〇〇と麻雀 第10回 | 麻雀新聞

〇〇と麻雀 第10回

〇〇と麻雀

ごきげんようみなさま。ごっさんです。

今年もいつの間にやら半年が過ぎ、すっかり夏模様ですね。余談ですが、春や秋、冬は「過ぎ去った」と表現することが多いのに、夏だけは「終わった」と形容されるのはなかなかに趣深いものです。うだるような暑さはたまったものじゃありませんが、いつも夏の終わりはどこか寂しいものです。

はてさて、今年は夏の前に東京を中心として燃え盛った案件がありましたね。まだ記憶に新しい方も多いことでしょう。そうです、前舛添要一東京都知事の政治資金不正利用疑惑と辞任劇です。思い返してみると、テレビも新聞も全面的に舛添バッシングへと走り、お昼のワイドショーはこの問題で連日持ちきりでした。

たしかに彼が犯してしまった罪は重大なものですが、彼の生い立ちや家族構成を紹介しつつ何度も叩き続ける光景に、私はどうも違和感を覚えました。そもそもなぜあのような問題が起きてしまったのか、法律や制度自体に問題はないのかといった根本的なテーマを追求していく方が生産的ではないでしょうか。私も、あのロボットのように同じ文言を繰り返す記者会見を見て憤りを感じましたが、連日の報道を見て流石にやりすぎだと感じました。みなさんはいかがでしょうか。

このように、何か重大な事件が発生した際に、その犯人の生い立ちや人間像を持ちだして叩こうとする大衆社会を批判した哲学者がいました。

それが、ハンナ・アーレントです。アーレントは、「あの犯人は自分とはまったく違った人間なのだ」と安心したがる感情が大衆社会の暴走を招くと述べました。彼女は、「悪の陳腐さ」という言葉のもと、人間は誰しも一歩間違えれば悪を犯しかねず、悪はすぐそばにある陳腐なものであると考えました。舛添さんを執拗に叩き続ける大衆社会には、このような構造があるのかもしれません。

さて、麻雀ではどうでしょうか。麻雀は他のボードゲームに比べて複雑なゲームであるため、様々なイカサマが存在します。誰しも、どうも調子が上がらないとき、イカサマの甘美な囁きを聞いたことがあるでしょう。アーレントが言うように、悪事に手を染めてしまう人というのは、我々とまったく違った悪人というわけではなく、一瞬の気の迷いによって後に引くことができなくなった人がほとんどだと思うのです。だからこそ、そのような不正を防ぎ、適切に処置するための制度づくりが重要になることでしょう。ちなみに、私は1000点貰うところを他家のミスで2000点貰ったことに気づかず、次局気づいてシメシメと思っていましたが、3巡目ダマでインパチを食らってこれが天罰かと空を仰いだことがあります。

良く生きたいものですね。

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