麻雀コラム「麻雀長屋のひとびと」第85回【ボクシング】文・三遊亭楽麻呂
- 2024/12/23
- 未分類
「麻雀コラム」第85回
麻雀大好き落語家の三遊亭楽麻呂師匠が
「麻雀」で現代社会を愉快に叩っ斬る!
「隠居さん、こんにちは」
「オヤ、八っつぁんかい。今日はどうした、タオル片手にスポーティーな格好で」
「ボクシングジムの無料体験会に行ってきました」
「いきなりどういうことだい?」
「この間の井上尚弥選手の試合を観て感動し、ぜひやってみたいと思っちゃいました」
「相変わらず、すぐ人の影響を受ける体質だな」
「大きなお世話です」
「しかし、あの試合はアタシもテレビで観て感激した」
「やっぱりそうですか。アッシなんか自分の姿に重ね合わせてしまいました」
「その時はまだボクシングをやってないだろ」
「ボクシングじゃなくて麻雀の姿です」
「麻雀?」
「たまたま、あの対戦を観る2日前に雀荘で友達と打ってたんですが」
「うん」
「開始早々役満を振り込んじゃったんです」
「それは心が折れるな」
「でも、それから親満、跳満、親の倍満とコツコツ取り返して最後はトップを取ったんです」
「あーそうか。ネリが初回に井上選手からダウンを奪ったけど、井上選手は慌てず辛抱し、最後は勝ったことが自分と同じと言いたいのか?」
「そうです! さすが隠居さん、よくわかりましたね」
「スケールが違いすぎて、比べるだけでも井上選手に失礼だ」
「いいじゃないですか。こっちが勝手に思ってるだけですから」
「いつまでたっても能天気だな」
「しかしすごいですよ。史上2人目の2階級4団体統一王者ですもんね」
「さらにWBCダイヤモンド王座も獲得したんだな」
「もちろん日本人初です」
「アタシも昔からボクシングは好きでよく観ているが、井上選手の強さは尋常じゃない」
「そうですね。隠居さんはどんなボクサーが好きでした?」
「大場政夫、ガッツ石松、具志堅用高……数え上げたらキリがない」
「中で1人と言ったら?」
「やっぱり、永遠のチャンプ・大場政夫だな」
「最後が悲劇的だったって聞いたことがあります」
「23歳で交通事故で亡くなってしまった」
「若すぎる…」
「見事なぐらいのファイターだったな」
「そういえばボクサーには、ファイタータイプとボクサータイプ、そして2つを合わせたタイプと3タイプあるそうですね」
「まあ大雑把に分類してな」
「どう違うんですか?」
「ファイターは攻撃型、ボクサーは守備型とでも言うのかな」
「麻雀と似てますね」
「そうかもしれない」
「アッシは麻雀では典型的なファイターです。できるだけおりずに突っ張って押していきます」
「イケイケドンドンでいいじゃないか」
「そうですね。勝っても負けても派手でいいです」
「隠居さんはどうですか」
「アタシはどちらかというとボクサータイプだ。特に団体戦だとガッチリ守りを固める」
「それぞれタイプがあって面白いや」
「ところでボクシングジムの体験会に行ってみてどうだった?」
「それが褒められまくられました」
「ご新規さんなのでリップサービスじゃないのかい?」
「そんなことはありません。でも初心者の頃、麻雀教室で褒められたのとまったく同じことを言われました」
「何て言われたんだい?」
「あなたのリーチは素晴らしい!」