新式麻雀タクティクス 第3回 | 麻雀新聞

新式麻雀タクティクス 第3回

皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。

前回は「手作り」について、昔と今で変わったと思われるところをご紹介しました。そして、今回のテーマは「リーチ判断」です。

手作りも大事ですが、最後には、育てた手を活かすも殺すもここ次第というところがあります。リーチかダマかというこのシンプルな選択は、そのまま結果も二分します。牌姿を3つご用意したので、早速ですが、1つ目からご覧下さい。

◎愚形役有りでも

牌姿Aは、北を切れば子でタンヤオドラ1の聴牌。リーチをするかしないかという局面です。

待ちが悪くてリーチしてもアガリにくく、3筒か7筒引きで両面に変わるため、役有りならひとまずダマという打ち方が以前は多かったように思います。このままアガっても良し、手変わりしたらそのとき真っ直ぐ攻めるという考え方ですね。

しかし、この手はリーチするのが現代風です。リーチ・ツモで満貫、出て5200の手はすでに十分な勝負手で、確かに待ちは悪いのですが、2600や1000・2000で終わらせるのは少々もったいないと思いませんか。

しかも、両面に変わったからといって和了率が今の倍になるわけではありません。

そしてその手変わりする牌は2種類しかなく、一巡毎に特定の牌を引く確率は3%程度ですから、両面になるのを待っても平均16巡かかります。つまり、良形変化を待つというのは、意外と現実的ではないのです。

であれば、それよりは現状の打点を上げるのがベターというのが、今風の考え方なのですね。そして、リーチにはそれ以外にも、相手の手を止めるという効果があります。これはこのように待ちが悪いときは特に有効で、リーチすれば相手はほとんどの場合で、5筒以外の牌で止まってくれるでしょう。つまり、相手の和了率はぐっと下がるのです。ダマにすれば相手は好きに手を進めます。ダマを選択するにも、そのことを忘れてはいけません。しかもそのとき5筒がこぼれやすい牌かといえば、そうでもないのです。

よって、現代風にはリーチがおすすめです。空振っても聴牌料があるので、損な選択になることはほぼなく、打点上昇という目の前のメリットを素直に取りにいっていい、そんな手なのだと思われます。

◎良形役有りでも

牌姿Bは、子でタンピンドラドラの聴牌。待ちは両面ですが、今度はダマでも満貫あります。わざわざリーチして当たり牌を止められたくないので、一見ダマに構えたくなるところです。

しかし、これも現代風はリーチが主流だと思います。ダマでも出て満貫ですが、リーチ・ツモなら跳満です。早い巡目の良形ならリーチしても和了率はかなり高く、打点上昇を取りにいく方が収支は良くなります。前回、現代の主流は「攻め」ということについても触れましたが、これをリーチしてツモりにいく打ち手とダマで討ち取ろうとする打ち手、どちらがトップを多く取るかといえば、前者だと思います。リーチとツモはワンセット。ツモベースの方が他家と点差は開きやすいのです。

ダマを考えるなら、捨て牌3段目。ツモれる可能性が下がってきたら、ダマでもいいでしょう。早い巡目や、迷うくらいならリーチがおすすめです。そのくらいリーチは強いというのが、現代戦術研究の一つの結論なのです。

◎現物張りでも

最後に、現物張りについてです。牌姿Cは子の先行リーチがかかった同巡にタンピン三色を聴牌した局面。北は現物で、待ちの5萬8萬も両方リーチ者の河に捨てられています。

結論を先にいってしまうと、これだけ好条件が揃えば、流石にダマが良いでしょう。北は安全牌なので他家2人から見ても目立たず、リーチが入った直後に最も切られる可能性が高いのは、現物です。現物張り程、リーチしないことで和了率に大差のつくダマテンもないでしょう。

しかし、この現物張りでさえ、状況が変わればリーチの選択肢が出てきます。もし、脇の2人がオリ気配だとします。現物ばかり並べて、押し返す気配がない場合、もっといえば、現物を並べ終わって、筋を頼って手詰まり気味に打っているときなどが、チャンスです。

オリているなら、現物の数牌は真っ先に打たれる牌です。それが打たれないということは、持っていないとも考えられます。すると残りの5萬8萬は、リーチ者の手牌に使われていない限り、すべて山生きと考えられるのです。自分も安全牌ばかり引いてくるはずもなく、危険牌を通し続ければいつかはマークされます。ならばタイミングを見計らってリーチするのも良いでしょう。

リーチは最強の武器。ダマテンで高い手をさっとアガるのも華がありますが、やはり「実利」と「攻め」に重きをおく現代麻雀においては、チャンスを見つけて積極的に使っていくことが大切なのだと思います。

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