【追憶の麻雀】第95回「激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【9】」 | 麻雀新聞

【追憶の麻雀】第95回「激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【9】」

麻雀新聞第280号 1998年(平成10年)11月10日

 

激変の時代 マージャン業は生き残れるか?【9】

 

特徴はしぼってPR

正確に誠意を持って

 

《宣伝を成功させる条件》

すばらしい商品を生み出しても客に知ってもらわねば意味がない。そのために必要となるのが宣伝である。

宣伝は企画がすべてだと言われる。何十憶の宣伝費を使っても認知されない商品もあれば、一度見たら忘れられないテレビCMもある。しかし、インパクトを求めるあまり、刺激的なコピーや目新しい手法に走り、失敗する例も多い。画期的だと思うのは発案者だけで、ショッキングな音や映像やコピーは疲れるだけだ。本当に良い広告はなんとなく心に引っ掛かり、もう一度見てみたいと思わせるカがある。パイポやビップのようなシリーズ物のCMの企画は一朝一夕にできるものではない。視聴者の心理や社会情勢、そして広告のルールが分かっていないと良いCMは生まれない。

更に、メディアには品位が求められるから極端な画面や紙面は拒否される。自動車やコーヒーのように露出度の高いメーカーであればなおさらだ。

 

《顧客に信頼される広告》

電車の吊るし広告に間違った日本語をよく見掛ける。特に鉄道会社の広告に多い。間違ったコピーは商品、ひいてはスポンサーへの信頼性までも揺るがすことになる。プロを自称する広告マンの半分は有名私立中学の入学試験に合格しないのではと思えるほどだ。宣伝も商品企画と同じで幅広い知識と情報がなくては社会に受け入れられない。だから、半端な技術の自称・ディレクターに宣伝を請け負わせてはならない。本物のプロに依頼する予算がないのなら自身で制作すべきだ。正直な素人臭い広告は顧客に信頼される。奇をてらうより客に誠意を示すことの方が大切なのだ。

 

《常連客の意見取り入れ》

宣伝だからといって商品やサービスに関するすべての特徴を列記してもだめだ。十徳ナイフはナイフではない。ひとつでよいから優れた点をどう表現し、ユーザーに理解してもらえるかが大切だ。

小売店の宣伝を広告会社に任せることは、予算上少ない。看板屋に任せて失敗する例は多い。それなら、常連客に宣伝の仕方について意見を求めるとよい。店の特徴は常連客がよく知っている。

 

《パソコンでプロ級広告》

広告制作の過程では、対象客に受け入れられやすいコピー、デザインであるか否かのチェックも忘れてはならない。書体も大切だ。最近のパソコンのフォント(書体)の種類は非常に多い。扱い品に合った書体をプリントアウトして拡大コピーしてみよう。コピーを色紙にしたり、ケースに入れたりすると、プロの看板屋より良い仕上がりになったりする。POP(値札など)も手書きよりパソコン使用をお薦めする。

 

《少し離れて店チェック》

古くなったからと店の改装をする例は少ない。扱い品目や販売対象を変える程度だ。こういった場合、どう変わって何をアピールしたいのか顧客に伝えなくてはならない。遠くの方や、道の反対側から看板、ポスターの位置・角度を見直すのも1つの方法だ。そうすると周辺の店の様子の変化に気付き、ショッピング客の流れに合った宣伝ができる。

 

《待つよりも考えて前進》

ヒマな店のオーナーが店の前できょろきょろしているのを見掛ける。待っている商売は恥ずかしいものだ。客待ちの時間があったら、なぜ客が来ないのか考える方が良い。客を誘引するのは品ぞろえ、サービス、宣伝だ。

私の事務所のある蔵前の問屋でも赤字で廃業したいがやめられない所が多く、社長がぶらぶら歩いているのをよく目にする。物余りで安くしても売れない時代だから、顧客層を限定して店に個性をつけ、市場(販売対象地域)をより広く求めることも大切だ。

 

《宣伝・広告は見て勉強》

他人の宣伝・広告を見て欠点を探す努力をすると、優れた作品・手法が理解できるようになる。電車の中吊り広告をじっくり見て帰り、同じものを作ろうとしてもできないものだ。優れた宣伝は素人には真似できないと認識するだけでも勉強になる。

流行っている店の広告や看板を見て歩くことも必要だ。その店の品ぞろえやサービスと宣伝とのバランスがとれていることが理解できる。

店を活性化するには勉強しかない。

(つづく)

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