【第13回】麻雀を教えるって、どういうこと? | 麻雀新聞

【第13回】麻雀を教えるって、どういうこと?

麻雀を教えるって、どういうこと?

「麻雀を楽しくスムーズに覚えてもらうためにはどうすれば?」

この連載は麻雀教室の開講をお考えの営業者に、
現役麻雀講師が持つスキルのすべてを大公開!
連載第13回目も【刻子系】の役を教えていきます!

 回から【刻子系】の役の説明に入りましたね。見た目も美しく、理解してもらいやすい【刻子系】の役。
 それ故に狙いたくなる【刻子系】の役ではありますが、前回もお伝えしたように私は【刻子系】の役はやっぱり不利な役だと考えます。
 それは何故か?
 見た目の美しさに比べて翻数が低く、それに比べて難易度が遥かに高いからなのです。今回学ぶ役も、もう1〜2翻高ければもっと積極的にお伝えするのですが……この辺りが麻雀の絶妙なゲームバランスに関係しているのかもしれません。

 さて、今回の役を説明する前に、麻雀講師の皆さんに簡単なアドバイスを。
 麻雀に精通している方なら簡単なことかもしれませんが、【刻子系】の役はすべて2翻なんですね。知っていましたか?
 そして、【刻子系】の役には喰い下がりがない、ということも1つの大きな特徴ですよね。
 喰い下がりのない2翻役と言えば【刻子系】の役、と覚えてしまってもいいかもしれませんね。

 話は脱線しましたが、今回お伝えする役は『三色同刻』です。
 見た目にも美しい『三色同刻』ですが、難易度は相当なモノですよね。
 同じ数字の数牌を、マンズ、ピンズ、ソウズの3種類刻子で揃えなくてはいけないのですから、なかなかお目にかかれるモノではありません。単純な確率だけでいったら、大三元と同じ確率なのですから(厳密にいうと当然大三元の方が難しいのですが…)、当然高打点の手役かと思いきや…これも喰い下がりのない2翻役なのですね。何だかとっても損した気分になる手役の代表的な形です。
 ただ、麻雀講師の皆さんにとっては大変伝えやすい役の1つですね。
 説明がとても簡単な役ですし、見た目も派手なので、生徒さんの理解度は高い役だと思います。
 まずはいつものように牌姿を準備するのですが、この時並べる牌姿は、この後の都合もあり、1が良いですね。このような形(手牌A)が良いでしょう。

 この牌姿、中が出た場合は『役牌』という役になりますよね。でも1筒でアガっても役があるんですよ。と、こんな感じです。
 以前お伝えした『三色同順』をしっかりとマスターしていれば、一発で理解できる『三色同刻』。
 『三色同順』が同じ数字の順子が3組ある形の部分役であるのに対し、『三色同刻』は同じ数字の刻子が3種類ある形ですから、漢字で役を表せば一目で理解できる役なんですね。
 違いは【同順】と【同刻】の違いですからね。私が麻雀を覚え始めた頃の麻雀入門書には、『三色同ポン』って書いてある本もあった気がします。
(今でもそういう本はあるのかな?)
 確かに《同ポン》でも意味は分かるのですが、麻雀を伝える立場になった今、やっぱり《同ポン》ではマズいと思っています。
 『三色同順』と『三色同刻』の違いは【順子】と【刻子】の違いです。

 しっかりと役や形の違いを伝えるために、正しい麻雀用語を伝えていくことが、私達麻雀講師の務めなのだと考えています。

 さて、この『三色同刻』を伝えた後、先程図示した牌姿を変化させます。5・6・7索の順子を9索の刻子に差し替えて、このような牌姿(手牌B)に変化させておきます。

 麻雀講師の皆さんにはもうおわかりですよね。そう、『混老頭』です。
 手牌すべてが1、9、字牌で構成されている形ですよね。わかりやすく伝えると、チャンタの対々和か七対子ということですね。
 この混老頭を伝える時にはポイントがいくつかあります。まずは前述した七対子について必ず言及しておくということです。
 七対子のケースはなかなかないのですが、七対子のパターンも図示してあげると親切だと思いますよ。

 さて、この『混老頭』を伝える時の最も大切なポイントは、用語の説明です。
 『混老頭』の【老頭】の部分ですね。
 『老頭牌(ロウトウパイ)』とは1、9牌のことです。
 『么九牌( ヤオチュウパイ)』は『字牌』と『老頭牌』で構成されているということを、今一度ここで生徒さんに伝えておくのが大切なことだと思うのです。
 そしてさらに余裕があれば、こんなことを伝えるのもいいかもしれません。

 それは、

 「麻雀牌には、奇数牌にだけ名前がついている」

 ということです。皆さん知っていましたか?
 今お伝えした1、9牌は『老頭牌(ロウトウパイ)』。
 5牌は『心牌(シンパイ)』。

 そして3、7牌は『尖張牌(センチャンパイ)』と言うのですよ。
 『心牌』(心張牌とも言います)は、名の通り中心の牌との意味ですよね。
 麻雀牌は1〜9までの数字で構成されていますが、その中心となる5牌は5を中心として対の関係にある麻雀牌の中でも重要な意味を持つ牌だということですね。
 『尖張牌』は3と7の牌を指します。
 3と7は順子作りのキーとなる牌ですね。
 順子の種類は、
【123】【234】【345】【456】【567】【678】【789】
 の7種類ですね。
 この順子の中で、3と7が入らない順子は【456】の1種類だけ。
 つまり、7種類ある順子の内、6種類もの順子に3と7が入っているわけです。ですから、3と7は順子作りにとってとても大切な牌と言えるのです。

 もう少し掘り下げて考えてみましょう。今度はリャンメンターツについて考えてみます。
 リャンメンターツは
 【23】【34】【45】【56】【67】【78】
 の6種類ですね。
 このうち、
 【23】【34】【67】【78】
 の4種類のリャンメンターツには3と7が含まれていますよね。
 残りの、
 【45】【56】
 の2種類のリャンメンターツには3と7が含まれていないものの、どちらも3と7が待ち牌になっていることがわかりますか?
 つまり、最終的に【456】の順子には3と7が含まれないが、順子作りの道中では3と7が極めて重要な意味を持つことがわかると思います。

 ここで以前お伝えした、単独孤立牌の切り順の、字牌⇒1、9牌⇒2、8牌⇒3〜7牌の重要性が改めてわかるということを併せて伝えると良いでしょうね。

 またまた脱線してしまいましたが、麻雀用語を伝えることは麻雀の雀力向上に非常に役に立つはずです。生徒さんによっては、しっかりと学びたい人からライトに麻雀を楽しみたい人まで多種多様だとは思いますが、どんな生徒さんでも参考までに頭の片隅に入れておいても損のない話だと思いますので、このようなミニ知識を語る場面は麻雀講師の皆さんの腕の見せ所になるはずですよ!

 そして最後に『混老頭』の牌姿をまたまた変化させます。

 先程の《中》の部分を9萬に変えて、こちらの牌姿(手牌C)に変化させます。
 これは『清老頭』ですね。

 手牌すべてが1、9牌(老頭牌)で構成されている形ですね。
 こちらもわかりやすく言うと、ジュンチャンの対々和です。
 先程の『混老頭』では『七対子』のパターンもあったのに、何故『清老頭』では『七対子』ではダメなのか?
 これは簡単ですね。
 それは、『老頭牌』は6種類しかないからなのですね。
 6種類しかない『老頭牌』で7つの対子を作ることは出来ませんから、『清老頭』は『七対子』では出来ないのです。
 『清老頭』は『混老頭』に比べて難易度が一気に上がります。

 ですから、前回の『四暗刻』の時にお伝えしたのと同様、,『清老頭』は【役満】だということを伝えます。
 刻子系の手は、見た目も派手ですが難易度も上がります。
 それ故に点数も高いというのを伝えることが今回の講義のテーマですね。
 点数が高い手(美しい手)にチャレンジすることはとても大切なことですが、毎回大物手ばかりを狙うのも現実的ではありません

 チャンスがあれば刻子系の手を狙ってみることを奨めてみるのも良いですね。
 また刻子系の手はいろんな手役と複合することを理解して頂き、配牌時から様々な手役のイメージを浮かべて手牌を育ててもらうように誘導していくことが大切なことですね。

 次回もお楽しみに!

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PROFILE
麻雀店経営にも携わる現役麻雀講師。
麻雀プレイヤーとしての顔も持つ。
その歯に衣着せぬ発言は麻雀を愛するがゆえ。

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