お客様目線は100%で | 麻雀新聞

お客様目線は100%で

お客様目線は100%で

ここ数年新しいリーチ店、フリー店が増えているようだが、表面だけの顧客サービスに終わっている所が多く見られ、リピーターに苦慮しているようだ。結論から言うと「お客様の目線で心からのサービス」にいたらないからである。近年中国人観光客の来日が増加傾向にあるというが、中国人が観光や買い物などをしていちばん驚くのは日本人の「サービス」だという。例えば「靴」を選んでいる時「お客様の足元に屈みこんで靴を揃えてくれる」。こんなサービスに「感動」するという。今日本のサービスは世界一だともいわれる。しかし、そのサービスに慣れている日本人には、その程度のサービスは当たり前で、驚くに値しないのである。だから日本人のお客様相手には「心からのおもてなし」が大事なのである。通り一遍ではない、もっと高度なサービスを必要としている。「高度なサービスでリピーターをあと三割増やす」作戦をコンサルタントの高萩徳宗氏が某誌で紹介してくれた。

【店長という立場は忘れる】
リピーターについて考える時、店長やスタッフという立場を忘れ、あくまでも100%お客様目線でなくてはいけない。「それは最後まで絶対に忘れないで欲しい」という。

【お客様の心理】
お金の使い道が突然変わるということはよくあること。奥さんの誕生日に旅行へ行こうと決めパンフレットを集めても、特にこれというものがなかったので「ちょっと豪華な食事にしよう」と方向転換をしてしまうことは良くある。また「友人と麻雀をする予定でいたが飲み代に消えてしまった」などのケース等、同業他店だけが競合店ではないのである。「だからこそ、お客様に浮気をされないように気持ちをしっかり繋ぎとめておかなくてはならないのです」と高萩氏は語る。そのためには次のことが大切だ。・お店とお客様が同じ価値観を共有し、お客様にとって心地良い空間を演出する。・お店やサービスを通して、お客様に感動体験を味わっていただく。

【お店とお客様が同じ価値観を共有する】
私達が商品やサービスを買うときは、店の接客だけで決めているわけではない。その店が持っている雰囲気、文化、イメージから接客時の声、顔つき、提供される情報、匂いなど人は五感をフルに使って、その店を使うかどうか判断している。米国シアトル発のスターバックスコーヒーは、照明やインテリアなどのオシャレな空間(視覚)、心地良いBGM(聴覚)、美味しいコーヒー(味覚)、店全体に漂うコーヒーの香り(嗅覚)、ふかふかのソファー(触覚)など、まさに五感に訴えるサービスでリピーターを増やしている。

しかしスターバックス(以下SBと略す)が熱狂的なファンを獲得したのはそれだけではない。SBの店員は笑顔で挨拶をしてくれるが、特に積極的に接客をするわけではない。初めて利用する人は戸惑ってしまうくらいコーヒーの種類が多く、サイズ表示もS・M・Lではなく、ショート・トール・グランデとわかりにくくなっている。そして店内は全席禁煙。喫煙は外の席で吸う事になる。いくら天気が悪くてもそのシステムは変わらない。喫煙席のまったくない店舗もある。さらに分別したゴミ箱を設置し、お客様にゴミを分別するよう指示が書いてある。今でこそどこのファーストフードでも禁煙席やゴミ分別は当たり前だが、SBが出店してきた当時はまだ抵抗があった。これだけ聞くとSBは、ずいぶん傲慢な店と思われるかもしれない。

しかしSBの[成功の要因はお客様を選ぶこと]にあったのである。けっしてSBは接客を怠ったり、お客様を最初から選択するという意味ではない。喫煙したい人、もっと安いコーヒーを飲みたい人、分かりやすい表示を求めている人はSBから去っていく。それでよいのだ。注文を迷われたり、コーヒーについて知りたい人に対しては試飲用のコーヒーをくれたり、驚くほど豊かな知識を持って丁寧に説明をしてくれる。ただSBのポリシーに反して我が儘を押し付けてくる人に対してはきちんとお断りする。これこそが100%お客様目線であり、顔の見えるサービスなのだ。ストアコンセプトを積極的にお客様に伝えることでSBは逆にお客様に選ばれる店になった。つまり、万人受けしようとして浅いサービスを提供するのではなく「お店とお客様が同じ価値観を共有する」ことで熱狂的なファンを作った。

【感動体験を提供】
同業他店だけが競合店ではない。競合店に勝つためには「あのマージャン店は綺麗だった」「あのレストランは美味しかった」などのあたりまえの顧客満足だけでリピートしてはくれないからこそ「予想外の感動」が必要になってくる。「こんなことまでしてくれるのか」という良い意味でお客様を裏切ることができてこそ、お客様は熱烈ファンになってくれるのだという。高萩氏は数年前、お世話になった方の事務所移転のお祝いに花を贈ることにした。近所の花屋で相手方の事務所の雰囲気を伝えて、適当にアレンジした花を贈ってもらうように依頼したが、後になってどんな花を贈ったのか気になった。その翌日、高萩氏の事務所に手紙が届いた。

中を見ると「ご利用いただきありがとうございました」というメッセージに添えて、アレンジされた花の写真が同封されていた。依頼した側の不安を察してのサービスだ。高萩氏は、その心配りに感動し、その花屋の生涯のリピーターになろうと決めたのだという。ある麻雀店では、お客様の誕生日を記録していて、来店が誕生日の一ヶ月前後であれば「ちょっとした誕生日プレゼント」をお渡しする。

自分でさえ忘れてしまいがちな誕生日、いくら客とはいえ、自分の誕生日を覚えていてくれるだけで感動ものである。プレゼントされたお客様のほとんどの方がリピーターになっているという。このように他店とは一味違う独自のサービスでお客様に感動を与えられたら、そのお客様は確実にリピーターになってくれるに違いない。

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