麻雀界に古くから伝わってきた常識を疑い、新セオリーで勝ち続ける小林剛プロの思考とは!?
2024年(令和6年)5月、MリーグのU-NEXT Piratesに所属する小林剛プロ(麻将連合)の新著『常識を疑え! 小林剛の麻雀新セオリー』(近代麻雀戦術シリーズ)が発売された。
麻雀には古くから伝わってきたさまざまな《セオリー》と呼ばれるものがあり、打ち手の指針となるような役に立つものも多いが、厳密に検証していくと、意外に損な選択、誤った考え方だったというものも少なからず存在する。本書は麻雀界のトッププロであり麻雀研究にも余念がない小林プロが、一般的に言われがちなセオリーを見直し、新たな考え方を提唱するものとなっている。
たとえば、「ドラは一発で切れない」という考えに対し、小林はむしろ「ドラは一発で切れ」と提唱。ただでさえドラで放銃したら高いのに一発まで絡んだらもっとひどいことになるのでは、と思いたくもなるが、そこには明確なロジックが存在している。他にも片アガリや役牌バック、親リーチへの押し引きなど、一般的に麻雀を打っている中で頻出しやすい事例について、自身の実戦譜や話題になったシーンなどを引用して解説している。小林プロのファンや、麻雀界の注目の対局を普段からよく見ているような人であれば、記憶に新しい牌姿も多いだろう。
また、本書ではコラムも充実しており、小林プロの麻雀に対する考え方や先輩麻雀プロとの思い出など、内容についてもレパートリーに富んでいる。小林プロ本人も非常にユーモアのある人物で語り口もとても丁寧で分かりやすく、読んでいて楽しいものになっている。
新セオリーに関してはかつてのセオリーと対比して言葉を設定しているので、キーワードとして頭に残りやすい。内容を一言一句覚えずとも、キーワードだけを頭に入れておくだけで、自身の麻雀におけるベースを作ることができる。もちろん、内容を読み込めばキーワードをさらに深く理解できるので、より間違うことも少なくなるだろう。
これから麻雀を強くなっていきたい人にとっては、必読の一冊と言えそうだ。
(文・東川亮)
■『常識を疑え !小林剛の麻雀新セオリー』
著者:小林剛
出版社:竹書房(近代麻雀戦術シリーズ)
発売日:2024年5月7日
定価: 1650円 (税込)