麻雀店経営サポート「例年と算定方法が異なる令和4年度確定保険料についてわかりやすく解説!」 文:行政書士/社労士・荒木康宏

◼はじめに

この時期になると、労働局から緑や青の封筒が届いている事業所さんも多いと思います。そうです、労働保険料支払いの時期がやってきました。今年度は計算方法が変わっていたりするので、この機会に簡単にまとめたいと思います。

労働局からの封筒はかなりの厚みがありますが、手引きを見なくてもこの記事の内容さえ頭に入っていれば簡単に計算と申告が出来ると思います。

◼労働保険とは

労働保険は、労働者災害補償保険と雇用保険がセットになったものの総称です。セットで加入なので片方だけ加入するのは原則できません。労働保険は、労働者のための保険なので、経営者は加入できません。アルバイトのみで週20時間未満の労働者ばかりであれば、雇用保険分は加入しなくて済みますが、労働者がいる以上、労災は絶対加入です。経営者は、労災の対象になりたければ、事業組合に加入して特別に労災の対象になることが出来る特別加入をしなければなりません。建設業ではよくありますが、一般的なサービス業では特別加入をする経営者は少ないです。

◼申請時期

今年度は、6月1日(木)〜7月10日(月)までです。大きな声では言えませんが、多少遅れても大きなペナルティはありません。仮に、申請が遅れたまま忘れていた場合は、労働局からお尋ねの書面が来ます。そこで、申告をすれば問題はありません。多少の延滞金は生じます。

では、それも無視したり忘れていたりした場合は、どうなるかと言うと、労働局で前年の金額を元に保険料の計算がなされ支払い請求が来ます。これが来ても、修正申告をすれば問題ありません。

◼基本的な申告の仕組み

労働保険の仕組みは、保険料の前払いと事後清算で成り立っています。前払いと清算を繰り返します。ただ、当然人数の多い事業所だと入社や退職があるので、充当や還付が生じます。

◎その年度に支払うであろう概算保険料を計算します。その概算保険料を支払います。

◎年度が終了した段階で、実際に支払った給与を元に確定保険料の計算をします。

◎概算保険料を払い過ぎていれば、今回支払う確定保険料に充当します。足りなければ、今回支払う確定保険料に上乗せします。

◎毎年この概算保険料計算、確定保険料計算、保険料の清算、保険料の支払いを繰り返します。

小規模事業所であれば社員の出入りが少ないので、概算保険料と確定保険料に差異は出なくなりますが、前述のとおり、規模が大きいと社員の出入りがあるので差が生じてきます。

◼必要な書類等

労働保険料を計算する上で必要な書類は以下のとおりです。

《申請書》

申請書は、労働局から毎年送られてくるので問題はないと思います。

《支払い給与明細》

その年度の4月1日〜3月31日までに支払った給与の総額が分かる資料。賃金台帳や給与明細等。パートやアルバイト分も含みます。役員や経営者を抜いた分の給与と考えて下さい。

必要な書類は少ないです。また、給与明細は労働局に提出しないので、形式は問いません。自分で把握できる書式であればパソコン内のデータでも問題ありません。

余談ですが、よっぽど変な申告をしていなければ、労働局からの調査はありません。社会保険は3年に1回位の割合で保険料調査がありますが、労働保険の調査はほとんどありません。

◼計算方法

保険料の計算方法は以下のとおりです。

①実際に労働者に支払った給与の総額に労災保険料率と雇用保険料率を掛ける。確定保険料を算出する。

②確定保険料と概算保険料を比較し清算をする。充当や還付を行う。

③今年度の概算労働保険料を計算し申告する。

この①から③までの計算をするだけとなります。

労働局から送られてくる書類は、分量も多く細かいため面倒臭そうに思えますが、基本的な計算はこの3つに集約されます。

◼️具体的な計算と

注意点

今年度だけ計算方法が異なります。コロナ禍における雇用調整助成金の支給により財源が枯渇したため、保険料率が上がりました。そして、その変更年月日が事業年度の途中からなので、今年度だけ保険料の計算を半年ごとに保険料率を区切りしなければなりません。計算方法は以下のとおりです。

◎前期(4月1日〜9月30日)分を計算する。

◎後期(10月1日〜3月31日)分を計算する。

この2つの合計が確定保険料の金額です。この確定保険料の金額と前年度に申告した概算保険料の金額を精算して、充当、還付等を行います。

通常であれば、確定保険料の計算時に保険料率が変わることはないのですが、上記の理由により今回だけ2つに分けて計算し合算します。

これは、今回の確定保険料の計算だけの話で、今年度の概算保険料は、通常とおり一定の保険料率を掛けて算出します。

では、具体的な計算例です。

一般の事業(サービス業全般)を営んでおり、概算保険料を10万円で申請している事業所が今年の精算をする場合です。令和4年4月1日から令和5年3月31日までに支払った賃金総額が2000万円とします。前期1000万円、後期1000万円を支払ったとします。

【清算】

◆前期分1000万円×9・5/1000=95000円

◆後期分1000万円×13・5/1000=135000円

◆95000+135000=230000円

◆230000ー100000=130000円

確定保険料から申告済み概算保険料を引くと13万円不足しています。これは、追加で今回支払わなければなりません。

【概算】(令和5年4月1日〜令和6年3月31日まで)

今年度も2000万円の支払いで概算を出します。

◆15・5/1000×2000万円=31万円

◆上記不足金額13万円を追加納付するので、31万円+13万円=44万円を今回納付します。

このほかに一般拠出金もありますが、微々たる金額なので割愛します。このように、今までよりも保険料が結構上がります。雇用調整助成金を長期間受給していた事業所は仕方ないとしても、まったく受給していなかった事業所はたまったものではありません。

国のやることなので、一度上げた保険料はよっぽどのことが無い限り下がらないと思います。この先ずっと高い保険料を支払うことになりそうです。

◼途中から

加入する場合

まだ労働保険に加入していない事業所で今から加入を考えている事業所は、以下の流れになります。

①労働基準監督署から労働関係成立届を貰い記入し提出する。

②概算労働保険料を計算する。

③概算労働保険料を支払う。

④労働関係成立届の写しをハローワークに持参し、雇用保険加入をする

概算保険料の計算のみなので、上記の例だと、本事業年度に支払う保険料率で計算します。精算をするのは、事業年度からです。

◼申告方法

労働保険料の申告は、紙でも電子でもどちらでも可能です。電子申告をすると電子納付が出来るので、その分楽かもしれませんが、大幅な保険料の割引はないので、イータックスのように電子がお得ということはありません。

◼分納

労働保険料の納付が40万円以上の事業所は3回に分けての分納が可能です。通常の小規模事業所だと分納が適用されない事業所が大半です。

◼最後に

労働保険に加入していれば、労災が適用になり各種手当の対象になりますし、事業の種類によっては、助成金の対象になることもあります。現在適用事業所になっているのであれば、このまま継続して保険料を支払い、まだ未加入であれば早めに加入するようにしてください。

 

文:荒木康宏

荒木行政書士・社労士事務所

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