麻雀新聞第73号P-6
昭和58年5月10日
トラブル解答集
(5)アガリをめぐるトラブルとは(続)
③リーチ者以外の他家に捨て牌の確認を求めた結果放銃したら
東家A君がリーチをかけています。数巡後、南家B君が西家のC君に「その8m通っているかい」と聞いたところ「通っているよ」とC君が言うので、安心して捨てました。すると、A君が、「ロン、親マン」と言って手牌を倒しました。怒ったのはB君で、通ったと言ったC君に「君が通ったと言ったから捨てたんだよ。親マンは君が払えよ」と言ったでのすが……
【こたえ】
大体、ゲームの推移を見守っていない南家B君自身が悪いわけでその上、確認した相手がリーチの当事者A君でなく、西家のC君だというのではまったく話になりません。聞かれたC君も、はっきりわからないことには答えるべきではありませんが、最終的な責任は放銃した南家B君自身が負うべきです。
巷間、よく見かける光景ですがゲームの惟移は自分自身の目で確かめておきましょう。自分の打牌の責任を他家へ押しつけるのは無理で、あくまでも自分で負わなければなりません。
④捨て牌の巡目を数えて、安全と思って捨てたら放銃となってしまったとき…
南家A君がリーチをかけていました。東家のB君は8sを捨てれば自分もテンパイするので、西家C君の捨てている8sの巡目を数えたら、通っているのでこれ幸いとばかりに8sを捨てたところ、南家のA君に「ロン、マンガン」と手牌を開かれました。B君は「ちゃんと巡目を数えて、通っているのがわかったから捨てたので、君の見逃しでチョンボだよ」と抗議しました。後で調べてみると西家C君と北家D君の捨て牌が入り混じっていて、巡目が狂っていることがわかったのですが……。
【こたえ】
前問の③と同様に、ゲームの進行を自分自身の目で確認していないから、こんなことになるので、自分の打牌の責任はやはり自分自身で負わなければならず、東家B君の放銃となります。もし、自分でわからない場合はリーチ者のA君にたずねるべきです。
このようなトラブルを防くためにも、捨て牌は六枚を一列として三段に並べるか、九枚を一列にして二段に並べるのがいいことです。全段審の研修会では、捨て牌は六トンずつ二段、三段と区切って捨てることを励行させています。
⑤アガリ役はアガった者が有利に解釈してもよいでしょうか
西家A君が22333444m111p發發でリーチ。その捨て牌に5mがあったので、南家B君が2mを捨てたところ、西家A君が「ロン、ツモリスーアンコ(四階刻)だけどアガっちゃおう」といって手牌を倒しました。この手牌を見てB君が「5mで一度アガっているからフリテンだよ」と指摘したのですが、A君は「これは2mと發のシャンポンでサンアンコトイトイだよ」といって聞き入れません。
【こたえ】
アガリ役を有利に選択することは、アガった者の自由ですが、だからといってアガっている牌を一枚でも切っていればフリテンとなるのは当然で、このケース西家A君のチョンボとなります。また、12233m66p223344sの手牌で4mを捨てていれば当然フリテンで1mタンキのチイトイツだからというりくつは通らずアガればチョンボとなることは言うまでもありません。
⑥リャンハンしばりでリーチ、一発ならアガレれるか
西家A君リャンハンしばりにもかかわらず、役なしの手でリーチをかけました。ところが北家B君が一発で放銃。A君はリーチ・一発でリャンハンあるので、「ロン」といって手牌を開けましたがアガれるでしょうか。
【こたえ】
リャンハンしばりの場合、リーチはイーハンのアガリ役とされますが、一発役はオープンリーチと共にドラと同じように解釈され、アガってから加算されるイーハンとなります。したがって、誤ロンとなってチョンボとなります。
⑦リャンハンしばりでリーチ、ツモは有効だろうか親のY君、リャンハンしばりでしたが、ドラニ丁入りの手牌をテンパイし、出アガリのきかないのを承知でリーチをかけました。
マチがカン7sと悪く、無理かと思っていたのですが、流局寸前、幸運にもツモアガリしましたアガリは有効ですか。
【こたえ】
一般にはリーチのイーハンとメンツモのイーハンの合わせてリャンハンとなるのでアガれます。ただし、事前にリーチツモはだめという取りきめがあれば話は別です。
⑧リャンハンしばりで片アガリのリーチは出アカリがきくのだろうか
リャンハンしばりで南家のA君456m789p22277s中中の手牌でリーチをかけました。二巡後、西家のB君から中が出たので「ロン、ドラ1で5200だ」といったのですが、西家B君から「7sが出たらアガれない手だからチョンボだ」とクレームがついたのですが
【こたえ】
一般的にはリーチと中でリャンハンの条件を満たしているのでアガれます。もちろん7sが先に出てしまっては、後から中が出ても見逃がしとなるので出アガリできません
⑨「完先ルール」(完全先ツケルール)でリャンハンしばりの場合、リーチの他にもうイーハンが確定してなければいけないだろうか
完先ルールでリャハンハンしばり。北家A君123m345p678s北北中中の手牌でリーチをかけ、四巡後東家B君から北で出アガリました。
ところが東家B君は「北か中が暗刻ならリャンハン確定だからアガれるが、それはだめだよ」と受けつけません。
【こたえ】
大体、完先ルールというルールが確定されていない現在、両者の言い分もわからないではありません。完先ルールの第一義が「役の確定」ということであれば東家B君の理論はもっともです。
たしかに、北トイツ中トイツの状態ではイーハン確定とは言えません。しかし、アガるためにはもう1枚の牌が必要なわけでそうなるとアガリ牌は必要的に、北か中に限られるので、リャンハンが確定している状態と言えると思います。(完先ルールのテンパイ形参照)
⑩リャンハンしばりでリーチ・チャンカンはアガれるだろうか
リャンハンしばり。南家A君リーチのみの手牌でリーチをかけました。マチは5-8mですが8mは東家がポンしています。三巡後、東家が8mを加カン。A君、すかさず「ロン。チャンカンでアガれるね」といって手牌を聞きましたが……
【こたえ】
チャンカンは一発役などと違い立派なイーハン役ですから、リーチチャンカンでリャンハンとなりアガれます。
同様に「メンツモ・リンシャンカイホウ」「メンツモ・ハイテイ」「リーチ・ハイテイ放銃」なども、リャンハンしばりで有効です。
⑪サンチャホウ(三家和)は流局か
東家A君、南家B君、西塚C君と次々にリーチがかかり、北家D君は大弱り。捨て牌に窮して、9pを捨てたとこう、リーチのA、B、C君から「ロン」の声がかかりました。D君は「サンチャホウだから流れだ」と大喜び。東家A君は「上家優先だからボクのアガリだ」と主張。南家B君と西家C君は「二塁打も三塁打もありだから三人に払うべきだ」と言って収拾がつきません。
【こたえ】
ゲーム開始前の打ち合わせ不十分から起るトラブルです。全段審ルールでは「サンチャホウ」はなく、上家優先で、この場合東家A君だけのアガリが認められます。
一般的には、流局とするのが通例です。しかし、最近では二塁打三塁打もありというのも多いようで、流局をとるか、二塁打とするか、はたまた三塁打とするかは、事前の取りきめに従うより他ありません。
⑫上家のツモを抜かして先ヅモし、先切りしてしまった牌に「ロン」と言えるだろうか
北家のA君が、あせって西家B君のツモ番を抜かして先にツモってしまい、5pを捨てたところ東家C君から「ロン」がかかった。東家C君は当然アガリを主張しましたが……
【こたえ】
全段番ルールでは先ヅモをアガリ放棄としているので、他人のツモ番まで抜かしてツモるケースなど考えられませんが、もしあったとすれば当然アガリ最優先の原則からいっても、東家C君のアガリは認められます。またこの5pにアガリがなくても、他人のツモ番を抜かした北家A君は以後アガリ放棄です。もっとも、自分のツモ番を抜かされたことに気付かない西家B君も、ちょっとおかしいしぼんやりしていると思います。