[麻雀店経営サポート」 社会保険事務所による 社会保険に関する調査について その概要を詳細解説! 麻雀事業者として社会保険には しっかり加入しましょう!
- 2023/11/30
- 麻雀コラム
■社会保険加入と
対象者
ざっくりとしたルールとして、法人経営であれば社会保険加入は絶対ですし、個人事業主でも従業員を5人以上雇用していれば社会保険に加入しなければなりません。
令和4年(2022年)10月に法改正が行われて対象枠が拡大されましたが、それは従業員が101人以上いる企業なので、麻雀店営業においてはほぼ気にしなくて大丈夫でしょう。法人経営であればフルタイム又はフルタイムの4分の3くらい以上働く人が対象と覚えておけば問題はありません。
■社会保険事務所の
現状
高齢者の増加と少子化の影響により社会保険の財源がカツカツです。となると国としては取れるところから取らなければなりません。加入者を増やし、保険料を上げ、何とか財源確保に取り組んでいます。以前は緩かった社会保険事務所の調査も頻繁に行われています。しかも、年々調査も厳しくなってきています。今後もこの傾向は続いていくと思います。税務調査位の面倒くささと厳しさになっていくものと思います。
■社会保険事務所の
調査(加入調査)
調査は大きく分けて2つあります。加入調査と加入後調査の2つです。今回はこの2つについていろいろとお話をしていきます。
【加入依頼調査】
例えば法人を設立したとします。法人なので社会保険加入義務が生じます。設立後半年くらいした頃に社会保険事務所から通知が来ます。第1回通知です。これは、社会保険に加入しているか否かの調査です。
この調査の回答を無視しようがどうしようが正直何もありません。ですから、無視する事業主は多いです。回答用紙が送られてきて、社会保険に加入しているか?、していない理由は何か?、を回答するだけの紙です。これに回答をしなかったからといってペナルティや不利益的な取り扱いはありません。もちろん回答した方が良いですが。
ちなみに、法人設立をすると法務局から税務署と社会保険事務所に新規設立の情報が回るみたいで、そこからわかってしまうそうです。
1回目の調査が終わり、忘れた頃に第2回の調査の通知が来ます。これはだいたい第1回の決算が終わったころにやって来ます。決算が終わって利益が出ているなら加入させようとするものです。
この時の調査票に資金が足りないので加入できないと回答することも可能です。「お金が無いから仕方ないでしょ」という理由で未加入と返答することも可能です。
だいたいここまで法人を設立して1年半くらいです。加入するのに越したことはないですが、ここら辺までなら未加入でもまだ社会保険事務所は本気を出して来ません。問題はこの後です。3回目の通知です。
3回目の調査通知は2つに別れます
①資料提出命令
「おたく本当は儲かっているよね?」の推測の下、資料提出命令を出して来ます。多くの場合以下の書類の提出を命令されます。
●決算書
●賃金台帳と出勤簿
●源泉徴収票
基本的には、会社に給与を支払う余裕が有るのかを資料を元に判断するための資料なので、提出をして後日社会保険事務所からの連絡を待ちます。ほとんどの場合、「加入しなさい」と通告されます。
②出頭・訪問命令
資料提出命令の場合がほとんどですが、たまに出頭・訪問命令が出ることがあります。提出資料は資料提出命令の場合と同じですが、訪問の場合は、それ以外の資料も事業所で見せなければならなくなることも多いので厄介です。ですから、訪問を回避するために出向くと連絡することも多いです。
出向くと担当官と1対1で会社の内情をいろいろと聞かれます。担当もそこまで鬼ではないので、社会保険に加入する旨伝えるとそれで終わります。
このように、社会保険に加入させる調査はそこまで厳しくはありません。社会保険事務所としては、加入させるのが目的であって不正を摘発するのが目的ではないので。
現状だと、社会保険に加入しないで法人経営をすることは非常に難しいです。最後は入らざるを得なくなります。
■社会保険事務所の
調査(加入後調査)
社会保険に加入してもそこで終わりではありません。加入後の調査があります。これは、3〜4年に1回位あります。多いところでは2年に1回くらいあります。
多いところは、いろいろと問題のある事業所なので、通常は3〜4年に1回です。昔はこんなに多く調査は行われていませんでしたが、最近は財源確保のために調査が行われています。
加入後調査の目的は、「不正の防止と適正な社会保険料の徴収」です。ですから、いろいろと提出資料が多いです。法人によっては異なりますが、だいたいは以下のとおりです。
●直近の決算書
●賃金台帳と出勤簿2年分
●源泉納付書2年分
●法人役員報酬決定議事録
●就業規則と賃金規程
●従業員契約書
●社会保険算定申請書類
これらの書類一式を用意して提出しなければなりません。用意していない事業所は作らなければならないので大変です。この調査も、書面提出・出頭・訪問の3パターンに分かれます。ほとんどの場合が、書面提出ですが、最近は訪問も増えています。
書面提出の場合は、資料一式を出して社会保険事務所の回答を待ちます。問題が無ければそのまま問題なしの通知が来ますが、問題がある場合には社会保険事務所が計算した等級で社会保険料の修正を行います。
また、外注の契約書で社員扱いにしていなくても実態が社員と見做されてしまうと社会保険に遡って加入させられます。この調査で社会保険事務所が見るのは以下の点です。
⑴申告している社会保険等級と給与に相違はないか
⑵賞与に対しても社会保険料を徴収しているか
⑶出勤日数が正社員と変わらないのに未加入者はいないか
⑷昇給や減給があった際に適切に社会保険料の変更をしているか
⑸決算書上の役員報酬と社会保険料に相違はないか
大体この5つを見てきます。特に⑴と⑵が中心です。むしろ、ここしか見てきません。これ以外はあまり見てきません。ですから、就業規則や賃金規程を持参しても無駄なことが多いです。
加入後調査は無視していると、訪問調査になります。訪問調査は前述のとおり、他の資料までその場で確認されるので面倒です。
ちなみに、たまにいきなり訪問調査の場合もあります。その時は、「顧客のプライベート資料があるから」と言えば出頭調査に変更可能です。残念ながら調査無しにはなりません。
調査と言っても、「何かあったら払えばいいや」くらいの軽い気持ちで問題ないです。犯罪の調査ではないし、ましてや税務調査のような厳しいものでもないので。
■調査の現場
自分が最近見てきた調査についていくつかエピソードを書きます。
◎どうしても社会保険に入りたくないマン
どうしても社会保険に入りたくない経営者。一人会社というのもありますが、どうしても入りたくない。そこでその人が考えた手法が、「管轄移転」を繰り返すもの。
法人の本店移転を1年置きに繰り返して管轄ロンダリングをするもの。日本のお役所のダメなところを上手く突いたやり方ではありましたが、自宅に再度本店を移転した際に、速攻で社会保険事務所が訪問調査にやって来ました。
どんなにあがいても言い逃れは無駄でした。しかも、管轄跨ぎを繰り返すのが悪質と認定されて遡っての加入で保険料と延滞金をたっぷり取られていました。
ちなみに、悪質と認定されなければ、「今月から入ります」で済みます。遡ってはありません。社会保険事務所の担当官にも裁量権があるので、ちゃんと対応すればエグいことはしてきません。
◎裏切者に刺されたパターン
社会保険労務士と喧嘩をした某事業所。契約を切った途端に社会保険事務所から訪問調査の通知。しかも、10日しか猶予が無い。提出資料も通常の調査と異なり、ピンポイントの資料。これは、関与した人間しか分からない点を汲んだ上での調査。かなりの確率で刺されたことが明らかです。
資料を見ると穴も後ろめたいこともないので、調査に参加することに。何かあると嫌なので、訪問から出頭調査に切り替えてもらいました。
当日、嬉しそうに手ぐすね引いている担当官。しかし、こちらがすべて数字を引き合いに出して給与と保険料の誤差がない点を証明すると粗探しができなくなりそこで調査終了。担当官にカマをかけたら明らかに動揺していました。
その翌日も、その社会保険労務士が関与していた事業所に調査通知が来たので、クロとしか思えません。腹いせに下らないことをやるなあと思いました。
よっぽど悪質でない場合は、訪問調査から出頭調査に変更は可能です。ただ、手元に他の資料を用意しなくてもその場で反論できるようにしなければなりません。
◎社会保険料滞納編
社会保険料を滞納してしまう事業所もあります。税金のように。当然どんどん貯まりますし、利息も付きます。督促も来ます。出頭通知も来ます。
金額の有無に関わらず、決算書と財産目録を持参して返済計画を作成に行きます。無理のない返済計画を立てます。ちなみに、金額はよっぽど少額でなければ承認されます。返済計画書も形だけのようなものです。仮にこの返済計画通りに納付が出来なくて最終的に滞納が残ってしまっても、また来年度計画を作成すれば良いだけです。
社会保険事務所としては支払ってもらっているという事実が重要みたいです。また、担当を数年で変わるので、あまり気にしていないようです。
数百万円滞納している事業所も、毎月10万の最終月で残金一括で返済するという計画で許可を得たので、金額云々よりも返済している事実が重要のようです。
このように社会保険は、加入前と加入後でさまざまな調査があります。今後も国家の財源が厳しい状態が継続するようであれば調査のスパンは短くなり、より厳しいものになるので、下手に細工などをせずに、しっかりと普通に社会保険に加入して、通常の支払いを心がけていくことが良いでしょう。