【追憶の麻雀】第39回「競技マージャンの道場が欲しい!!」 | 麻雀新聞

【追憶の麻雀】第39回「競技マージャンの道場が欲しい!!」

昭和59年6月10日   第88号

 競技マージャンの道場が欲しい!!

オカモトスクール仲間の座談会

マージャン人ロを増やすには、店内環境の改善は必要であるが、それよりもマージャンの普及活動がキーポイントである。段位の発行と競技大会の開催は、現にマージャンを知っているファンへのサービスである。しかし、マージャンを知らない人達に対しては、営業上の兼ね合いから、個人経営者、他団体、カルチャースクールなどにまかせているのが現状だ。不況のなかで、段審道場の設置をと呼びかけても、その実現はなかなかむずかしいだろう。それならば、そういった普及活動を続けている者へ、段審がバックアップすることが大切だ。初心者の要望に対して、満足感を与えることができれば、マージャンの未来は明るくなるに違いない。余暇時間の増大のなかで、マージャンがファミリーレジャーとして確立されることは、商売に直接結びつくものではないが、少なくとも商売を支えるものにはなるだろう。今回は、横浜の「オカモト麻雀スクール」の生徒4名に、マージャンに対する考え方や希望を語ってもらった。

みっちり基本の勉強

仕事上の必要から入門

司会  まずマージャンとの出会い、岡本スクールへ入門した動機などについて、お話し願います。

―15年位前に職場のつき合いで始めました。岡本教室へ入ったのは昨年です。

―私もマージャンを始めたのは、ずっと前、19歳の時です。学校の友達に誘われたが覚えられず、家でオヤジにも教えてもらったが、むずかしくて、止めていたんですが、3年前、この教室へ入りました。

―僕は高一で覚えてから3年弱です。教室は約10ヵ月です。

―僕もここへ入って1年8ヵ月です。大学時代、並べ方を本で覚え、4回ばかりマージャン荘へ行ったが、とても勝負にならず、屈辱感だけを味わって、やめていましたが、一念発起して教室へ入門したわけです。

司会  マージャンが自分に向いていないと思われるんですか。

―あんまり上達が遅いからね。だけど、何か夢がある。牛歩の歩みでも、少しずつうまくなっているようだから、これで10年も打てば、少しはましになるんじゃないかと。

―僕は高一の時から始めましたが、日曜日に友達の家でやったり、学校で当時市販されていた紙マージャンとか、手製のものなど使ってやっていたから、かなり狂っていたといえますね。

―僕の場合は、ずっと営業畑です。今まで開西を担当していて、向うのお客さんとマージャンを打つ機会が沢山あったが、成るべく断わっていた。ところが今、東北6県を担当しているが、策北は冬場は雪に埋もれてやることがない。だからマージャンができないと、仕事の上でもうまくいかないケースがものすごく多い。それで困ったなあと、これは飛びこんでいかなくてはしようがないということで、本を買って勉強をしていたところ、この教室がテレビでPRしているのを見て、すぐ電話して入門したんです。

 司会  そうすると、職業上、覚えなくちゃいけないというのがきっかけですね。教室へ入られてからは、どうですか。

―やり始めると理づめなところが性分に合っている。そういうことで、どんどん深みに入って、今はマージャンの本は全部ある。かなり夢中になっています。

 司会  教室へ入られてからイメージが変わりましたか。

―はい。基本がきちんとしていれば、初めての相手にも勝てる自信のようなものが出て来ました。たとえ負けても、基本をやってない人よりは、負ける率は少ないです。

―僕が教室にきた目的は、やはり10年前に覚えたマージャンのおもしろさと、その裏にさんざんひどい目にあった悔しさが残っていましてね。いつかまた、マージャンに挑戦しようという願望がありました。その時は、しっかり勉強してからと思っていたところ、雑誌に岡本スクールの話が出ていて、東大マージャンというキャッチフレーズがあり、おもしろそうだと思い、入会しました。

強くなりたい一心で

―僕は教室がなければ覚えてなかったですね。マージャンをやって性格面で悪いクセが治りました。

―僕のきっかけは、高一からやっていて、2年でクラス替えがあり、新しいメンバーの中に一人、小学校の頃からやっていたという、やたら強い奴がいた。それで何とか互角くらいになれたのが高3の頃で、その家でマージャン專門誌を見つけ、中に広告があって、もう少し強くなりたいということで入りました。

司会  教室では、いろいろのカリキュラムがあると思いますが、現状の教室への不満などはどうでしょう。―手役を教えてくれるが、実戦の例題が少なすぎてちょっと頼りない気がする。来週の研究課題として、いくつかの例題をプリントにして宿題を出してくれると、もっと役立つと思います。

―私の動機は強くなりたいということもありますが、いろいろ過去に失敗した経験から、人並にマージャンを打って、そのおもしろさを極めたい。一つのエンターテイメントとしてのマージャンに没頭したいということで来たわけです。例題も適切だと思うし、大変ためになります。

司会  皆さん、教室以外では打たないんですか。

―僕はやりません。

―やりたくても時間がない。

腕も上達自信もつく

仕事にも積極性が出た

司会   教室の効果はでていますか。

―仕事上、毎日打っている人の中へ入って、とりあえず負けをどこまで押えるか、必死になってやっていますから自信みたいなものがでてきましたね。

瀬川  うちが始めたのは、家庭の主婦とかそういう人達に、マージャンというものは、賭けなくてもこんなに楽しいものですよ、ということをわかってほしくて、始めたわけです。それが木曜日の夜とか、土曜日に始めてみると、皆さんのような人達が現われたので、これではいけないと思い、そういう人のためにも戦術的なものを取り入れて、そういうコースを設けようということで始めたわけです。一応うちの方でも、これから先、皆さんをどう伸ばしていこうかと、先生方とも相談しています。

司会  開校当初の対象が違ってきたわけですね。

瀬川  木曜の夜のコースは女性のOLの方を対象に組んだのに、始めてみたら、半分以上が男性で、これには驚きました。

―僕はアマチュア連盟に入って、ほとんど毎日そこに行っています。

―僕なんか、まだまだ入れませんね。

司会  その辺の、まだまだとか、だいぶ上達したなというのは、どういう所で判断していますか。

―要するに点数というか、打つ相手の人をみて、進歩しているとかわかります。

―僕は仕事の関係で入ったわけだが、その必要がなくなったら今度はアマ運に入って続けようと思います。

司会  すると仕事上の必要だったのが、趣味に変わったわけですね。どういう所がおもしろいと思われますか。

―まず我々営業マンは、仕事のプレッシャーが非常に大きいから、気持の切りかえが一番必要なわけです。マージャンは雑念が入ると、メチャクチャになる。よほど神経を集中しないといけない。そういう気分転換には、かなり効果があると思います。

司会  実際にそういうマージャンを始められて、生活とか、自分の考え方が変わったということはありますか。

―仕事においてもマージャン的な考え万とか、攻め方になってきている。なるべく手を広げていこうとか、マージャン指向みたいな考え方になっているような気がします。

正しいマナ教え

家族で卓を囲みたい

―僕はパチンコも前は好きだったけど、パチンコより、戦略を考えなくてはいけないし、ルールも知らなきゃいけない。点数の数え方も知らなかったけど、スクールのおかげで、人にも教えられるような立場になりました。

―僕も同じで、パチンコはそこそこの腕なんですがマージャンの方が、仕事の上でも生活の面でも、はるかにプラスになると思うから、パチンコなんかバカらしくなりますね。

―僕は中学時代からシミュレーションゲームはやっていたけど、マージャンを打ち始めてから、戦略が変わった。マージャンとシミュレーションゲームは、どっちかが何かあると、どっちかの戦術にプラスになって、相互作用でだんだん両方とも頭の回転が、その場、その場でうまくいくようになっているという感じはします。

司会  教室の相手は気心を知っているわけですが、対戦相手としては、どんな方を望みますか。

―ともかく負けてもいいから、強い人とどんどんやってみたい。

―強い人の後で見ることもやってみたい。アマチュア連盟で岡本社長などの後で見ると、とても勉強になる。

―マージャンスクールでいい点は、マナーをきちんと教えてくれることですね。牌を伏せてかきまぜることとか、当然のことなのに一般のマージャン荘などでは、おざなりにされていることがある。ですから一番にマナーの良い人とやりたい。

司会  将来、自分はどうマージャンと関わっていこうと考えておられますか。

―僕の場合は趣味として一生打ちたい。幼稚園に行っている子供をヒザに乗せながら、次はどれを切るというふうにやっていますが子供の方が切り筋がいい面もある、うちは4人家族だからそのうちに4人で卓を囲み、家庭マージャンを楽しみたいと思っています。今、教わっているマナー、正しい打ち方を家族にも教えていきたい。

消えた暗いイメージ

興味をもつ外国人も多い

司会  奥さんはマージャンをやられますか。女房の方が私より勝負的な勘はありそうです。今はあんまり教えないようにしているんですが。

―もっと女性の間で盛んになってもいいゲームだと思う。けっこう女性的な所もあるし、繊細なゲームだから。マージャンのだいご味が一度わかると病みつきになる人もいると思います。

司会  奥様はいつ頃覚えましたか。

―並べ方は以前から知っていたが、今年の春から始めて、おもしろいらしく熱心に通っています。マージャンに興味があっても、教えてくれる適切な人がいない。場所もないということで、外国人の中にも不満を持っている人が意外といますね。知り合いのアメリカ人がいて、時々、私の家に教えてくれと来る。英語のルールブックがあるので、それを買って研究しましたが、点数の数え方なんか一番難解で、とっつきにくいらしいですね。

司会  マージャンというのは、非常にとりつきが難しいところがある。

―やりたくてもやれない人が、会社にもいっぱいいます。あんな難しいもの、どうしてできるって。

司会  競技大会には、あまり参加されませんか。

―一応、スクールの中でも大船で交流大会があり、行ってきました。僕は専門誌の王位戦に、今度参加するつもりです。

司会  どんな印象を抱かれていますか。

―スクールの中だからほとんどお祭りみたいで、楽しんでやれる場所だと思います。

―僕もこの間参加したけど、もっと男性が多いと思っていたら、女性ばっかりで意外でした。それなりにおもしろかったけど、最後にあたった女性はうまかった。マナーが悪かったので、あとの二人ともそれに圧倒されたということはあったけど、うまいなあという印象のうちに、ラスをくってしまいました。

―僕はもっと実戦を積んで力をつけてから出たい。 

司会  今、マージャンプロという方々がいるが、どんな印象ですか。

―今までのプロ雀士と比べ、井出洋介先生とか青野先生とかは、まったく異質の新しいタイプのプロですね。

―僕は朝からジャン荘に入りびたりで、煙のこもった暗い所でやっている競技だという観念があったけど、プロとしてかなりインテリの人たちがいることを知って驚きました。スクールへ行ってからマージャンのイメージが変わりましたね。

―僕も最初は漫画で麻雀プロを覚えていたから、いいイメージではなかった。

プロ界の確立が競技麻雀の発展に繋がる

司会  漫画のイメージは悪いですね。今、実際、井出さんが東大を出てマージャンで食っていきますよという宣言をして、今までのプロのダーティなイメージを払拭しようとしている。将棋とか囲碁のように、しっかりしたプロがいないとアマチュアがレベルアップしない。そういう意味でマージャンプロの世界に、しっかりと確立したものがないと、マージャンそのものが、いつまでたっても、市民権を得られないようなところがあると思うんです。

―確かに今までのプロが、マージャンの基礎をここまで持ち上げてこられたわけですしね。

司会  マージャンクラブに対するイメージはどうですか。

―今、我々が行っているマージャン荘は、高級な所が多いので、設備もしっかりした所が多い。だから暗いイメージはありません。

―僕は大阪にいた当時何軒か行ったけど、換気が悪くて頭が痛くなって、たまらなかった。

司会  やはリタバコのイメージが抜け切れないですね。お店としては空気清浄機を入れたりして、換気にはサービスの一環として気を便っているんですか。

―僕はタバコは今は完全にやめているが、相手3人が吸っていると、煙が目にしみて苦しいですね。

 司会  皆さん、それぞれ性格的にどういうマージャンですか。

―あんまり緻密な頭じゃないから、その場その場の雰囲気でベストを尽して打つようにしています、あらゆる結果が自分にはね返ってくる一つの緊張感、刺激もあります。

―やはり、4人の調和を考えながら打っています。それも、勝ち負けでなく、かけ引きですね。

勝敗よりも役づくり

教室ではプロセス楽しむ

―いいマージャンを打っても負ける場合もあり、メチャクチャ打っても勝つこともある。結果として、勝ち負けが満足感にどういう影響をもっているのか、そこにしか集中しないと、賭けマージャンということになりますね。その間のプロセスの楽しみ方があるわけですね。

―やはり僕は、勝敗じゃなくどういうふうに考えて、それがどういう結果に出るか、一つの事後検討的な研究の場としていいんじゃないかと思う。

―僕は勝ち負けもかなり気にする方だし、プロセスも気にしている。司会     強くなりたいという中には、常に上位にいたいという気持ちはあると思うんですよ。

―ここの教室でやる時は、4人の中でトップを取ろうという気持はあまりおきない。むしろ、手役を伸ばして、どうしたら役作りができるかという打ち方をしている。

司会  配牌もらって、自分の構想通り打ってあがって、初めて完成するので、流局あるいはテンパイだけだと、その不満感をどう処理されますか。

―配牌がよく、ツモのいい人は誰でもあがれる。それがずっと全局続くことはありえない。僕は安い役でのチャンは性格的にできない。つきのくるまでじっと我慢して、ついたと思った時にはグングンいく。

―僕のマージャンは、ガメクッたり、一色役とかよく狙うし、高い手が好きです。無理やりにでも手役を作っていこうと、プロセスを楽しんでいるというのはあります。

司会  お金がかかると「その楽しみも奪われる、ということがあるかもしれませんね。

―お金がかかったら、そんな悠長なこといってないでテンパイ即リーチですよ。

 将来は世界選手権も

―将棋だと打ちこみといって、毎日毎日打って腕をみがいていく。マージャンの場合、道場みたいな形で、行って打ちこめるような、例えば100荘やった結果として、トータルの成績が出てくるという、そういうシステムがあちこちにあるといいな、と思いますよ。

―あるとありがたい。それと高校生だと18才未満で入れないから、マージャン荘という形でない道場があればいい。将棋でも何でも小さい頃からそういう所へ行けますからね。

司会  最後に、教室を含めてマージャン全体に対しての希望などいかがでしょうか。

―日本特有のゲームではないのだから、チェスと同じレベルで世界選手権なんかできるといいですね。

―私は、もっともっと道場がいろんな所にできて、競技マージャンが盛んになるといいと思う。マージャンのおもしろさを、関係者がもっとPRしたらいいですね。

―将棋でさえ、昔は親の死に目に会えないとかいわれたのに、今はそうじゃなくなった。マージャンも気長に考えて、少しずつでも変わっていってほしいと思います。

―競技マージャンが、全国的な組織で広がっていくということが、第一の希望ですね。それと、競技マージャンにたずさわった人たちが、競技マージャンなんてという相手に勝てるようになれば逆転してくると思う。賭けマージャンでも基本を知っている方が強いことを見せつけたいと思います。

司会  マージャンが強くて、なおかつ理論にも明るく、人格的にすぐれているという人が、これからどんどん出てきてほしいですね。どうもありがとうございました。

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