【第12回】麻雀を教えるって、どういうこと? | 麻雀新聞

【第12回】麻雀を教えるって、どういうこと?

麻雀を教えるって、どういうこと?

「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」

この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第12回目からは【刻子系】の役を教えていきます!

 にはいろんな形があることはいままでのお話でご理解頂けていると思います。
 今回お伝えしたい役は【刻子系】の役ですね。
 役を伝える時にはいろいろな伝え方があるとは思いますが、よくあるのは翻数別に伝える方法ですね。しかし私は、翻数通りに伝えるということはしません。

見た目は派手だが作るのは難しい【刻子系】の役

 私の伝え方は、出現頻度と重要度順です。
 何故かというと、翻数通りに伝えると、なかなか出現しない役を覚えることになってしまいますし、何が大切なのかぼやけてしまう恐れがあります。それよりも麻雀というゲームを楽しむ上で大切な役をきちんとマスターして頂き、出現頻度が高く重要な役から覚えてもらうほうが麻雀というゲームと向き合いやすいのではないかと考えているからです。
 そんな中、ここまで【刻子系】の役に触れてこなかったのにはもちろん理由があります。以前組み合わせ(メンツ)の作り方の説明をする時に、『刻子』と『順子』では『順子』の方が圧倒的に作りやすいという話をしましたよね。
 やはり『刻子』より『順子』の方が作りやすいだけに、出現頻度もまったく異なります。なかなか作りにくく出来にくい役を学ぶより、出現頻度の高い役をしっかりと学んだ方がいいですよね。
 また、【刻子系】の役は見た目が派手なことが多く、どうしても作ってみたい、作りたいという気持ちになりやすいのです。それでも基本に忠実な形を追った方がアガリに近い場合が多いので、ここでもやはり、『刻子』と『順子』では『順子』の方が作りやすいということをしっかりと再確認してもらうことが大切ですね。
 その上で役の説明に入るのですが、ちょっとその前に用語の説明です。
 『刻子』には大きく分けて2種類の『刻子』があるのです。
 それは、『暗刻(アンコ)』と『明刻(ミンコ)』です。
 『暗刻』は自分の力で作った『刻子』で、『明刻』は他の人の力を借りて作った『刻子』なのですが、『明刻』に関しては、ポンした『刻子』が『明刻』だと勘違いしている人が多いので、その部分についてしっかりと理解してもらってから進むようにしてください。
 『ポン』した『刻子』も『明刻』であることは間違いありません。しかし、『明刻』はそのパターンだけではないのです。
 シャンポン待ちで聴牌している時、ロンアガリして出来る『刻子』も『明刻』なんですね。このケースの『明刻』を見落としてしまう場合があります。ですので詳しく説明すると、
 ポンした『刻子』やロンした『刻子』が『明刻』。自分で3枚揃えた『刻子』が『暗刻』ということなのですが、説明する時は、,span class=”red-bold”>他の人の力を借りて作った『刻子』は『明刻』。自分の力で作った『刻子』は『暗刻』という表現を使うようにしています。
 麻雀の理解度は生徒さんによってまちまちです。この時点では、『ポン』って何だっけ?とか、『ツモ』と『ロン』の違いって何だっけ?といったレベルの生徒さんもいらっしゃいます。
 ですからなるべく説明の中には麻雀用語を入れないで理解頂く工夫を織り交ぜて説明するように心掛けています。
 そして『暗刻』と『明刻』の違いを理解してもらったあと、牌姿を図示します。
 その役はもうおわかりですね。『三暗刻』です。
 この時、最初に図示する形は『暗刻』が3組ある形にします。1つは役牌(三元牌)の『暗刻』を入れておくようにしましょう。
 雀頭は何でもいいですが、もう1つのターツはリャンメン待ちよりもカンチャン待ちかペンチャン待ちにした方がいいですね。
 『三暗刻』は『暗刻』が3組ある形ですね。9枚で作る部分役だということを理解しやすいように、ターツ部分が何でも良いのだと理解しやすいようにするために、カンチャン待ちかペンチャン待ちにするということです。
 最初に図示した牌姿で『三暗刻』の形を覚えてもらった後は、今度は《ツモり三暗刻》の形を図示します。並べた暗刻から一枚を抜いて、順子の方を完成させるのですね。
 この時、シャンポン待ちのツモる牌の脇に必ず、『ツモ』と書き記すことが大切です。2つ『暗刻』が完成していて、シャンポン待ちになっている状態でツモアガリすると、3つめの『暗刻』が完成するから『三暗刻』となるということを理解してもらうのです。ここで問題を出します。
 シャンポン待ちの《ツモり三暗刻》の形を理解してもらった後、「このツモ牌がロンアガリだったらどうでしょうか?」と質問し、『ツモ』と書き記してある部分を『ロン』と書き換えるのです。
 するとどうでしょう。暗刻が3つだった刻子部分が、2つの『暗刻』、1つの『明刻』になるので、ロンアガリの場合は三暗刻にはならないんだということがわかるはずです。

『三暗刻』から『四暗刻』このタイミングで『役満』の説明を!

 ここでこの手を更に発展させます。『順子』部分を『刻子』に置き換え、いわゆる《ツモり四暗刻》の形を図示します。
 アガリ牌のところは『ツモ』と書き換えておきます。
 そして更に生徒さんに質問するのです。「先程の形は『三暗刻』でしたが、それでは『暗刻』が4つある形は何というでしょうか?」
 すると生徒さんは、「さっきのが三暗刻だから……四暗刻だ!」という回答をするはずです。
 ここで新しいワードを伝えます。それは『役満』です。麻雀の『役』の中で1番高い役、それが『役満』ですよね。
 点数についてまだ触れていない状況ですが、『役満』の説明をする際に軽く伝えておく方法もアリですね。私の場合は、『平和』を例に出し、『平和』は子が1000点、親が1500点に対し、役満は子が32000
点、親が48000点と点数の違いを明確に伝えてしまいます。
 そうすることで、『役満』がスゴイということを数字で感じてもらうのです。
 『刻子』を作ることは『順子』を作ることより遥かに難しいことをここで再確認してもらい、『刻子』を作ることによって高得点を得られる可能性があるということをしっかりと伝えておきたい場面ですね。
 更には『四暗刻』と『三暗刻』の得点差についても触れておくと尚良いでしょう。
 『三暗刻』は2翻ですよね。多くの場合は門前だと50符ですから、子は3200点、親は4800点ですね。それに対して『四暗刻』は子が32000点、親が48000点と10倍もの点数ですから、『刻子』を1つ増やすことで点数が遥かに高くなることと、『刻子』を増やすことの難しさを理解してもらいたいところです。
 話は戻ります。今度は、アガリ牌のところの『ツモ』を『ロン』に書き換えます。そこでもう1度生徒さんに質問するのです。
 「この牌が『ロン』だった場合は、3つの『暗刻』、1つの『明刻』だから……どうなるのでしょうか?」
 そうすると、《ツモり四暗刻》の形は、『ツモ』の場合は『四暗刻』『ロン』の場合は『三暗刻』ということを理解してもらえるはずです。
 でもちょっと待ってください。《ツモり四暗刻》の形って、実はもう1つ役が付きますよね。今度はその部分の説明に入ります。
 ここで説明する『役』は『対々和(トイトイ)』です。
 『対々和』は、すべてのメンツが『刻子』の形ですね。
 この『対々和』の説明はとても簡単です。何故なら、この『対々和』は『平和』と相対した役だからです。
 すべてのメンツが『順子』が条件の1つである『平和』をマスターしておけば、この『対々和』を理解するのはとても簡単なはずです。
 ここで生徒さんに、「今日は『対々和』を作ってみましょう!」と言えば、きっと生徒さん達は上手に『対々和』を狙い、作ろうとしてくれるはずです。
 しかし、私はそのような声を掛けることは決してありません。恐らく『対々和』を狙おうとすると、あちらこちらで「ポン!」「ポン!」と始まってしまうはずだからです。
 ここで伝える一言は、「下手の『対々和』好き」です。
 この麻雀格言は、『対々和』が好きな人ほど、何でもかんでも『ポン』をしたがって、なかなか上達しない人のことを指す皮肉を込めた麻雀格言なのですが、これはあながち間違っていないと私は思っています。
 何度もお伝えするように、メンツは『刻子』よりも『順子』を作る方が格段に易しく作りやすいわけで、無理矢理『対々和』を狙うより、門前で順子を作っていくことの方が大切であることをしっかりと伝えることが、麻雀講師が問われている部分だと私は考えています。
 次回からしばらく刻子系の手について学んでいくことにしようと思います。
 それではまた次回。

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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。

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