麻雀に関わる人々
第二回:e’sグループオーナー 広川 宰有 氏②
前回に引き続き、「広川 宰有」氏にインタビューを行い、お話を伺った。
広川氏の経営する、e’sグループといえば、難波店e-sou(イーソウ)と梅田店estar(イースター)の両店舗のことであり、より詳しい情報を求める場合は、以下から参照してほしい。
*以下本文中、敬称略
*当記事のまとめが、2018年2月10日に発刊される 麻雀新聞2月号 に掲載予定
記者
ありがとうございます。それでは、次の質問に移らせてもらいます。(麻雀)プロについて、どう思われますか? プロの方が麻雀店を経営されていたりすることなども含めて。
広川
プロであろうがプロでなかろうが、麻雀店を経営する以上は、経営者だと思うんです。
経営者という意味では、同じ土俵。
麻雀プロっていうのは、競技団体に対して会費を支払ってそこに所属していますから、その払ったコストに対して看板を付けて自分の店を出すのは、アリだと思います。
それぞれの店舗さんが、こういうコンセプトで、こういう方をターゲットに、と思ったとときに、その色として打ち出すのにはいいと思います。
あとは、その看板がついていることによって、顧客である一般の方にとっては安心感を与えている。
それはそれでいいんじゃないかと。
要は、プロであるその方たちと、僕自身はプロではないですから――そのコスト、時間であったりお金であったり――差がありますから、払っている方は、それなりのリターンがあってもおかしくないので、それはそれでいいんじゃないかなと。
ただ、僕は30年来プロの人たちを見ていますから、プロになるためのハードルが下がったのは下がったと思います。
囲碁将棋のような世界に追いついていきたいということで、プロ団体が立ち上がりましたが、到底及ぶべくもない。
記者
現状、まったく?
広川
まったく。
記者
将棋なんかは今ですとテレビで大報道されていますが、まったく追いつくべくもないと。
広川
全然。レベルが違います。
記者
技術のレベルで、ということでしょうか。
広川
まぁ、それもありますが、組織としてのシステムなども含めて。
記者
(苦笑)
広川
そりゃそうでしょう。将棋の奨励会に入っている人ですら、アマチュアに負けることなんてほとんどないんですから。
とはいえ、麻雀は将棋に比べて、運というか偶然性に支配されていますから、将棋の勝率が、強い人ですら七割台で、――藤井四段なんかはレアケースですよ?――麻雀はよくとって、三割台。
四人打ちであれば。35%なんてまぁ聞かない。
麻雀を追究している人でも、その程度なのですから、一般のプレイヤーにも負けることがある以上は、負ける姿が美しくなくてはならない。
説得力のある、再現性のある、この局面であれば必ずこれを切る、軸を持っていないといけない。
記者
なるほど、勉強になります。
広川
あとは、結局は人間性ですよね。
負けた時にうだうだ言わない。勝った人をけなさない。
自分が負けたのは自分が弱いからですよ。
記者
ツキがなかったのも含めて?
広川
そうですよ。次頑張ったらいいんですよ。勝ってる人を、その時たたえましょう。
僕はやっぱりそういうのを求めたい。
一般のプレイヤーからすれば、どこかの団体に属しているプロであれば、トッププレイヤーだろうが末端のプレイヤーだろうが、その団体を代表する顔だと思う訳じゃないですか。
だから、言動が、ふるまいが大事。で、末端の人がちゃんとできていなかったら、それを指導しない団体が悪い、と思いますね。
そこに対して、自分は末端だからどうのこうので、それで団体に恥をかかせるようなプロには、きちんとプロらしく指導するのがいいと思いますね。
それがひいては、麻雀人口の増加……につながるのではなかろうか。
あんなやつがプロだったらというので、麻雀ファンが離れているというのも正直ありますし、うちで働いていた子にも、たくさん元プロの人がいましたが、その世界に飽き飽きして出ていった人が多いですね。
やっぱりやっていることいろいろ見た時に、幻滅するところ多々あるので……いろいろ耳にすることもあると思いますけど。
記者
まぁ、多少は……。
広川
やっぱり希望の星であってほしいですよね。プロという肩書(を持つ以上は)。
記者
将棋も、むかしは麻雀と同じ博打と思われていた時期もありましたもんね。
広川
いわゆる真剣師とかですね。博徒として、みたいな(同じ)見方されてましたね。
やっぱりそういう部分で行くと……麻雀プロ団体は、黎明期というにはもう過ぎてしまっていて、将棋や囲碁に比べて、確立するスピードが遅いかな。
30年以上見てますんで。ちょっと寂しいなって、思ってます。
記者
貴重なご意見、ありがとうございます。では、次の質問の方へ移ります――
次回は、2月2日更新予定です。