麻雀新聞第78号 昭和58年10月10日
トラブル解答集〔11〕
(12)パオ(包)となるのはどんな時だろうか(続)
⑤リュウイーソ(緑一色)のパオとは
南家A君が發ポン234sチー2sポンと三フーロ(副露)しているところへ、北家B君が6sをポンさせ、数巡後A君に、8sタンキをツモられた。
この場合、北家B君の捨て牌6sは、パオとなりますか。
【こたえ】
南家A君が8sタンキ以外でアガれば役マンにはまったく無縁なわけですが8sでアガられた以上、北家B君の捨て牌6sはパオ(結果パオ)となります。
チンラオトウ(溝老頭)の場合も同様で、9p9m1sをポンしているところへ1pをポンさせ、結果的に1mか9sのタンキで役マンをアガられた場合は、1pの打牌者が結果パオとなります。
⑥東南をポンしている者へ西をポンさせこの結果大四喜をアガられたりパオはどうなるのでしょう
南家A君が東と南をポン。そこへ西家のB君が西をポンさせた。南家A君の残りの手牌北北22p。すぐに北を引きアガって大四喜を完成させた。三つ目の西をポンさせた西家B君はパオとなりますか。また2pをツモって小四喜はアガったときはどうなりますか。
【こたえ】
2pをツモアガったときは前々問の④で説明したように、三つ目の西をポンさせた者が小四喜のパオとなります。
問題は北をツモアガったときですが、大四喜のパオはあくまでも四つ目の風牌をなかせた者がパオとなり、このケースをここにそのままあてはめると、三つ目の西をなかせてもパオは免れることになってしまいます。
こんな矛盾した結果となるのは、パオを小四喜と大四喜に分けているからで、現在では双方同じ役マンとしている以上、パオもスーシーホウ(四喜和)のパオとして、すべて三つ目の風牌をポンさせた者に、パオを適用すべきです。
したがって北をツモられ大四喜となっても、三つ目の風牌をポンさせた西家B君はパオとなって一人払いの責を負います。
⑦パオの責任は移動するだろうか
A君は發白をポンしているB君に対して、強引に中を打ってポンさせた。当然大三元の役を確定させたことから、B君がアガったときは、A君が責任を取ることになる。
ところが、このあとB君はC君の捨てた北をポンして四フーロ。結局タンキ待ちにしてしまった。これを見てA君は「これでオレの責任は無くなった。北をなかせて字一色の役マンを確定させたのだから、C君が最終責任者だネ」とニッコリ。これはA君の言うとおりだろうか。
【こたえ】
パオの責任者は、最初の役マンを確定させる牌を打った者が、最後まで貢任を取ることになっています。したがって、大三元をフーロさせたA君が責任者で、そのあと字一色の形になったがC君には責任はないのです。
(13)流しマンガンって何?
①子の流しマンガン完成で親は下家へ移動するだろうか
東場2局で北家A君が流しマンガンを完成させた。次局は東場3局になるのでしょうか。東家のB君は「アガリ役じゃないから親は移らない」と言うのですが……
【こたえ】
親が移るかどうかというのは「流しマンガン」をアガリ役と認定するか、その希少価値に対する御祝儀のようなものとするかで決まります。
御祝儀だとする人の言い分は、アガリ役はあくまでも手牌で作るべきで、捨て牌がアガリ役となるのは変だとする点で、なるほど一理あると思います。
しかし、「流しマンガン」としてマンガン分の8000点(子)もの点捧の授受があり、変則ではあっても「アガリ役」と認定し、統一する方がトラブルを防ぐためにも良いでしょう。
したがって、「アガリ役」としますので、親は当然下家へ移動します。
②流しマンガン完成で、積み場とノーテン罰符はどうなるだろうか
北家A君が流しマンガンを完成させたとき、3本場でした。そして、ノーテン者は北家A君と西家B君でした。
【こたえ】
流しマンガンをアガリ役としますので、完成させた北家A君が8000点と共に積み棒ももらい、供託中のリーチ棒があれば、これももらえます。
当然、ノーテン罰符の授受はあり得ません。
③流しマンガンの後にアガリが出たら
北家A君が流しマンガンを完成し、喜んでいたところ、南家B君がその後で「残念だけどツモアガリだよ」と言って手牌を倒しました。
北家A君の流しマンガンと、南家B君のアガリは、どちらを認めたらよいでしょう。
【こたえ】
流しマンガンをアガリ役とするといっても、あくまでも変則的なものですし、その性質からいっても、その局が完全に流局となってはじめて成立します。したがって、その後アガリが出れば、このアガリが優先し、流しマンガンは消滅します。
④暗力ンがあっても、流しマンガンは有効でしょうか
南家A君が流しマンガンを完成させました。しかし、北家B君が「A君はメンゼンでも、暗カンがあるから流しマンガンは無効だよ」とクレームをつけました。
【こたえ】
これには有効と無効の二つの見解があります。
無効とする論拠は、暗カンという行為によって普通のツモ牌の他に、リンシャン牌を余分にツモっているからということ。有効とするのは、流しマンガンは捨て牌がポン・チー。カンされず、手牌がメンゼンという条件さえ満たしていればよいというものです。
流しマンガンが「捨て牌に対する規制」でしたら、手牌がメンゼンか否かの制約を設けるのも、ちょっとおかしなことですが、このケース、結論としては流しマンガンを有効とします。
⑤同じ局で二人が流しマンガンを完成させたら
東家Aさんが流しマンガンを完成させた後、南家Bさんも流しマンガンを完成させて流局となった。流しマンガンに頭ハネがあるだろうか。
【こたえ】
流しマンガンは変則的であっても、アガリ役としますので、当然上家優先で東家Aさんの流しマンガンだけを有効とします。
ただし、二人アガリ(いわゆる二塁打)を認めるルールなら、南家B君の流しマンガンも有効となります。
⑥流しマンガンと四力ンツ流れとはどちらが優先するだろうか
北家A君が流しマンガンを完成させた後、南家B君が四つ目のカンをして「流しマンガンはお気の毒だけど無効だよ」と言ったのですが、北家A君も「流しマンガンの方が先に完成したんだから、ボクのものだよ」と譲りません。さて、どちらに軍配が……
【こたえ】
流しマンガンは北家A君の最終打牌で成立したのではなく、その局が完了してから成立します。したがって、完了前に四カンが出れば「四カン流れ」が優先し、流しマンガンは無効となってしまいます。