【追憶の麻雀】第9回『ロマンある麻雀を』

昭和53年12月10日 麻雀新聞第20号

ロマンある麻雀を

11月度、東京段審研究会のお話は、例によって”マナー論”からはじまりました。

S氏「先月も話に出ましたが、麻雀に無駄口は不要。『ポン、チー、カン、ロン』を正しく発声して…。」

T氏「その通りですね。それとポン、チー等の声を出さないで、相手牌をつまんでくる人がいますが、あれはいけません。」

S氏の言葉通り不必要なおしゃべりを慎しむべきはもち論、逆にT氏の言うように発声すべき時に無精をしてしまう―なれあい的麻雀―は厳禁したいもの。

研究会でこれだけマナーの話が出るということは、それだけ全員が麻雀に真剣に取り組んでおり、またいかに深く麻雀を愛しているのかという証拠。

さて、話はマナー論から必勝論へと移ったのでありますが、麻雀に”完全必勝法”のないことは全員よく御存知のこと。それじゃあ、せいぜい負けないことにしましょうと、各々が負けた時の原因をあれこれ披露することになりました。

K氏「正直いって何であの牌を切ってしまったのか、という時がよくあるんです。そんな時は成績の方もいまひとつだめですね。」

O氏「Kさんだけではなく、誰にでもあることなんですよ。私の考えですが、今のお話の揚合には、大きく分けて三つの原因があるのでは……。」と次のよう

な内容にO氏はふれた。

「ひとつは単純な不注意。牌の切り方には一般的な正着がありますが、何らかの不注意によって誤った切り方をしてしまうパターン。中級者以上になってこんなことはないと思うでしょうが、寝不足で随性麻雀になったり、おしゃべり、よそ見なんかをしでいると、よく起きるケースなんです。

次いでふたつ目は、満貫を打ち込んだ直後とか、つい高い手を逃した後などに頭が”カアツ”として、何が何だかわからなくなった場合、思いがけない牌を無意識あるいは意識的に間違って(いじけてとでも言うべきか……)切り出してしまうケース。これはあくまでも、冷静さ(平静心)を失ったミスとでも言うのでしょうか……。とにかく、血気の多い方はご用心。

三番目の原因ですが、これは技術的なものを要求される”読み”の違いということになります。後になって『三色なら出来ていた』とか『清一色でもあがっていた』というたぐいがこれで、多少は“勘”の良し悪しもありますが、しょせんは何手か先を読めなかった技術的なミスです。そんなことにならないために、私は一局のテーマな決めた上で、考えに考え抜いた末に相手の手を読んだり、ある時は牌山を読んでみたりして打牌しています。

それでも絶対に勝てるというわけじゃないんですから、麻雀て奴は奥が深いですよね……。」

O氏の言葉には各々思い当る節があるらしく、その後は「実は私の場合も……」とめいめいの体験的失敗論が続出しました。

そこで全部の話をまとめてみますと、技術的なものは個人差があって一般的にどうこう言えませんが”麻雀に負ける原因”は0氏の指摘どうり

①健康面に問題がある場合、
②冷静さを失ってしまった場合、
③大局的基地から一局一局を消化していない、いわゆるテーマのない麻雀を打った場合等があげられます。

①、②は生理的、心理的な原因として解決はわりと簡単そうですが、③の原因については、麻雀のキャリアという技術的なものや、麻雀に対する取り組み方(麻雀のセンスとでも言いましょうか…)のレベルアップが要求されます。補足になりますが、麻雀ではよく”忍耐”が問題とされ「役牌の二なき」とか「のどから手が出る三枚目をがまんして、門前の四枚目」「上手はひとなきテンパイ」等と、前記②の冷静さを持って③のセンスで打つ姿こそ、麻雀とは忍耐なりの大輪が花咲こうというもの。

「みなさん。コセコセ打つのはやめましょうよ。この二十世紀の終わりというせちがらい現実の中で、せめて麻雀だけでも大きなロマンを賭けて打ってみては……」と少々ツッパリ気味に言ったN氏の言葉を、今月の結論といたしましょう。(A・0記)

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