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新式麻雀タクティクス 第8回
- 2017/3/6
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皆さん、こんにちは。最高位戦日本プロ麻雀協会の原周平です。
先日、第41期最高位戦Aリーグが開幕し、また新しいシーズンが始まりました。私は3月21日から初めてのC1リーグ参戦になりますが、しっかりといい準備をして第一節を迎えたいと思います。
さて、前回は「チートイツ」に焦点を当てた話をさせていただきましたが、今回のテーマもまた手役絡みで、「ホンイツ・チンイツ」についてとさせていただきます。一般に「染め手」などと括られ、高い手作りの代表のような役ですが、ただ一色を集めればいいとはいっても、狙う頻度、鳴き判断、待ち取り、迷彩など、意外に打ち手の選択は多く、それによって良し悪しや個性が出ることも珍しくないと思います。早速ですが、また牌図をいくつか用意したので、順にご覧下さい。
◎染め手は打点要素の1つ
染め手を狙うとき、障害となるのは普通の手との天秤です。牌図Aは役牌対子があり、ソウズの手材料も悪くなく、さらにはドラ色と、染めるにはおあつらえ向きの手牌といえます。しかし、唯一の懸念は赤5筒があること。これが無ければ、普通に進めてもほぼ安手で速くもないので、染め本線で迷いはないでしょう。しかし、この手の場合、赤にくっつけて手なりでリーチを打てば、ツモ裏で満貫、それ以外でも白を待ちか暗刻にできれば高く、できない場合も1暗刻と白対子を活かしての点パネが狙え、そこそこの打点が見込める手といえます。この場合は赤ですが、他にも両面やドラが他色にあり、染めを迷うという局面はありますよね。果たしてどんな方針で手牌を進めていくのがいいのでしょうか。結論から言うと、この手は1筒2筒、もしくは7萬を切りながら、赤5筒を使った手とホンイツとを天秤にかけて進めるのが有力だと思われます。
一見ただの保留のようですが、ここで大切なのは、北や發を赤5筒と同じように手牌の打点を上げる要素として、役に絡まない孤立牌や愚形ターツよりも優先しているということです。
と同時に、この後赤5筒にくっつけば今度は北や發を切って面前手順に寄せていく構えでもあります。速度が正義と北を切る人も今は増えたように思いますが、赤やドラで打点十分ならいざ知らず、このように普通に進めても安い手にとっては、北は重なれば鳴いても5200が見える染め手のキー牌。鳴いても翻のホンイツは、赤ありでも依然有力な打点要素です。ただし、忘れてはいけないのが天秤の意識。他色の赤やドラを引いたり両面ができたりしたら、それはそれで重く見て、打点要素である北や發との比較で打牌を選んでいく必要があるということです。染め手も打点要素の1つ。どちらが高く速くアガれるか、柔軟な姿勢で見極めることが大切なのだと思われます。
◎迷彩は余裕があるときに
以前は、赤なし想定でしたが、戦術本で今よりも染め手に関する記述が多かったように思います。その中でも特に、二鳴きや迷彩など、面前とのバランスや他家からの見え方に気を配る内容は豊富でした。そしてそれはおそらく、赤なしルールの速度感や押し引きではそれが効果を発揮するからだと思われます。決着巡目が遅く、他家に良い手がなかなか入らないので、勇んで出るポン見るチーしても和了に結びつかないことが多いのです。
しかし、赤ありルールを想定するならば、このバランスは一度修正する必要がありそうです。役牌バックなども同じですが、赤ありでは出にくい牌を「出ない」と決めつけてしまうのは早計です。そして決着巡目が速いので、二鳴きや迷彩で自分の速度を落としてしまうと手遅れになることも考えなくてはいけません。自分の手が染まっていて高くても、赤やドラが他家にいっていれば相手も十分に良い手です。中盤以降は和了競争になることを覚悟して、序盤から積極的に主導権を取りにいくくらいで丁度いいといえるでしょう。
それでも牌図Bのように、すでに序盤からターツ候補が十分に揃っていてチートイツにならなそうな場合であれば、確かに迷彩を意識して北を切るのは有力です。鳴いていけばいずれは看破されそうですが、初打が北と4索とではやはり他家の対応が違います。危険牌を抱えるリスクもあるので本当に序盤に限ってですが、やってみると効果は無視できないものがあります。
しかし牌図Cのように、まだターツ振り替えの可能性があったり、メンホンチートイツが見える手の場合は、役牌2組で迷彩を入れたくなるような手であっても、やはり素直に6索切りで進め、東・發・3萬は序盤からどんどん鳴いていく方が良いと思われます。
◎赤ありルールならではの基準を!
赤が三色に入ったということは、それだけ一色に寄せるリスクがあり、バランスを求められるということでしょう。赤なしと違って、赤持ちの良形などに押し返されることも増えます。しかし、逆に赤のおかげで3900を8000にできたり、ドラ色でなくても鳴きチンイツを12000にできたりしますし、他の良い手とぶつかるおかげで赤なしよりも他家の絞りが甘くなったりします。悪いことばかりでもないので、自分の基準を決め、赤ありならではのバランスで上手く染め手を使いこなせればいいですね。