高校の同級生だった弁護士(33)と中央区職員の男性が、区職員の自宅マンションにて飲酒で酩酊した20代の女性に猥褻な行為をしたとして、不同意性交の疑いで逮捕されたという事件報道がありました。しかしその後東京地検はこの事件を「不起訴処分」としました。
また、15歳の女子高生を22歳の大学生ホストがホストクラブへ誘い、「18歳未満の立ち入らせ」「20歳未満への酒類の提供」容疑の風営法違反で逮捕され、ホストクラブの経営者も逮捕されました。この事件についても東京地検は「不起訴処分」としました。
同様な事件でも「不起訴処分」が続いています。そしてそれら報道の最後は、検察は「不起訴処分の理由は明らかにしていない」との言葉で締めくくっています。
何だかなぁ〜。こんな記事ではスッキリしませんよね。
調べてみると近年では事件処理の7割が不起訴になっているとか。不起訴になれば公開の刑事裁判は開かれず、事件処理はそこで終わってしまうことになります。
仮に凶悪犯であったとしても容疑者が不起訴になってしまえば事件の真相について「不起訴処分の理由は明らかにしていない」ということでは、すっきりした気持ちにはなりません。
不起訴には「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」「起訴猶予」という3種類があります。「嫌疑なし」は逮捕したものの犯罪を証明するものが無く、誤認逮捕の可能性もあり容疑者は無実ということです。「嫌疑不十分」は、裁判で有罪を立証する確固たる証拠を充分に集められなかった場合などがこれに当たり、「起訴猶予」は有罪を立証することは可能だが、罪の重さや容疑者の境遇、被害弁済、示談成立などの状況を考慮して、検察官の判断で起訴しないことを指します。同じ不起訴報道であっても、「嫌疑なし」と「起訴猶予」とでは大違いです。せめてその判断ができるような発表をして欲しいものです。
事件が発生し、容疑者が逮捕され、摘発されると報道では容疑者の実名を報じます。しかしその後容疑者とされ実名を公表された人が「嫌疑なし」(無実)であった場合、当然名誉回復をしなければならないので「不起訴処分」の報道がなされます。しかしそれについても理由ははっきり示す必要があります。「誤認逮捕でした」と言えないから理由を言わないのかな?と勘ぐられても仕方ありません。不起訴理由は明らかにして欲しいものですよね。