「第5回福岡市公民館(サークル・同好会)交流健康マージャン大会」レポート 文:陶山昌明(一般社団法人NSK健康麻雀九州) | 麻雀新聞

「第5回福岡市公民館(サークル・同好会)交流健康マージャン大会」レポート 文:陶山昌明(一般社団法人NSK健康麻雀九州)

2023年(令和5年)5月21日(日)、大安吉日。最高気温25度の夏日、まさに麻雀日和と呼ぶにふさわしいこの日、福岡県福岡市『福岡市立中央体育館』を舞台にして、「第5回福岡市公民館(サークル・同好会)交流健康マージャン大会」が開催された。2019年の前大会から4年ぶりの開催となる当大会は、27の公民館・サークル参加者129名、一般参加者27名、総勢156名が参加。新型コロナウイルス感染予防として、入場時の消毒・検温、大会中のマスク着用を徹底した大会となった。福岡市では、スポーツ以外で体育館を使用するのは、この麻雀大会が史上初。

今大会は、一般社団法人NSK健康麻雀九州(以下NSK)が主催・運営、福岡市が後援をして、(株)ノア・カワバタ、日本プロ麻雀連盟九州本部の協賛のもとで行われた。NSKは、現在、福岡を中心に公民館などで、高齢者の方に教室を開催し、健康マージャンの普及を目的とした団体。

「相手のアガリを讃え、マナー良く笑顔で麻雀を楽しんでください」。NSK代表瀬戸慎一は、大会の始まりを告げる冒頭の挨拶でこう述べた。大会はレベルの近い人同士で麻雀を「楽しんで」いただくことを重視し、「初級者部門」と「中・上級者部門」の2部門に分けて実施。難しい牌姿で何を切るか、アガリ発生時の点数計算など、初級者部門の参加者が困ったときにはスタッフに質問できるシステムにし、大会の中でも楽しみながら成長出来るようにしている。虎視眈々と優勝を狙う人、普段の練習の成果を試したい人、他の公民館の方との交流を楽しみたい人など、理由はさまざまだが、きっと参加者全員が当大会を待ち望んでいたはずだ。

参加者全員がそれぞれの卓に着席し、一瞬の静寂。NSKスタッフ西村がマイクを持ち、開会式が始まる。全国麻雀業組合総連合会副理事長の小正英雄氏は、昨今のMリーグブームとねんりんピックの盛り上がりについて触れ、その規模の大きさに会場から驚きの声もあがる。続いて、元福岡市議会議員・中央保護区保護司会会長の楠正信氏より、「麻雀は医学的にも健康につながることが証明されている」と健康マージャンそのものの意義についてお話しいただいた。最後に日本プロ麻雀連盟九州本部本部長の中村政時氏が、自身が大切にしている麻雀の格言と、世界大会での日本選手の活躍について述べた。ふと会場に目を向けると、両目を閉じ、手をグーパーに伸ばし準備運動する参加者の姿があった。第一回、第四回の覇者である香椎浜公民館打倒と考えている方もきっと少なくないだろう。

「よろしくお願いします!」参加者同士で元気良く挨拶をして、1回戦が始まった。普段の公民館・サークルと違って、緊張を隠せない東一局。参加者全員が、ゆっくりと慎重に牌山に手を伸ばす。ルールは健康マージャン統一、東南戦のアリアリルール。「中・上級者部門」は個人戦の戦いではあるが、2人組の団体戦としての側面もある。Mリーグのキャッチコピーでもある、「最高の個人競技が、最高の団体競技になる。」に近いペアシステムであり、きっと仲間の存在が頼もしく思えているはずだ。

「初めての人との麻雀はとても緊張します。」そう語るのは、野多目公民館の松藤さん。直後には、しっかり混一色の満貫をアガッていて、南場になる頃には、自然といつもの笑みが浮かんでいた。1回戦終盤、会場端の卓より「すみません!」と手が挙がった。スタッフが向かうと、フリテンロンをしてしまった参加者の姿。別の卓では、リーチ後にアガリ放棄になったしまった参加者も。卓内の同卓者から「ドンマイドンマイ、次アガれば大丈夫よ」と励まし合う声が聞こえてくる。ライバルである前に、同じ仲間。「健全で明るく楽しい麻雀を」というNSKの想いに、参加者のみなさんが応えている。

2回戦では、「一枚あれば十分!」と、野口さん(須玖南公民館)が海底に手を伸ばすも、残念ながらアガれず。アガッていれば親のハネ満だっただけに、悔しい表情だ。「私もう0点やないねー」東3局、点棒支払いとともにそう声をあげるのは、1回戦2着と好スタートを切った大江さん(大原公民館)。東場で点数は失ったが、とても楽しそうだ。今回、60分打ち切りのシステムだが、中・上級者部門は早めに終わる卓もチラホラ。東光公民館の宮川さんの卓には、日本プロ麻雀連盟九州本部の岩村プロが同卓し、南4局のリーチタイミングの是非について感想戦を繰り広げていた。

そして、最終3回戦がスタート。「麻雀は何が起こるかわからないゲームです。あきらめないで最後まで頑張ってください」とNSKスタッフ西村が会場を鼓舞する。うんうんと首を縦に振る参加者のみなさん。いつだってドラマのような奇跡が起きるのが麻雀だ。この3回戦は、競技ホール全体に麻雀の神様が舞い降りた瞬間だった。それはまず、東四局で起きた。住吉公民館の足立さんが、白・發・中をポンし、北と八筒のシャンポン聴牌。近くにいたスタッフが息をのむ中、下家の桑野さん(一般)が500・1000でアガリを決めた。3つ目の白を鳴かせてしまった鳥飼さんは「よかった、ありがとう!反省、反省!」とホッと胸をひと撫で。それは、今大会初役満成就まであと一歩のシーンだった。麻雀は奇なり、今大会はそれだけに留まらない。その直後だった。ナンバー12卓がざわついている。「1年ぶりの役満よー!」原公民館の石川さんが、大きなガッツポーズ。見事に役満国士無双を成就していたのだ。石川さんの逆転劇は起きたのか、3回戦終了の合図が会場にアナウンスされた。

最終3回戦が終わり、ここで福岡にてアマチュア落語家として活動中の粗忽家勘心(そこつやかんしん)氏による落語イベント。先ほどまでの緊張感が晴れるように、会場中を笑い声が包み込んだ。

集計が終わり、表彰式の時間。全員がステージに注目する。まず、初級者部門の優勝は、宗像ユリックスの古閑さん。仲間の歓声を背に、瀬戸より賞状を受け取る。そして、中・上級者部門は、上位5名までが、3回戦すべてでプラスポイントと優秀なスコア。その接戦を制し表彰入りしたのは、第3位東光公民館の宮原さん。準優勝は、宗像ユリックス佐々木さん。そして栄えある優勝はプラチナクラブの田淵さん。田淵さんは、最終3回戦で+73・3と奮闘し、逆転でトロフィーを掴み取った。そして、団体戦としてもこの田淵さん、末光さんのプラチナクラブチームが優勝し、今大会は幕を閉じた。

大会の帰り際、多くの参加者が本日の大会成績表を持ち帰った。自分は何位だったのか。仲間は何位だったのか。4年前に大会に参加した人は、きっと自身の成長を感じることができた大会だろう。また、今回初めて参加した人にとっては、普段会う機会のない人と麻雀を打つという大変刺激的な1日になったはずだ。

NSKは、日本プロ麻雀連盟のプロや麻雀アドバイザーを講師として、勝負としての麻雀ではなく、健康マージャンを通じて仲間と楽しく成長できる場を作っている。これからも麻雀を通して、認知症予防やコミュニケーション、引きこもり防止など、少しでも社会貢献につながる活動を広げていきたい。

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