麻雀に関わる人々
第十回:健康麻雀サロン 阿倍野 代表 仲内 豊 氏 ②
前回の記事に引き続き、健康麻雀の講師である 仲内 豊 氏にインタビューを行い、お話を伺った。
仲内氏が代表を務める「健康麻雀サロン 阿倍野」については、以下のリンクから参照してほしい。
*以下本文中、敬称略
*当記事のまとめが、2018年2月10日に発刊される 麻雀新聞2月号 に掲載
記者
ありがとうございます。では、次の質問です。競技麻雀のプロについて、どう思われますか?
仲内
僕らはあんまり付き合いがないんですよね。トーナメントとか大会も出ないし、やってる麻雀も、どちらかというと高齢のかたが対象となってきちゃってるから。
だから、ほかの団体のプロのかたとは接点が少なくなってる。もちろん、話を聞くことはあるんですけど。
プロのかたが、健康麻雀の講師をするのは良いと思います。ただ、pプロを養成する講座じゃない、ということだけは注意しないと。
さもないと、講座をしても誰も来てないよ、っていうことになっちゃう。僕らは、それはもう痛感しましたね。最初の五年間くらいは。
強くなる麻雀を教える、っていう講座もあってはいいんですけどね。
今日初めて牌を見ます、っていう人に、どの話し方ができるかですよ。
健康麻雀を始めて失敗したっていう人たちは、そこですよ、自分たちが当然知っていることは、当然のように話してしまう。
でも、それは、今日初めて麻雀を見る人にたいしてはふつうじゃない。そこに気付かないといけない。
まず麻雀とはなにか、というところから。
僕たちからすれば当たり前の言葉でも、初めて聞く人にしたら、異国の言葉ですから。そんな言葉、次々と言われたら、みんな帰っちゃいます。次、来ない。
記者
なるほど。むしろ、麻雀が強い人ほど抜け落ちそうな視点ですね。
すこし話変わって、……若者の麻雀離れと雀荘の減少については、いかがお考えでしょうか。
仲内
若者の(麻雀離れ)、という言葉は違うと思いますね。全体が、でしょう。若者が離れた訳ではなく、若者が入ってこない。
今やってる健康麻雀でも、男性の場合はむかしやってた人なんですが、女性の人は、むかしやりたかったけどやれなかった、という人が多いんですよ。
面白そう、やりたいなと思っていても、イメージが悪すぎてできなかった。
珍しい例ですけど、「旦那が夜中に麻雀をしに出掛けて行って帰ってこない。でも、あの人がこんな朝まで一生懸命やるゲームって、そんなに面白いんなら、いちど体験してみよう」って人もいる。
麻雀の何が嫌いかっていうと、やっぱり煙草と賭博。その点、健康麻雀はそれらとは無縁ですから。
若者って、麻雀から離れてるんですかね。結構やってると思いますけどね。ネットとかゲームとかで。潜在的には多いはず。
ただ、人と人とのコミュニケーションを取るのが苦手、という人もいまは少なくないし、家で引きこもっていてもできる訳だから。
麻雀をリアルでしたかったら、四人集まって、麻雀店なりどこへなり、外へ出ないといけない。それが苦手な若者が多いんじゃないかな。
四人でするということは、どこかに集まって、時間・行動を合わさないといけない。それが苦手なんでしょう。
記者
若者の質が変わっている、ということですか?
仲内
まぁ、そういうことかなぁ。会社なんかでも、アフターファイブで麻雀しなくなったっていうのは、そこだろうね。
仕事終わった後まで付き合いするのが嫌、自分は自分でやりたい趣味がある、ってふうに。
だから、麻雀やりたい人でも、本当にやりたい人は、ひとりでフリーに行ったり、ネット対戦したりとか、そっちに行っちゃうんだろうね。
減っている、というよりかは、「関わり方が変わった」ってことでしょうね。
若い人でも、たまに健康麻雀に来ますよ。麻雀教えてほしい、って。
ルールはどこで覚えたか聞いたら、みんなネットとかゲームとか。でも、その内、リアルでも一回やってみたくなる、って人がいるみたい。
記者
健康麻雀は高齢のかたをターゲットにしているイメージがあるんですけど、そういう若者もいるんですね。
仲内
僕たちも、最初は高齢のかたをターゲットにするつもりはなかったんですけど、どうしてもそうなってきちゃったっていうか。
カルチャーなんていうのは、ブランド的なものでもあって、ある程度時間とお金の余裕のある人じゃないと来れない。
そうなると、定年して多少の余裕のある方対象になっちゃいますよね。特にカルチャーは平日が多いから。平日昼間に来れる人って限られてきますから。
雀荘の減少……これは明らかに社会的な問題ですね。(会社員同士の)付き合いが少なくなったのもひとつ。それとイメージ(の悪化)。
セット雀荘が盛んだったのは、会社員同士の付き合いがあったから、ニーズとしてあったからでしょう。
ゴルフと麻雀とお酒は営業の三種の神器、みたいな。いまは営業の接待が禁止になっている企業も多いですよね。
だから同時に、ゴルフやお酒の業界も、当時の社会形態に依存して成り立ってたところは、衰退したんだと思います。
記者
ありがとうございます。続いて次の質問に移らせていただきます――
次回は、2月26日更新予定です。