麻雀新聞第75号 昭和58年7月10日
トラブル解答集〔8〕
(8)手段に関するトラブル
①シーサンヤオチュウ(十三么九)にフリテンはあるだろうか(その1)
南家A君が北を捨てたところ、西家B君が「ロン」。手牌は十三么九(国士無双)の13メンマチ。しかし、捨て牌に9s東中があり、A君は『アガ牌を捨てているからフリテンだよ』と主張したのですが…
【こたえ】
アガリ牌を自ら捨てている状態はたしかにフリテンですが、国士無双のフリテンに関しては「現物牌以外ならアガれる」という特例があり、このケースもアガれると判断します。
②シーサンヤオチュウにフリテンはあるだろうか(その二)
前問①と同じようなケースで、南家A君がリーチをかけた場合、一巡内で西家B君が南家A君の現物牌の東を捨て、続いて北家C君が現物牌でない發を捨てたら、A君はアガれるだろうか。
【こたえ】
「国士無双は現物牌以外の牌ならアガれる」という特例がある以上、一般条項の「同巡内のアガリ牌の選択禁止」よりも優先して、アガれることになります。
③国士無双のチャンカンはアガれるだろうか
北家A君が国士無双を發マチでテンパイ。数巡後、南家B君が「カン」と言って發を暗カンしました。北家A君はこの發でアガれるでしょうか。
【こたえ】
「国士無双は暗カンのチャンカンを認める】という特例が一般化している以上、当然A君はアガれます。全段審ルールにも、この特例は明文化されています。
④チュウレンポウトウ(九連宝灯)は暗力ンをチャンカンできるだろうか
南家A君が1113456678999mのメンチンをテンパイ。マチは2369mの四メンマチですが2m出ればチュウレンポウトウです。すると北家B君が2mを暗カンしたので、大喜びでA君が「ロン、ヤクマン」と言ったのですが……
【こたえ】
暗カンのチャンカンという特例を認めているのは国土無双についてだけですから、チュウレンポウトウが役マンだからといって、これにまで特例をあてはめることはできません。したがって、アガれません。
⑤フリテンの九連宝灯は現物牌以外ならアガれるだろうか
北家A君が13巡目やっと純正(九メンマチ)の九連宝灯をテンパイ。しかし、2mを捨てています。そこへ東家から7mが捨てられたので、「ロン」と言って手牌を倒したのですが……
【こたえ】
全段審ルールはもちろん、一般的にもこういう特例は認められていません。したがって、フリテンとなってアガれません。
⑥發なしでもリュウイーソ(緑一色)の役マンになるだろうか
2226688s333sポン444sポンの手牌をテンパイしていた西家A君、流局間際に6sを引きアガりました。「發がなくても役マンだろ」とA君は言うのですが……
【こたえ】
以前は發がないと役マンとしないなどと言われましたが、現在では發がなくてもいいというのが通例です。
⑦字牌ばかりのチートイツ(七対子)は役マンだろうか
北家A君が中をツモって考東東南南西西北北白白發發中
【こたえ】
宇牌ばかりで形成されているので、ツーイーソウ(字一色)の役満貫と混同し易いが、字一色の役の性格は、各字牌が雀頭の他は、3枚ないし4枚あることが第一条件なので、トイツ形の場合は役満貫とはなりません。といって、単に七対子だけで計算するにはあまりにも気の毒。手作りのむずかしさを評価して、倍マンガンとします。
⑧役マンは重複するだろうか東東東南南南西西西北北77mの手牌で7mをツモったら、スーアンコウ(四暗刻)のスーシーホウ(四喜和)でダブル役マンになるのだろうか。
【こたえ】
全段審ルールでは役マンの重複を認めていません。しかも、役マンは3倍満なので親で36000点、子なら24000点です。最近の一般的傾向としては、役マンの重複を認めているようです。しかし、事前にダブル、トリプルの役マンを認めるかどうかをきめておかないと、トラブルの火種になることは間違いありません。役マンは通常4倍満にしているところが多いようですが、これも事前の取りきめで、4倍にするか5倍にするかはっきりしておくべきです。
⑨スーアンコウ(四暗刻)のタンキ待ちは役マンより大きいのだろうか北家A君が東家B君からスーアンコウのタンキ待ちを出アガった。A君は「ツモリ四暗刻と違って難しいのだから4倍じゃなくて、5倍満だろう」と言うのですが……
【こたえ】
確かに、ツモリ四暗刻よりできにくいことは認めますが、全段審ルールでは普通の役マン扱いで3倍満にしております。
巷間行なわれている麻雀では「タンキ待ちの四暗刻」や「13メン待ちの国士無双」などを5倍満やダブル役満なみの8倍満にしているところもあるようです、いずれにしても、事前にきめておくべきものです。
⑩親の第一打牌でアガったらチーホー(地和)か、レンホー(人和)か
親のA君が第一打牌に北を捨てると、西家B君が「ロン」手牌は488m1188p1155s北のチートイツ。B君は「地和だから役マンだ」と言うのですが…
【こたえ】
全段審ルールでは「地和とはポン・チー・カンのない子の第一ツモによるアガリ」「人和はポン・チー・カンのない第一巡の他家の放銃によるアガリ」と規定していますので、このケースは「人和」でマンガン止まりです。
巷間でもこれが一般的です。役マンはあくまでも機会均等であるべきです。
⑪シーサンプトウは役マンだろうか南家A君がポン・チー・カンのない第一ツモで手牌が148m258p259s東南白中中となり「シーサンプトウだから役マンだ」と言って手牌を倒しました。ところが西家B君は「はじめる前に決めてないから役マンにならないよ」と反対したのですが…
【こたえ】
全段審ルールでは「シーサンプトウ」という役は認めていません。一般にも、「事前の決めがなければ役マンとはなりません。事前の決めがあれば、ポン・チー・カンのない第一ツモで上図のような手牌になれはいいわけです。一説には、第一ツモで雀頭ができないといけないと言われていますので、この場合は第一ツモは手牌の中へ入れてはいけないことになります。
⑫大車輪という役マンはあるだろうか
北家A君は15巡目に5pをツモアガって「大車輪で役マンだ」と興奮して手牌を見せたのですが、その手牌は22334455667788pなのです。
【こたえ】
全段審ルールには大車輪という役マンはありません。一般にも「事前の決め」がないと役マンとはしないようです。もし、役マンとするなら事前にはっきり決めておきましょう。
また、1pからの連続や3pからの連続のように1pや9pの入ったものは、小車輸といって役マンとしないとの説もあります
⑬アガリ役の重複(複合ではない)は認められるだろうか
北家A君が77788899m123p99sの手牌でリーチをかけて9mをツモり「純チャン・ピンフ・イーペーコー・ツモに三暗刻もつくから倍満だ」と言うのですが…
【こたえ】
北家A君の言うように、この手牌を三暗刻とした場合、777m123p888m99s999mになり、純チャン・ピンフ・イーペーコーと考えた場合は778899m123p789m99sとなるわけで、三暗刻と純チャン・ピンフ・イーペーコーは重複しないことになります。どちらを選ぶかはアガった人の自由ですが、点の小さい方を選ぶ人はいないでしょう。
このケース、大きい方を選ぶでしょうから、ハネマンになります。
⑭1122334mはノベタンかどうか
西家A着が1122334m567p234s(ドラなし)の手牌でリーチをかけ、東家B君から4mを出アガ、リーチ・ピンフ・イーペーコーで3900点下さい」と言うと、フリ込んだB君は「ノベタンだから2600点だ」と反論するのですが…
【こたえ】
この場合も前問⑬と同様に11mと22334mにするか、123mと1234mにとるかで点数が違ってきます。この牌姿でしたら当然前者をとってピンフとした方が点数が大きくなるので、アガった西家A君はこちらを選ぶでしょう。