歌舞伎町でぽん引きをしていたエーちゃん
- 2013/3/14
- 麻雀コラム
昨年末、武道館でのことです。コンサートのチケットを握り会場へ足を運ぶといつものコンサートとは違った趣。
以前どこかで感じた異様な雰囲気。この感覚は何だったのか?……そうそう、格闘技にはあまり興味のない私が、以前知人に招待されたキックボクシングと空手の試合会場で感じたそれと同質の感覚。
周りを見れば刺繍の入ったお揃いのスタジャンを着た元ヤンキーのお兄ちゃんお姉ちゃん。革ジャンにサングラス。中折れハットをかぶり肩から前に進むお兄さん。
その時背後から「先生!」「ボスのコンサートに来てくれてサンキューっす!」
驚きとともに振り返ると……誰だっけ?白い上下のスーツに尖った白い靴。白い中折れ帽に首から提げたシルクのマフラー。
「おーおお、エーちゃん!?」
「うっす!」
再び「ボスのコンサートに来てくれてサンキューっす!」
クスリの後遺症か痩せて骨張った右手が差し出され、しかし力強い握手。まさにシェークハンド。
歌舞伎町でぽん引きをしていたエーちゃんが「しゃぶ中になって別荘送りになった」という噂を聞いて何年が経ったろうか。斜視に加え、いつも身体を小刻みに揺らし鶏のように首を左右に動かし、トイレにでも行きたそうな落ち着きのないエーちゃんが、パチンコ店の店員として機種入れ替え申請用の検定書を毎週末、私の事務所に届けに来るようになってからの知り合い。
矢沢永吉の大ファンと言うことでみんなが彼を「エーちゃん」と呼んでいるのかと思っていたら、本名が榮太郎。
「先生!」と差し出した名刺には「ライブハウスBOSS代表谷澤榮太郎」と書かれているではありませんか。
エーちゃんいわく、ボスが裏切られ抱えた数十億の借金に立ち向かっている姿を見て「俺も立ち直らなければ」と思って、ついにハマにライブハウスを持てるまでになったとのこと。
「凄い!」
矢沢永吉の武道館ライブ。開演1時間前から、アリーナ席、1階席、2階席の至る処でにわか応援団長が立ち上がり「エーちゃん!」「チャチャチャ」「エーちゃん!」「チャチャチャ」の大合唱。
私も合唱に加わり「エーちゃん!」「チャチャチャ」「榮ちゃん!」「チャチャチャ」