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【第9回】麻雀を教えるって、どういうこと?
- 2018/6/8
- 麻雀を教えるって、どういうこと?, 麻雀コラム
麻雀を教えるって、どういうこと?
「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」
この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第9回目は、美しき「混一色」と「清一色」について
前回より、美しさについてさらに深く考えるようになりましたね。
今回は見た目にも美しく、比較的理解してもらいやすい役を2つお伝えしたいと思います。
混一色をどう教える?
次にお伝えする役は、『混一色』( ホンイーソー) です。一般的にはホンイツと言うことが多いですね。
1種類の数牌と字牌で作る形の『混一色』。
この『混一色』をお伝えする場合も、あらかじめ図示しておくのが良いです。
図示する牌姿には、順子と刻子を共に組み込んだ形にするのが良いでしょう。そしてこの段階ではまず雀頭を字牌にすべきです。そして数牌はわかりやすくマンズにするのが良いと思います。
字牌を刻子にする方法もありますが、何故字牌を雀頭にするのでしょうか?
それは、他の役を手牌に組み込まないようにするということです。『混一色』の形を理解してもらいやすくするために、まずは雀頭を字牌にしておくのが良いということですね。
そして、この『混一色』で最初に伝えるべきことは、『混一色』が全体役であるということです。
牌姿に関わらず、手牌が字牌と一種類の数牌で構成される役だということをわかりやすく伝えるために、順子と刻子を複合した牌姿で雀頭を字牌にするのですね。
ここで注目するのは、『混一色』の【混】です。
【混】というのは、一色に字牌が混じっているという意味なのです。
この【混】の字、この後チャンタや混老頭でも出てくる漢字ですから、生徒さん達の頭の片隅に残るような伝え方が出来るのがベストだと思います。
そして、私はここで生徒さんに質問をします。
この『混一色』ですが、ここまで学んできた役の中で非常に相性が良く、複合しやすい役があるのですが、それは何でしょうか?また、絶対に複合しない役は何でしょうか? と。
ここまで学んできた役は、
- リーチ
- 門前清自摸和
- 断么九
- 役牌
- 平和
- 三色同順
- 一気通貫
この7種類ですよね。まずはわかりやすい方から考えます。
絶対に複合しない役から考えてみましょう。
『混一色』とは、1種類の数牌と字牌で作る形でしたよね。ということは、3種類の数牌が必要となる『三色同順』と『混一色』とは絶対に複合しないことがわかりますよね。
次に、字牌が混じる手役ということで、字牌を使ってはいけない手役とは複合しないということがわかります。
つまり、『断么九』と『混一色』も絶対に複合しないということになりますね。
そうすると、複合しやすい手役がおのずとわかると思うのですが、何だかわかりますか?
ここまで言えば、大抵の生徒さんは反応するはずです。
字牌を使った手役、そう、『役牌』ですね。
ここで、図示した手牌の中に組み込んだ数牌の刻子を差し替えて、役牌を混一色の牌姿に組み込みます。
(あらかじめ、数牌の刻子は九としておけば、自然と交換しやすいですね。差し替える役牌は三元牌の中か發が良いと思います。視覚的にも、説明のしやすさからも)
そうすると、字牌を使った手役の『役牌』と『混一色』の相性の良さは一目でわかるはずですね。
この時に、余裕があれば他の手役との複合について触れてもいいかもしれません。
一気通貫は比較的複合しやすい役であるとか、平和は複合するケースもあるけれど、役牌以外の風牌が雀頭でなければならないため、意外と複合するケースは少ないということなどを差し込んでお話すると、理解度の進んだ生徒さん達にも喜んでもらえるのではないでしょうか。
そしてこの『混一色』を伝えるのに、最後に伝えることは『混一色』の翻数です。
『混一色』は視覚的にも非常に美しい手役であるために、アガった時にもらえる翻数が多いということを伝えるんですね。
『混一色』は門前で3翻、喰い下がり2翻だと伝えるのですが、このタイミングで『役牌』を「ポン」することの有効性を伝えてもいいのかもしれません。
ポンやチーをして翻数が下がったとしても、『役牌』における翻数の向上があるようならば、『役牌』を「ポン」することも十分に有用な方法だと伝えるのです。
話は遡ってしまいますが、私は『役牌』を伝える時に、『役牌』となる牌が河に放たれても「ポン」していいよ! とは伝えません。逆に、最初は「ポン」をしないように伝えます。
何故かというと、最初から「ポン」をしていいよと伝えてしまうと、『役牌』となる字牌を対子で持っている時には、すべて「ポン」しなくてはいけないという錯覚に陥ってしまうからです。
『役牌』を「ポン」することの有効性を上手く伝えるためには、「ポン」すべきタイミングで「ポン」をすることが大切で、必ずしも「ポン」をしなければならないわけじゃないんだということを上手く伝えることが出来るかどうかが、麻雀講師の腕の差だと私は考えています。
そういった点からも考えると、この『混一色』を伝えるタイミングこそが、「ポン」や「チー」を本当の意味で伝えるタイミングだと思うのです。
役満を除いた役の中で一番高い役である美しい清一色
さて、次に伝えるべき役。麻雀をご理解している皆さんならもうおわかりですね。
そう、『清一色』(チンイーソー)です。こちらもチンイツと呼ぶことが多いですね。『清一色』とは、1種類の数牌で作る役です。
先程の『混一色』をご理解してもらえていれば、この『清一色』の説明は本当に簡単です。
先程図示してあった『混一色』の牌姿(九と字牌の刻子を差し替える前の牌姿です。)の雀頭の字牌の部分を、同じ色の数牌の雀頭に差し替えるのです。
ここで私はホワイトボードや黒板に、『混一色』と書いた部分の【混】の字を消し、1種類の数牌と字牌で作った形と書いた部分の《と字牌》という部分を消して、生徒さんに質問するのです。
今、ここに【混】と書いてあった部分には、別の漢字が入ります。
さて、どんな漢字が入るでしょうか? と質問するのです。
生徒さんからは、色々な答えが飛び交うはずです。
しかし、ここに【清】の字が入ることの正率って意外にも高いんです。麻雀をまったく知らなかった初心者の方でもです。
それくらい、【清】という文字の美しさにおけるインパクトは強いということになります。改めて麻雀を発明した中国の皆さんの素晴らしさに私は毎回感激するのですが。ここで伝えることはそれほど多くありません。
『清一色』の美しさをまず理解して頂いた後に、いきなり翻数の話をしてしまっても構わないでしょう。
『清一色』は門前6翻、喰い下がり5翻の役ですね。
これは、役満を除いた役の中では一番高い役であることをまずは伝えます。
そして、美しさと同時に、作ることの難しさも伝えなければなりません。
1種類の数牌36枚中、14枚を自分の手の中で使って形を作ることがどれくらい難しいかということは、自身の体験も交えて伝えてあげる必要があるでしょうね。
だからこそ、役の中では一番高い役であるのが『清一色』であると伝えると、生徒さんは必ず『清一色』に強い憧れを抱いてくれるはずです。
しかし、作るのは難しい『清一色』ではありますが、意外にも作るのは簡単だということを伝えてあげることは大切です。それは、必要な数牌以外の牌をみんな切ってしまえばいいということです。
麻雀を覚えていくと、なかなか思い切りよく牌を捨てていくことは出来なくなってしまいますが、麻雀を覚えて間もないタイミングであれば、実はそれほど難しいものではないのです。
事実、この『清一色』を伝えた時の麻雀教室での『清一色』の和了率はビックリするくらい高いのです。
それだけピュアに手役を狙うことは大切だということなんですね。とはいっても、『清一色』のデメリットも伝えなければなりません。
それは、待ちが複雑になるということと、相手に何をやっているかわかりやすくなってしまうということです。しかしそれも現時点ではあまり問題がないですよね。
初心者の方同士の麻雀であれば、何を狙っているかなんてわからないでしょうし、待ちが複雑になってしまうことに関しては、生徒さんに「私の頭も使って一緒にゆっくり考えましょう!」と伝えるだけで解決します。
複雑な待ちを瞬時に答えることが出来れば、「やっぱり先生ってすごいんだ!」ってことにもなりますからね。一石二鳥ってわけです。(笑)
今回はここまで。次回は3つの役の説明をしたいと思います。
PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。