- Home
- 麻雀を教えるって、どういうこと?, 麻雀コラム
- 麻雀を教えるって、どういうこと?第4回
麻雀を教えるって、どういうこと?第4回
- 2017/2/28
- 麻雀を教えるって、どういうこと?, 麻雀コラム
前回の最後に、『最初、役をまったく教えない』といったお話をしたと思います。
それどころか、ポンもチーも、さらにはリーチすらも教えませんし、アガリはツモアガリだけ。ロンアガリがあることもこの段階では教えないといった内容をお話しました。
それは何故か?といったところからお伝えしたいと思います。
理由は三つ。
◉組み合わせを作ることの大切さをしっかりと伝えることが重要
◉麻雀のルールの複雑さをなるべく簡単に伝えるため
◉《役》の概念をわかりやすく伝えるため
前回もお伝えしたように、組み合わせ(メンツ)を作ることは麻雀というゲームにとってとても大切なことです。麻雀の楽しみや醍醐味は組み合わせを作ることといっても過言ではないですからね。
組み合わせ(メンツ)を作れなければ麻雀はアガれないのです。
麻雀はアガることが楽しいゲームですから、なるべく上手に組み合わせを作ってもらうように誘導していくのが、麻雀講師のテクニックだと思うのです。
そのためには、《役》は必要ありません。
ただひたすら組み合わせを上手に作ることだけを考えて頂くのです。
その時には、自分にとっていらない牌を切りますよね。
そこで、対戦相手に「ロン」って言われたらどうでしょうか?切りたい牌も切れなくなってしまいますよね。
上手に組み合わせを作れてツモアガリが出来たら、全員で喜ぶ。
アガれなかった方も、組み合わせが上手に出来たことを褒めてあげる。アガれなくても、捨て牌にシュンツでメンツが出来ていなかったら褒めてあげる。これが大切です(コーツ被りがあったとしても、それは仕方がないと伝えます)。
このようなことを続けることで、組み合わせを作る楽しみをまずは生徒さんに伝えてしまうのです。そうすれば、テンパイを目指す麻雀ではなく、アガリを目指す麻雀にも繋がっていくのです。
次にルールの複雑さについてですが、正直私たち麻雀講師でも麻雀のルールの複雑さには辟易してしまいますよね。
ポンやチーをすると、役が無くなる場合があることや、喰い下がりによって役が下がることを理解していないと、何でもかんでも仕掛けてしまいますし、役がないとアガれないことがわからないと、役無しでも『ロン』って言ってしまう恐れがあります。その度に説明をしても上手く伝わらないと感じます。ですから順を追ってしっかりと説明するために、まずは組み合わせを作ることに特化して生徒さんにお伝えし、役を含めた複雑なルールについてはその都度お話するようにすれば、生徒さん側の混乱は少ないと思います。
そして最後の「《役》の概念」については、《役》の講義と重複してしまいますから、ここでいよいよ《役》について触れていこうと思います。
役についてですが、まず一番大切なこととして『麻雀は役が無いとアガれない』ということを伝えます。でも、これだけでは「役って何だろう?」って思われる方がほとんどです。
そこで私は、
役…形の美しさ
であると伝えます。
本来は、
翻…形の美しさを表す単位
符…形の難しさを表す単位
これが正しい伝え方なのですが、役の単位=翻ですから、これはあながち間違っているわけではありません。
実は私が行っている麻雀教室では、開講時に生徒さんに2つのお願いをしています。
1つは前々回にお話した、『お話したことを忘れちゃってください』ということ。
もう1つは、『麻雀を美しく打ってください』ということです。
《美しく》という言葉は非常に抽象的な言葉ですから、お伝えする上ではすごく便利な言葉です。特に女性の方の参加率が高い麻雀教室においては、《美》に敏感な女性の皆さんにとってとても魅力的に聞こえるはずです。
美しくとは?
と聞かれると、それは所作や動作、姿勢や立ち居振る舞いのことももちろんそうですが、麻雀自体を《美しく》打ってくださいとお伝えするのです。人によって美的感覚はそれぞれですが、《美しい形》を作ってくださいとお願いするのです。最初の講義の時に。
そうすると、ここで最初にお伝えしてあった2つのお願いとリンクするのです。
形が美しくなればなるほど、麻雀は点数が高くなるんだと伝えると、生徒さんの役に対しての取り組み方や食いつき方が違うのです。役をたくさん覚えなきゃいけないと思うと嫌な顔をする方もいらっしゃいますが、最初から『忘れちゃってください』とお伝えしていますので、生徒さんも非常にリラックスして講義を聞いて頂けるのです。
そしてここで、役を伝える上で私が大切にしていることが1つ。
それは、役を伝える時には使用頻度や出現頻度の高い順に伝えるということです。
麻雀の入門書などでは、翻数順に記載されている本がほとんどだと思います。
しかしそれでは、本当に大切な順に覚えていくことが難しいばかりか、何を狙えば良いか?という判断がつきにくいといったデメリットもあります。
さらに麻雀には、セットで覚えた方が良い役や、対の関係になっている役もありますし、1つの役を理解した上でないとわからない役もありますから、役を学ぶ上では覚える順番が極めて大切なのです。
なかなか出現しない役を一生懸命覚えても、その役が全然出来なければ覚える気持ちも萎えてしまいますよね。それよりもたくさん出てくる役をしっかりとマスターした方が、麻雀が上達するスピードも上がるはずです。
そんな中、私が最初に伝える役は2つ。
『リーチ』と『ツモ』です。
麻雀教室の中には、『リーチ』を最後にお伝えしている教室も多いと聞きます。
『リーチ』を覚えてしまうと、手作りが疎かになってしまうからだと聞きました。実際私もそう思います。が、それでも私は『リーチ』を最初に伝えるのです。デメリットと共に。
キーワードは【門前】と【聴牌】。
ポンやチーをしない、つまり自分の力だけで手を作っている状態を表す『門前』という用語と、後1枚でアガれる状態を表す『聴牌』という用語を伝えるためです。これは『ツモ』にも共通する言葉です。
『ツモ』の正式名称は『門前清自摸和』。
門前で聴牌している時に、自分で持ってきた牌でアガることですよね。この時に合わせて伝える言葉が『ロン』です。自分で持ってきた牌でアガる『ツモ』に対し、他の人が切った牌でアガるのが『ロン』ですよね。
ここで、今までツモアガリしかやってこなかったことが生きるのです。
麻雀は、《役》が無いとアガれない。でも、今までも立派な《役》を作っていたんだよと。それが『門前清自摸和』。皆さんは知らない間に役を作っていたんですよと伝えると、麻雀は自分で持ってくればアガれるということが身につくのです。
しかしここで厄介な問題が発生するのですが今回はここまで。
その問題についてはまた次回に。