【第14回】麻雀を教えるって、どういうこと? | 麻雀新聞

【第14回】麻雀を教えるって、どういうこと?

麻雀を教えるって、どういうこと?

「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」

この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第14回目は【ドラ】と【槓】についてです!

 回まで色々な役について学んできましたが、今回は懸賞役と呼ばれる役についてお伝えしていこうと思います。
 懸賞役なんて聞いたことがないよ! という方も多いと思われます。
 偶然役とも呼ばれるこの懸賞役は、自分で狙って作ることが出来ない役なのですね。それらを1つずつお伝えしていこうと思うのですが……。
 ちょっとその前に。私はこのタイミングで『ドラ』を伝えることにしています。

このタイミングで『ドラ』を伝える理由とは?

 それは、『役』と『ドラ』では『役』の方が圧倒的に大切だからです。
 とかく麻雀を打っていると、「ドラがあるから仕掛けよう」だとか、「ドラがあるから早く聴牌してリーチをかけなきゃ」なんて話をよく耳にします。
 『ドラ』は翻数が上がる大事な存在の牌ではありますが、『ドラ』は『役』ではないのです。
 持っているだけでは何の役にも立たないですし、アガって初めて1翻相当の『ドラ』になるのですね。
 それをしっかりと伝えることが、麻雀講師の腕ということになります。

 『ドラ』は『役』ではないので、『役』を作った後のおまけ程度に感じてもらうことが大切ですね。

 そうでないと、麻雀を打つ時の楽しみが、『ドラ』であり、『聴牌』することや『リーチ』をかけることになってしまいますからね。あくまで麻雀の楽しみは『手作り』であり、『アガリ』ですから、その辺りのバランスを大切にすることが大事なことだと思います。
 教室によっては、『ドラ』と同じタイミングで『裏ドラ』も教えることになります。

『裏ドラ』を見るために麻雀を打つのではない!

 『裏ドラ』は、リーチをかけてアガった人だけが得る特権ですね。
 どうしても、この裏ドラを伝えるタイミングが早くなってしまうと、生徒さんがリーチを打つことに主眼を置いてしまいます。リーチをかけて早く裏ドラが見たいと。
 『裏ドラ』はアガらないと見ることが出来ませんよね。

 アガるためには、アガリ易い形を作らなければならないのです。リーチを早くかけるために聴牌スピードを上げるような指導をするよりも、麻雀教室においてはじっくりと手を創り上げていく喜びや、アガリそのものの喜びを伝えるべきだと私は思うのです。
 ですから、リーチをかけてアガってもいないのに裏ドラを見ようとする生徒さんには厳しく指導します。
 『裏ドラ』を見るために麻雀を打っているわけではないのですからね。
(もちろん楽しみ方の1つではありますが)

 話が少し脱線しました。この『ドラ』(『裏ドラ』も含む)を伝える時に大切な用語があります。

 それは、『王牌』(ワンパイ)です。

 開門位置から右側の14枚の牌のことを『王牌』といいますね。
 この『王牌』の部分については、ゲーム進行を伝える際に必ず伝えておく必要があると思います。『ドラ』を説明する際にも、改めてこの『王牌』を生徒さんの目の前で作り、『王牌』の左から三枚
目をめくった牌の次の牌が『ドラ』になる
ということを説明してあげるとわかりやすいですよね。

 『裏ドラ』についても同様で、『ドラ』表示牌の下段の牌が『裏ドラ』表示牌になるということを、目の前で実演してあげることが大切です。そうすれば『ドラ』、『裏ドラ』についての理解が一層深まるでしょう。
 ここで使用した『王牌』をそのままにして、次の役の説明に入ります。
 次の役は『嶺上開花』です。

『槓』(カン)の説明はメンツの復習とともに!

 ここでも新しく伝える用語がありますよね。それは『槓』(カン)です。
 この『槓』の説明は丁寧に行わなければいけません。
 ここで大切なことは、このタイミングでメンツについての復習を必ず行うということです。

 組み合わせ(メンツ)には2種類のメンツがあるというお話をしましたよね?
 「それは何だったでしょうか?」
 という質問を投げかけてあげると、この時点ではほとんどの生徒さんが『刻子』と『順子』という正解を出すはずです。わからなかった方も、正解を聞けば「あぁ、そうだった!」という風に答えるはずです。

 このキャッチボールこそが麻雀講師と生徒さんの信頼関係に繋がると考えているのですが……詳しくはまたの機会にということで。ここで私は生徒さんに謝ります。

 本当は、メンツにはもう1種類のメンツがあったということを伝えるのです。そう、『槓子』(カンツ)ですよね。
 『槓子』とは、4枚一組の牌の組み合わせのことですよね。
 『面子』(メンツ)には、『刻子』、『順子』、『槓子』の3種類のメンツがあるということを伝えます。
 ここで大切なのは、『刻子』の時と同様、『槓子』にも種類があるということを伝えなければならないということです。
 『刻子』には、自分の力で3枚揃えた『暗刻』と、他の人の力を借りて作った『明刻』があったように、『槓子』にも、自分の力で4枚揃えた『暗槓』と、他の人の力を借りて作った『明槓』があるのです。
 さらに『明槓』には、暗刻で持っているところから4枚目の牌を槓する『大明槓』(ダイミンカン)と、自分でポンしている明刻に、4枚目の牌を持ってきて槓する『加槓』(カカン)(または『小明槓』(ショウミンカン))の2種類の『明槓』があることを伝えなければいけません。

 伝えることが多くて大変なのですが、この『槓子』を作る行為そのもののことを『槓』(カン)ということを理解してもらわなければいけませんね。
 牌を1枚ツモってきて『槓』をすると(大明槓の場合は『槓』の発声ですが)、一枚少なくなってしまうため、牌を捨てることが出来なくなってしまいますよね。ここで、先程作った『王牌』の登場です。
 1枚足りなくなった牌を補充する場所は、そう、『嶺上牌』ですね。
 『嶺上牌』とは、『王牌』の一番後ろ、左端の牌のことを指します。
 『槓』の手順としては、どの『槓』の場合でも、『槓』(カン)と発声し、『暗槓』の場合は手牌の中から4枚開示し(大明槓の場合は3枚開示、加槓の場合はツモってきた牌を開示し、明刻の上に加える)、『嶺上牌』から一枚補充し、打牌したところで『槓』が成立することを伝えます。
 この時に『槓』の作法も伝えるのですが、『暗槓』の場合、一度他の3人に見えるように4枚開示した後、【■中中■】または、【中■■中】のように、両端、または真ん中の2枚を裏返して右端に晒すことで『暗槓』が成立することを伝えます。

 『大明槓』は、ポンと同様で、指示牌を切った人の方向を向けて4枚開示します。『加槓』は、ポンしてある指示牌の上に横向きに重ねておくことで『加槓』の印とします。この段階で、『暗槓』、『大明槓』、『加槓』の違いを晒し方の違いによって表すことが出来ることまで伝えるのです。
 『槓』の説明が終わったところで、本題に入ります。

美しいネーミングの麻雀役

 そう、『嶺上開花』ですね。嶺の上に花開く、と書くこの『嶺上開花』は、麻雀の役の中でも一番美しいネーミングセンスだなっていつも思うのですが皆さんはどうでしょうか?
 『嶺上開花』は、『槓』した時に補充する、『嶺上牌』から持ってきた牌でツモアガりすることですね。
 これも伝えやすい役だと思いますが、この『嶺上開花』は狙って出来る役ではなく、偶然出来る役であるわけですから、ここまでに伝えてきた一般役とは区別して伝えた方が良いと思います。
 実際に聴牌形から槓をして、嶺上牌からアガリ牌を持ってくる所まで実演してあげる方がわかりやすいと思います。

 ここで合わせてお伝えする役は『槍槓』(チャンカン)です。この『槍槓』は『加槓』の際に出来る役ですね。
 ポンしている牌に『加槓』した時、その『加槓』した牌がロン牌だった場合に出来る役です。
 これも『嶺上開花』の場合と同様、ポンしている形に『加槓』して、どういった場合が『槍槓』に当たるのかを見せてあげると良いでしょう。

 『槓』についての講義をしてきましたので、ここで一般役をもう1つお伝えすることにします。それは、『三槓子』です。
 メンツの中に3つ『槓子』が入っている形を『三槓子』といいますね。
 この場合の『槓子』は『暗槓』でも『明槓』でも良いということをここではしっかりと伝えます。
 ここまでの講義で『三暗刻』を伝えていますから、この『三槓子』と兄弟のような役だと伝えてあげると、生徒さんの理解も深まると思いますよ。
 本来はこの講義の時に、もう少し新しい役をお伝えするのですが……。

 長くなったので今回はこの辺りで。

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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。

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