【追憶の麻雀】第26回「トラブル解答集〔5〕」 | 麻雀新聞

【追憶の麻雀】第26回「トラブル解答集〔5〕」

麻雀新聞第72号 昭和58年4月10日

 

トラブル解答集〔5〕

 (4)リーチをめぐるトラブルとは(続)

④ノーテンリーチはチョンボだろうか

東家A君、リーチ後手牌を見直すと、ピンズのメンツが457pとなっていて、テンパイしていないことがわかりました。

子の三人は親リーチとあってベタオリしてしまったので流局となってしまいました。南家のB君は『リーチだからオリたので、そうでなければマンガンをアガっていたところだから、チョンボ料もらっても合わないぜ」と怒りましたが……

【こたえ】

ノーテンリーチで流局となった場合はチョンボとなります。しかし、他にアガリが出た場合はアガリが認められ、チョンボは免れます。

東家A君の場合は流局なのでチョンボです。

⑤カラテンリーチはチョンボとなるのだろうか

南家Y君、ソーズの一気通貫をカン2sマチでテンパイ。5sを捨てているので喜び勇んで「リーチ!」そのあと場を見ると東家が2sを暗カンしていました。幸い流局となったのですが他家から「カラテンとわかっているリーチはチョンボだよ」とクレームがついたのですが……

【こたえ】

形式テンパイを認めているのなら、アガリ牌の有無にかかわらずテンパイと認められます。したがって、ノーテン罰符はもらえます。

トラブル防止からみても、形式テンパイありが最善策といえます。

⑥フリテンリーチ禁止のルールで、うっかリリーチをかけたらどうなるのだろうか

フリテンリーチをかけてはいけないルールで南家A君が369mマチでリーチ、後で気が付くと9mを捨てていました。さて……

【こたえ】

こういう取り決めが事前にあれば、規定条項に違反した以上罰則を受けます。その罰則がチョンボというのならA君は当然チョンボを取られます。ツモってもアガれませんが、アガった人が出た場合はアガリ優先でチョンボは免れます。

⑦リーチ者が他家の手牌をのぞいたら

西家のB君25pマチでリーチをかけ、東家C君の手牌をのぞいたら、222555p777m東東發發でヤミテンしているのでびっくりぎょうてん。思わず「やあ、まいったなあ、リーチやめたいヨ」と叫んでしまいました。当然東家のC君は怒りましたが……

【こたえ】

全段審ルールでは、他家の手牌をのぞけぱアガリ放棄です。それ以上の規定はないのですが、こんな発言をする不心得者からはチョンボ相当の罰符を取ってもよいと考えます。

巷間、リーチ者が他家の手牌をのぞく光景はよくみられます。しかしこんなケースに発展することもあるので、リーチ者が他家の手牌をのぞくことは厳禁としなければ、トラブルの種はつきません。このケース、他の三人が協議の上、チョンボ相当の罰符を取ってもいいと考えます。

⑧リーチの発声と殆んど同時の放銃に、リーチのイーハンは認められるか

南家のA君、好手牌なのか、なかなか打牌をしないので、下家の西家B君は焦込んで先ヅモをし、南家A君のリーチの発声と殆んど同時に打牌しました。これがA君へのアタリ牌となったのですが、西家B君は「ボクの捨て牌を見てリーチをしたんだろう?牌も横向けになっていないし、リーチ棒も出ていないから、リーチは無効だよ」と主張しましたが……

【こたえ】

いくらA君の打牌が遅れたからといっても、先ヅモは厳禁です。たとえA君がB君の捨て牌を見てからリーチの発声を行なっても、B君がA君の打牌の前に打牌を行なってしまっているのですからリーチは有効です。本来、リーチは①リーチの発声、②牌の横向け、③リーチ棒の供託の三つの行為が完了して効力を発するわけですが、三つの行為を同時に行なうことは人間として不可能で、その一部が遅れてもやむを得ません。

このケース、A君のリーチの発声がB君以外の二人に確認されていれば有効です。

⑨牌を横向けにし、リーチ棒を出したが、リーチの発声がなかった。このリーチは有効ですか東家のA君がだまって牌を横向けにし、リーチ棒を出した。南家のB君は自分の手牌に気を取られこれに気付かず東を捨てたところ東家のA君が「ロン、ダブ東・ドラ1・リーチでマンガンだ」と12,000点を請求したのですが、南家のB君は「なに言ってるんだい!リーチの発声がなかったじゃないか」といって認めようとしません。

【こたえ】

前問の⑧で述べたように、リーチは三つの行為が完了して有効となるわけです。又、その一部が遅れることはやむを得ないのですがリーチの発声は打牌までにノータイムでできる筈です。

したがって、このケース、リーチは認められません。しかし、アガリは認められ、B君はA君へ7,700点を支払わなければなりません。

このケースと違って、出アガリのきかない手牌の場合はチョンボとなります。

リーチ一発役のルールでは、リーチが有効となるか、無効となるかでリャンハンの違いがあるわけで、リーチは明確な行為をともなって行なわないと、大きなトラブルとなってしまいます。リーチ成立の絶対的条件は、リーチの発声にあることを認識することです

⑩リーチ後、アガリ牌を河に捨ててしまったら

東家がドラドラ・チートイツをテンパイし、9sタンキでリーチをかけました。数巡後9sをツモったのですが、モーパイで6sと思い河に捨ててしまいました。ところがこの9sに西家からロンがかかり、「高目、一気通貫で7,700点だ」と言われたのですが、東家とすれば親ハネの6,000オールなので諦め切れません。

【こたえ】

ツモった牌を河に捨てたということは、このツモ牌への権利を放棄したことになります。

全段審ルールでは、牌の背が河についただけで捨て牌とみなされます。したがって、西家のアガリが認められ、東家の放銃となります。日頃、皆さんのお店やグループの中では、リーチ後ツモ牌をいきなり河の中に投げ出し、それがたまたまアガリ牌だった場合は、その牌を拾ってきてアガるケースがよく見られます。こういう行為は厳格に判定すれば全部アガリ放棄しているわけで、お互いに注意し合うのがいいでしょう。ルーズな判定はトラブルを野放しにしているようなもので感心できません。

河の境界については、壁牌の内側という考えもありますが、壁牌が少なくなった場合、判断が難しくなりますので、手牌の内側と厳しく考えた方がいいかと思います。

⑪リーチをかけ、裏ドラを見てしまった場合、選択アガリはでぎるだろうか

北家A君は三位でトップとは約7,000点。マンガン出アガリかツモアガればトップになれます。そこで、裏ドラ期待でリーチをかけ裏ドラを見たのですが、残念ながら裏ドラはなく、アガリを見逃そうと考えたのですが……。

【こたえ】

アガる前に裏ドラを見ることは、相手の手牌をのぞくのと同じ行為でアガリ放棄とすべきです。

しかし、一般的にはむしろリーチをかけて、すぐ裏ドラを見る人の方が多いようです。現在の麻雀は順位によって収支が大きく違ってくるので、このような場面は多く生まれるものと思われます。

お店でも、グループでも、裏ドラは必らずアガってから見るよう規制しないと、この種のトラブルは絶えることがありません。

この場合は、裏ドラがあったとしてもアガリ放棄です。

 

(5)アガリをめぐるトラブルとは

①リーチ・一発アリのルールで1巡後に暗力ンをして、リンシャンカイホウでアガっても一発となるだろうか

西家A君が123p34567m66s中中中でリーチをかけ、一巡後に中を引いて暗カン、リンシャンカイホウで8mをツモ。「リーチ・一発ツモドラ1のリンシャンカイホウと中があるからハネマンだ」と言うのですが…

【こたえ】

一発役が成立するためにはポン・チー・カン(暗カンを含む)のない一巡以内でなければならないわけですから、このケース、一発とはならずマンガン止まりでハネマンとはなりません。

②自分の河に他家の捨て牌が混じっているのに気付がなかったときは……

東家のA君が十三巡目に258pのマチでリーチ。西家B君は東家A君の捨て牌に8pがあるのを見て8pを捨てたところ、A君に「ロン、ピンピンロク」と言われました。驚いたのはB君で「ここに8pが捨ててあるじゃないか、フリテンでチョンボだよ」と指摘しましたが、親のA君は8pを捨てた覚えはまったくなく、南家C君の捨て牌が混じったらしいのです。A君のアガリは認められるだろうか。

【こたえ】

8pを捨てた西家B君にはまったく責任がありません。となると責任を負うべきは、東家A君か南家C君ということになるのですが、たとえ南家C君が故意に混ぜたにせよ、それに気付かなかった東家A君は全責任を負うべきです。したがって、誤ロンとなってチョンボになります。

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