新式麻雀タクティクス 第7回 | 麻雀新聞

新式麻雀タクティクス 第7回

皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。

先日、最高位戦の特別昇級リーグで準優勝し、C1リーグに昇級することができました! 優勝はできなかったのですが、その悔しさも糧に、来期はB2目指して頑張りたいと思います。

◎強者はチートイも上手い?

さて、前回は麻雀駅伝の話を少し挟みつつ、「大会やタイトル戦の戦い方」について触れたのですが、今回はまたテーマをがらりと変え、「チートイツ」でいきたいと思います。このチートイツという役ですが、私が知る限り、人によって好き嫌いが分かれることが多いようです。「イーシャンテンの受け入れが最大で9枚、平均14巡でやっとテンパイ」と言われると確かに非効率な印象がありますが、しかし、形が決まったメンツ手と違って受け入れとなる牌を選べるという長所もあります。打ち手の自由が利く役だと思うのですね。好き嫌いは置いておくとしても、麻雀が強い人というのはこの「打ち手の自由」を上手く活かせる人であるはずで、するとチートイツが上手い人というのは、自動的に麻雀が上手い人になる……というのは飛躍しているかもしれませんが、そんな思考もあって私は結構好きな役です。

◎無筋1.9牌待ちは即リーチ

牌図A 麻雀牌 萬子6麻雀牌 萬子6麻雀牌 萬子7麻雀牌 萬子7麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子6麻雀牌 筒子6麻雀牌 索子3麻雀牌 南麻雀牌 南

東一局西家ドラ麻雀牌 白 3巡目

チートイツと言えば、何待ちでリーチにいくかというのが一つのテーマだと思います。大抵はイーシャンテンで3つ残している牌の中にリーチしやすい牌があるので、テンパイと同時に良い待ちでリーチできることが多いのですが、たまに牌図Aのように早々とテンパイが入ってしまって数牌の仮テンになるケースがあります。そんなとき、一枚着れの字牌やドラ、自分の河の筋牌になるまで待つという人が多いと思いますが、その待ち候補に無筋1.9牌を入れるということが、近年の戦術で取り入れられてきています。

チートイツはリーチしてこそ旨味のある手です。ダマで1600の手がツモ裏裏で跳満、裏

が乗らなくてもツモで1600・3200はかなり大きな加点です。そして待ちが少なく読まれにくいので、リーチして相手をオロせたときの効果も高い手です。めくりあいになるとかなり不利ですし、一巡でも早くリーチをかけて主導権を握ることが、せっかくのテンパイを活かせる道なのです。だから理想は即リーチ。無筋1.9牌でもリーチといければ、その機会は増えます。そして同時に、無筋1.9というのは意外といい待ちで、リーチしても筋・壁・タンヤオがつかない・余りやすいなどの理由で相手から打たれやすく、筋2.8単騎待ちよりもアガリやすいことが統計的に出ています。印象としても本当によくアガれるので、やったことがない人は是非お試しを。ダマで1600をアガる回数がぐっと減りますよ。

◎チートイドラドラはリーチ?

牌図B 麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子8麻雀牌 萬子8麻雀牌 筒子1麻雀牌 筒子1麻雀牌 筒子6麻雀牌 筒子6麻雀牌 西麻雀牌 西麻雀牌 東

東一局西家ドラ麻雀牌 萬子2 8巡目 東は生牌

子で6400、親で9600のチートイドラドラは、リーチをかけなくてもすでにかなり高く、最大3枚しかない待ちではツモりにくいというのもあって、ダマに構えたくなる手だと思います。しかし一方リーチをかけても、ツモで跳満、ツモ裏裏なら倍満という高打点は魅力なので、良い待ちであればさらなるチャンスと見て、勝負を決めにいくリーチを打つのも良い選択でしょう。いずれにせよ+の収支には違いないのですが、牌図Bのような手のリーチ判断は実戦でときに迷ってしまうもので、明確な指針が欲しいところです。実際に、どちらが得と言えるのでしょうか?

実は最近の統計では、チートイドラドラはリーチした方が平均収支で上回るというデータが出ています。

ドラ待ちチートイツならダマでもなかなか出ないので、リーチして打点を上げ、相手の足止めもするのが基本的に良い選択だと思われます。しかし、ドラドラがすでに確定していて他の牌で待てる手の方は、本当にリーチそのものが収支を良くしていると言えるのか、疑問が残ります。というのも、チートイドラドラをリーチしている状況というのは、かなり自信がある待ちであることが多いので、中盤以降の生牌字牌や中盤の無筋1.9牌など、悪くはないが確実というほどでもないような待ちで迷う場合の指針になり得るのか、微妙なところだからです。

5200愚形をリーチする現代麻雀なのだからこれもリーチ、でも良さそうなのですが、こちらは確定で上がる打点が1600点しかないことと、出アガリもできそうな待ちになるまで待つという選択が取れる分、ダマにも利点があります。理想は、そういう待ちで相手をオロしながら、和了率はそのままに打点を上げることでしょう。つまり結局は待ちによるということになってしまうため、悩みはつきないのですが、一つの結論として、リーチするチャンスを窺っていくべき手であるということは言えると思います。いつもダマにするという人は、空振りを恐れずもっと積極的にリーチすることを検討してみるのがいいのかもしれませんね。

◎トイツ場はあるか?

最後に、素朴な疑問を少々。牌がやたらと重なってきて横に伸びないときってありますよね。そういう場をトイツ場と呼んだりします。以前は私も序盤の捨て牌に被りが多いとトイツ手や暗刻手を好んで狙ったものですが、実際のところ、ただ人がオーバーに感じているだけなのか、それとも縦に伸びやすいときは何かメカニズムがあるものなのでしょうか? あったら面白いなと考えつつ、発見できていません。ツモ筋という概念はオカルトかもしれませんが、山に残っている牌を見比べる牌譜検討なんてしてみるのはありかもしれませんね。色々と結論が出ない話題ばかりでしたが、そういう部分があるから麻雀は面白いわけでもあり、チートイツはそこに一役買っているような役なのだと思います。

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