新式麻雀タクティクス 第12回 | 麻雀新聞

新式麻雀タクティクス 第12回

皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。

前回、「麻雀の守備=失点を回避するための選択」というお話をしましたが、しばらくこの「守備」について、色々な選択をご紹介していきたいと思っています。そして今回のテーマはその中の一つ、「アシスト」です。

麻雀をやっていてあまり聞きなれない言葉だという方もいるかもしれません。アシストというと、スポーツでよく使われますね。しかし、麻雀にもアシストはあるのです。

◎自分に都合のいいアガリなら、自分のアガリと同じ

たとえば自分が大きなトップ目で南三局、今二着目の親番だとします。たとえリードしていても、親からリーチが入ってサクッと6000オール、逆転などというのは、赤あり麻雀ではよくあることです。

よってトップ目の自分としては、すでに点差はあるので、その局のテーマは加点ではなく親落としです。今のリードを守ったまま、局を消化することなのです。

だとすれば、自分でアガるだけが手段ではありません。つまり、親以外の他家にアガってもらっても、点差を守れるので自分で流すのと同じ価値があります。

だから「アシスト」です。

具体的には、下家が鳴いたら、自分の手牌を崩してでも積極的に鳴かせにいくのです。打って問題ない点差であれば差し込みまで面倒を見ます。自分で前に出ず、下家が使えそうな牌を片っ端から切るので、自然と安全牌をたくさん抱えることになり、後々親のリーチに放縦する心配もありません。

どんな牌を切ったらいいのか、自分のアガリは捨ててしまっていいのかという疑問もあると思いますが、まずはやってみることをお勧めします。「この局面であればアシストが有効だ」というのを知っているか知らないかというのは、とても大きな差です。言われてみれば気づくのですが、知らないとつい律儀にオリたり絞ったりして、実は親のリーチが飛んでくるのを助けてしまったりします。

点棒は守るだけでなく、使ってこそ集めた意味があります。リードは選択肢の広がりなのです。点差を利用して諦めさせ、他家を使い、自分に都合の良いゲームメイクをしていくことで、本当にしっかりと「守る」ことができます。

◎展開は作るもの

牌図A 麻雀牌 萬子2麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子7麻雀牌 萬子9麻雀牌 萬子9麻雀牌 筒子2麻雀牌 筒子5麻雀牌 筒子9麻雀牌 索子1麻雀牌 索子5麻雀牌 索子6麻雀牌 中麻雀牌 中麻雀牌 北

ドラ麻雀牌 索子1 1巡目

牌図B 麻雀牌 萬子1麻雀牌 萬子1麻雀牌 萬子1麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子5麻雀牌 萬子6麻雀牌 筒子3麻雀牌 筒子4麻雀牌 筒子7麻雀牌 筒子8麻雀牌 筒子9麻雀牌 索子2麻雀牌 索子2麻雀牌 北

ドラ麻雀牌 白 7巡目

牌図C 麻雀牌 萬子4麻雀牌 萬子6麻雀牌 萬子8麻雀牌 筒子5麻雀牌 筒子9麻雀牌 索子1麻雀牌 索子2麻雀牌 索子5麻雀牌 索子7麻雀牌 東麻雀牌 西麻雀牌 北麻雀牌 発麻雀牌 中

ドラ麻雀牌 萬子3 1巡目

 

ふわっとした話ばかりでなく、もっと具体的に牌図を使って例を挙げてみたいと思います。

まず牌図Aですが、これがたとえばオーラス、1000点アガれば三着に浮上するラス目の手牌で、上家がトップ目だとします。つまり、利害は一致していて、上下の協力ができます。ただ、トップ目と二着目が5500差で、親は二着目、こちらも競っています。トップ目は5200までは差し込みが可能ですが満貫は打てないといった状況です。

何がいいたいのかというと、ここでは初打、⑨でも北でもなく、「ドラ切り」を推奨します。

この局面はやや極端ではありますが、他家からの差し込みまで期待したい状況のとき、自分の河にドラを並べておくとおかないとでは、差し込んでもらえる可能性が全然違います。赤ありではドラが見えない段階では満貫を否定しにくく、トップ目もアシストまではしても、放縦はしてくれないかもしれないのです。だから、今切ります。自分が安いという無言のアピールで、安心して自分に全面協力してくれるように環境を整えておくのです。

次に牌図Bですが、これも最初に述べたような「リードしていて親落としをテーマとする局面」では、ダマが有効です。

もちろん役がないのでリーチでアガリにいっても、良形でそう問題はないのですが、ダマでもツモればアガれて、オリや差し込みの選択肢も残ります。そしてリーチを打つということは、他の子方を抑えつけるということです。せっかくみんなで落とそうとしていたところを、親との一騎打ちにもっていくことになり、自分のリスクも跳ね上がります。アガリにきている他の子を自由に打たせるのも、一種のアシストなのです。

最後に、牌図Cですが、これもBのときと同じ局面だとすると、自分のアガリなどほぼ見ません。

最初は端牌を切っておき、下家の手が進んできた段階で鳴けそうなところを切っていきます。そしてここで注意するのは、字牌の扱いです。白や中という他家全員が使える役牌を切れば、鳴きが入る可能性は二軒いる子の方が高いので、これらは中盤まで引っ張り重ねてもらう時間を取ってから、切っていきます。子のみに効いている風牌もほぼ同じ考えで、少し溜めてから三元牌より先に切ります。そして一度どちらかの子に役牌の鳴きが入れば、他の役牌はもう切りません。そうすることで親の仕掛けをなるべく潰し、そのまま鳴いた子にアガってもらうようにします。親の風牌は最初から切りません。

地味なようで、これくらい手が悪いととても大事な構え方です。もし点棒がなければ、ここからでもアガリを見なければいけないところを、あるために色々な工夫ができるわけです。展開は作るもの。点棒を持ったときは是非、その余裕が生む選択肢の幅を活かしてみてください。

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