助成制度のための外郭団体づくりの場を提供する。
店の経営を考える際に、発想の転換とはここまで極端にするものだということを少しでも参考にしていただきたい。
産業の新陳代謝には雇用の移動が伴い、社会不安が起きるが、このプランなら、既存の不動産・建築業を潰さずに新たな需要で蘇生させることになる。たぶん10兆円を超える産業になるだろう。労働・建設・通産・運輸・法務など多くの利権が見込めるし、政治家にも「たかり」の場を用意できる。日本的「もたれあい」の世界に見合ったプランだと思う。意外な視点からの発想により、ハイテクに頼らなくても新たな産業は創出できる。
この程度の提案は毎週でも出せる。しかし、自分のことになると見えにくいのは、なぜだろうか?
(つづく)
※元記事には1兆2000億円とあるが、1200兆円の誤り(麻雀新聞第276号P.7同シリーズ第5回で訂正)