麻雀新聞第74号 昭和58年6月10日
トラブル解答集(7)
(6)点棒によって起こるトラブル
①点棒の授受が終了した後で,アガリ点の訂正はできるだろうか
東家のA君
345p999m5699s中中中
(ドラ3p)をメンゼンでテンバイ。
南家B君から7sが出たので「ロン、中ドラ1で3,900点です」といって点棒をもらい、手牌をくずしました。
ところが、今のは点ハネで4,800点であることに気付き、フリ込んだB君に「あと900点ください」と請求しましたが、「もう次局へ入っているんだからだめだよ」と言ってB君は受け付けません。
【こたえ】
アガリ点はアガった者が自分で計算し、他家から支払いを受けることになっています。もらった点棒が少なくても、多くても(多ければ他家からクレームがつくでしょうが)手牌をくずした後で訂正は一切できません。積み棒を忘れた場合も同様です。
②相手に持ち点を聞いてもよいものか、また聞かれた者は答えなければならないか
オーラス、北家は1,000点浮きの二位。トップ西家の点棒が気になるところ。そこで西家にいくらあるかをたずねると、「4,800点プラスだよ」と答えました。北家は三九アガれば黒棒一本逆転できると思って、3,900点をアガったのですが、西家は点棒の数え違いで5,800点プラスで逆転できませんでした。しかし北家としても黙って引きさがれる筈もなく西家に「君の数え違いだからトップはボクだよ」と抗議しました。
【こたえ】
このケース、巷間よく起こるトラブルです。点棒を聞くことを許すから、こんなトラブルが起こるので、〈麻雀は点棒聞きなし〉で行なうべきですし、マナーとしても最良と言えます。その方が、点棒の動きをたえず頭に入れて闘牌しなければならないので、雀力アップにつながります。
事前のとりきめで、オーラスになったら全員が点棒を申告することにしている場合か、自分の点棒を申告してからなら相手の点棒を聞いてもよい場合に限り、北家トップということにしてもよいでしょう。
③トップ(またはラス)が同点の場合、順位はどうなるだろうか
半チャンが終り、全員が点棒を申告したところ、東家A君36500点、南家B君36500点、西家C君16000点、北家D君16000点だった(各自27000点持ち)。トップはA君かB君かどちらになるのでしょう。
【こたえ】
全段審ルールは30000点持ちで120000点加算法採用しています。トップが同点の場合は一位と二泣の加算点を足して二等分したものを両者に加えます。ということは、二人のトップを認めているわけです。ラスが同点の場合も同様です。
一般的には、事前に特別な取りきめがない場合は、チーチャに近い方が上位になります。したがって、このケースでは東家A君がトップということになります。
④ゲームの途中で、点棒の少ない(多い)ことが判った場合、このゲームは無効でしょうか
東三局で親マンをアガった東家が、点棒の引き出しを見直したところ27000点持ちではじめたので9000点浮いている筈が5000点しか浮いていないので、全員の点棒を合計したところ4000点足りなかった。どうも、前の人達が26000点持ちでやっていたためらしいのです。
【こたえ】
全段審の競技会の場合は、全員に点棒の確認を義務づけていますので、こういうことは起こり得ません。
万が一、このようなことが起こった時は、このケースのようにまだ点棒の動きがあまりなく、その出し入れがはっきりしているなら、正常な状態に戻して続行すべきです。終局間際などで、点棒の出し入れの確認ができないときは、そのまま最後まで続行し、次のゲームから所定の持ち点に直します。
普段から、ゲーム前の点棒確認を習慣づけていれば、こんなトラブルは未然に防げる筈です。
⑤点棒の貸借が無効となるのは
一回目の半チャンが終り、二回目の半チャンが始まろうとしたとき、A君はC君に1000点貸しているのを思い出した。A君は二位でトップB君とは800点差だったので、この1000点を忘れなければトップでした。
そこでB君に「C君に1000点貸していたから、200点差でボクがトップだよ」と言ったのですが、B君は「もう時効だから今更そんなことを言ってもだめだよ」と拒否しました。
【こたえ】
次の半チャンが始まろうとしているということは、前回の半チャンの点棒を配給原点に戻してしまっているので、確認するのは困難です。当然、A君の言い分は通らず、時効となります。
全段審の競技会や研修会では、点棒の賃借はハコ点オーバーの時しか認めていません。一般的なマナーとしても、これが当然です。マンガンを放銃し、頭に来て「借り!」などと言う人がいたら、そっと注意してあげましょう。
⑥放銃者が確認しないうちに手牌をくずしてしまったら
南家B君の捨てた6pで東家A君が「ロン、高目三色でマンガン」と言って手牌を倒したのですが、手牌から手を離さなかったので、南家B君には確認できず、そのままくずされてしまいました。そこで南家B君は「よく見せないで、マンガンと言われても払えないよ」と支払いを拒否したのですが……。
【こたえ】
アガった手牌は他の三家が確認してから、点棒の授受が行なわれなければなりません。
したがって、このケース、親マンどころか親のチョンボになります。ただし、放銃者のB君が親マンを払うのがいやで、故意にA君の手牌が見えなかったと言っても、他の二家が確認できていれば支払わなければいけません。
(7)同巡とはどういうことなのでしょう
①アガリの選択(その1)
南家のA君、好手牌に恵まれ四巡目にして345678m678p2278sのテンパイ。西家から9sが出ましたが安目なので見送ったところ、続いて北家から高目の6sが出たので、待ってましたとばかり「ロン、高目の三色」と言ったのですが……
【こたえ】
一巡(同巡)内でのアガリ牌の選択はできません。したがって、「ロン」を宣言すればチョンボとなります。自分のツモ番がきてツモればアガれますが、自分のツモ番前までは見逃がしとなってアガれません。
②アガリの選択(その2)
東家A君222m8999s444p北北北のテンパイ。南家B君から7sが出たが役がないので見送ると、すぐに西家C君から8sが出たので「ロン、トイトイ・三暗刻でマンガン」と宣言したのですが…
【こたえ】
7sでは役なしなので当然アガれません。しかし、テンパイはあくまでも7sと8sなので、同巡内でのアガリ牌の選択となります。したがって、このケースもアガれないことになります。もちろん、一巡後に8sが出ればアガれます。
③アガリの選択(その3)
西家A君が111678m567p3344sのテンパイ。流局寸前なのでリーチをかけずにいたところ、ハイテイ一つ前に東家B君が4sを捨てました。もちろん、アガれないので見送ったところ、南家C君がハイテイで3sを捨てたので「ハイテイならロンだ」と言ったのですが……
【こたえ】
全問②とまったく同じに考えればよいわけで、あくまでもアガリ牌は3sと4sで、東家B君が4sを捨てたときはイーハンしばりという条件を満たしていなかっただけのことで、やはり同巡内のアガリ牌の選択となるので、3sがハイテイで出てもアガれません。
④ポン(カン)でツモ番をとばされたら
南家A君が456m45p23445688sのテンパイ。西家が3pを捨てたが、A君は安目のため見逃がした。この3pを東家がポンして6pを捨てました。A君は高目が出たので「ロン」と宣言したのですが……
【こたえ】
これも1巡内のアガリの選択となるのであがれません。ダブルリーチや一発役の場合の一巡目というのは、ポン・チー・カンがあれば消えてしまうので、アガれるのではないかと考える方もいると思いますが、この場合の一巡内というのは、他家から見れば南家A君の手牌は、A君のツモ番を経過しなければ手変りが絶対ないわけで、ツモ番前に他家が何回ポン・チー・カンを繰り返してもA君の手牌に関係なく、A君のツモ番がくれば、それがたとえツモ切りであっても手変りがあったとされ一巡したということになるのです。このケースも、東家のポンがあっても、自分のツモ番を経過してないということでアガれません。同様に、これがポンでなくて、カンでも同じ結論になります。