2024年(令和6年)10月19日(土)~22日(火)の4日間にわたって「第36回全国健康福祉祭とっとり大会 ねんりんピックはばたけ鳥取2024」(主催:厚生労働省・鳥取県・一般財団法人長寿社会開発センター、共催:スポーツ庁)が開催された。「ねんりんピック」の愛称で親しまれている「全国健康福祉祭」は、スポーツや文化種目の交流大会をはじめ、健康や福祉に関する多彩なイベントを通じ、主に60歳以上の高齢者を中心とする国民の健康保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力ある長寿社会の形成に寄与するため、昭和63年(1988年)から毎年開催されている健康と福祉の総合的祭典。今回のとっとり大会では、高齢期の方をはじめ誰もがのびのびと、そして活き活きとスポーツや文化活動に親しめ、鳥取県の豊かな自然・おいしい空気の中で、各地域から全国へ世代を超えて交流の輪が広がる大会となるように
①いくつになっても活き活きと活動し、心身ともに健康長寿・生涯現役に繋げる大会
②共にふれあい、分かち合うことで、人と人とのきずなを強く感じられる大会
③世代や立場を超えた地域内外の繋がりによって、持続可能な地域共生社会を作り出す大会
④ゆったり、たっぷり、とっとりの魅力を満喫していただける大会
という4つの大会目標を掲げて開催。「咲かせよう 砂丘に長寿と笑みの花」を大会テーマに、全国から鳥取県に参加選手や観客の方々を迎えた。大会は鳥取県内の全19市町を会場に29種目の交流大会が開催された。卓球や弓道など10種目の競技がある「スポーツ交流大会」、サッカーやダンススポーツなど13種目の競技がある「ふれあいスポーツ交流大会」、そして健康マージャンや今大会から正式種目となったeスポーツなど6種目の競技がある「文化交流大会」をメインに大会期間中は鳥取県内各地で数多くの関連イベントが開催され、鳥取県民はもちろん、全国から集まった選手・スタッフ、観光客、延べで50万人を超える方々が参加した。たとえば、鳥取駅前の風紋広場では関連イベントとして、グルメ市やライブイベントが開催され、「ねんりんピック」の選手の方々が楽しまれている姿も見ることができた。今回で正式種目として15回目の開催となる「健康マージャン」種目は、鳥取県八頭郡若桜町での開催となった。大会初日の19日(土)には、本来であれば鳥取県鳥取市『鳥取県立布勢総合運動公園(ヤマタスポーツパーク)陸上競技場』において総合開会式が開催される予定であったが、生憎の雨天のため会場を『鳥取県立布勢総合運動公園(ヤマタスポーツパーク)鳥取県民体育館』に変更し、内容を一部調整して総合開会式が開催された。総合開会式では、残念ながらねんりんピックの名物ともいえる選手団の入場行進は行われなかったが、選手団が呼ばれると各都道府県・政令指定都市を代表して参加した選手が手を振って応えていた。
色とりどりのユニフォームを纏って276 名の選手が健康マージャンで交流する会場は壮観!
その後、主催者あいさつに続き、式典にご臨席された三笠宮家の彬子さまが「多くの方々が健康と福祉に対する理解を深められ、参加者同士の友情を育み、実り多き時間を過ごしていただきますことを祈りつつ、私よりのごあいさつといたします」と激励のお言葉を述べられた。その後、鳥取県選手団代表の4人が選手宣誓にあたる「笑みの花咲く とっとり宣言」を宣誓して大会の幕が上がった。
一夜明けて、いよいよ迎えた「健康マージャン交流大会」(主催:厚生労働省・鳥取県・一般財団法人長寿社会開発センター・ねんりんピックはばたけ鳥取2024実行委員会・若桜町・ねんりんピックはばたけ鳥取2024若桜町実行委員会、共催:スポーツ庁、主管: 鳥取県健康マージャン連盟、後援:一般社団法人日本健康麻将協会・一般社団法人全国麻雀段位審査会・一般社団法人日本スポーツ麻雀協会)は、20日(日)〜21日(月)の2日間にわたって、鳥取県八頭郡若桜町『若桜町立第1町民体育館』にて開催された。今大会には63の都道府県・政令指定都市から69チーム276名の選手が参加。競技は1日目の20日(日)が団体戦、2日目の21日(月)には個人戦が行われた。1日目の20日(日)は競技に先立って開始式が執り行われた。はじめに大会委員長である阿部泰典・鳥取県健康マージャン連盟会長が開会を宣言。続いて国歌斉唱が行われた。次に大会会長である上川元張・若桜町長が大会会長あいさつを行い、山根政彦・若桜町議会議長が歓迎のことばを述べた。その後、来賓である高橋常幸・全国麻雀業組合総連合会理事長、山根政彦・若桜町議会議長が紹介され、続いて協賛商社である大洋技研株式会社の伊藤勝則・代表取締役、株式会社鳳凰の水野修・代表取締役が紹介された。
上川町長の大会会長あいさつ
山根議長の歓迎のことば
次に、ゲストプロの井出洋介プロ(麻将連合顧問)、土田浩翔プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会特別顧問)、梶本琢程プロ(フリー、Mリーグ審判)、間宮夢花プロ(日本プロ麻雀協会)が紹介され、代表して井出プロに上川町長より記念品が贈呈された。その後、競技役員の紹介に続いて特別表彰が行われ、最高齢者賞が男性最高齢選手の蓑谷郁夫選手(96歳、石川県)、女性最高齢選手の烏谷薫選手(90歳、愛媛県) に贈られた。男性最高齢選手の蓑谷さんは、麻雀歴は学生の頃から打っていたというから約80年。なんと2016年(平成28年)に開催された「ねんりんピック長崎」では個人優勝を果たしている実力者だ。「麻雀はいろいろ変化していくところや、腕もあるけど運にも左右されるところが面白い。元気の秘訣はくよくよしないこと」と話してくれた。女性最高齢選手の烏谷さんは、麻雀歴は40年以上。ボケ防止のため週2回のペースで麻雀を打っているそう。「麻雀は生きがい。優勝したい!」と力強く語ってくれた。次に高齢者賞が大滝三二選手(96歳、新潟市)、藤本進選手(95歳、大阪市)、渡部良信選手(89歳、大分県)の男性3選手、五十嵐岑子選手(87歳、福岡県)、横道香代選手(85歳、京都市)、大内ヤス子選手(85歳、さいたま市)の女性3選手に贈られた。また、若桜町特別賞が、若桜町のキャラクター若鬼くんと誕生日が一緒の金子哲夫選手(栃木県)に贈られ、「若桜鉄道グッズ」が贈呈された。その後、審判長である望月雅継・一般社団法人全国麻雀段位審査会副委員長が競技規定および競技上の注意事項の説明を行い、続いて選手を代表して鳥取県選手団の浅井由貴子選手・山野紀雄選手が選手宣誓を行い、いよいよ団体戦の競技に入った。
浅井選手・山野選手の選手宣誓
ゲストプロの方々。左から土田プロ、間宮プロ、梶本プロ、井出プロ
最高齢者賞の蓑谷選手(左)、烏谷選手(右)、中央はプレゼンターの上川町長
団体戦は各チームの選手4人が4ブロック(夏イチゴブロック・甘酒ブロック・おやきブロック・えごま油ブロック)に分かれて4回戦を戦い、チームの総合得点で順位を決定する方式(順位の決定にあたってポイントが同点の場合は、チームの年齢の合計が高いチームを上位とする)となっている。大会会場には、競技スペースのほかに、地元の物産や観光などを紹介する「特産品販売コーナー」や、健康づくりの指導・相談・ヘルスチェックができる「健康づくりコーナー」、「麻雀グッズコーナー」などが設けられた。また、大会と並行して、4名のゲストプロと観覧参加者が一緒に対局できる「お楽しみ対局」コーナーも開催。ゲストプロとの楽しい交流にコーナーは大いに盛り上がった。
「お楽しみ対局」コーナーのようす
競技の方ではなんと1回戦から最高齢選手として表彰を受けられた蓑谷郁夫選手(96歳、石川県)と烏谷薫選手(90歳、愛媛県)が同卓となり直接対決が実現。注目の戦いに記者やテレビクルーが続々と卓に駆けつけていた。そんななかで、1回戦開始早々に今大会最初の役満・四暗刻が早くも飛び出す。見事役満を成就したのは野田耕嗣選手(名古屋市)だった。なんと野田選手はこの大会期間中にもう一度四暗刻を成就するという快挙を達成した。そしてなんと佐藤和由選手(岩手県)も大会期間中に2度の役満成就を達成。こちらも四暗刻を2回だった。この他にも多くの役満が飛び出し、役満成就者にはゲストプロ4人のサインが入った色紙が贈られた。前半の2回戦終了後は昼食タイム。昼食休憩中には、最高齢選手で石川県代表の蓑谷選手がステージ上に登壇し、先の能登半島地震の被災地である石川県への全国からの温かい支援に対してお礼を述べるという感動的な一幕もあった。また、昼食休憩中には、ゲストプロ4人との写真撮影会が行われた。2日目の朝にも行われたこの撮影会には多くのチームが列を作り、憧れの麻雀プロとの撮影に多くの笑顔がこぼれていた。その後、団体戦後半の2回戦が行われ、初日の競技はつつがなく終了となった。2日目の21日(月)は、前日に行われた団体戦の表彰からスタート。望月審判長により団体戦の成績発表が行われた。
4人全員女性で構成された岡山県チームの昼食風景
左から2度も役満を成就した野田選手・佐藤選手
最高齢者賞同士の対決にはテレビクルーも注目!
見事団体戦の優勝に輝いたのは『岡山ロイヤルズ【岡山市】』(佐野裕・桧垣淳子・松本知之・國竹恒男)だった。優勝の『岡山ロイヤルズ【岡山市】』には、プレゼンターの上川町長・大会副会長の盛田恭司・若桜町教育委員会教育長・大会参与である中庸雄・一般社団法人全国麻雀段位審査会副会長・大会副委員長である荒木亥之介・鳥取県健康マージャン連盟副会長より賞状・トロフィー・金メダルが授与された。準優勝は『しゃちほこ【名古屋市】』(荒川育弘・土平研・廣瀬里実・野田耕嗣)、第3位は『すだち【徳島県】』(新谷幸雄・丸山誠二・湯口二三一・橋本浩伸)となった。【団体戦上位入賞チーム】①『岡山ロイヤルズ【岡山市】』②『しゃちほこ【名古屋市】』③『すだち【徳島県】』④『マリンブルー【横浜市】』⑤『東京都B【東京都】』⑥『卓上の紳士淑女【秋田県】』⑦『神戸市【神戸市】』⑧『北海道地区麻雀段位審査会【札幌市】』表彰終了後には個人戦の競技がスタート。個人戦は各チームの選手4人が4ブロック(夏イチゴブロック・甘酒ブロック・おやきブロック・えごま油ブロック)に分かれて競技を行い、全4回戦の総合ポイントでブロックごとに順位を競う(順位の決定にあたってポイントが同点の場合は、年齢の高い選手を上位とする)。よって各ブロック間に成績の上下関係はないこととなる。もちろん2日目もゲストプロとのお楽しみ対局も開催。対局コーナーには多くの参加者・観覧者が駆けつけていた。なんとこのお楽しみ対局では、梶本プロが国士無双を成就するサプライズもあった。会場を見回すと、ボランティアスタッフのピンク色のスタッフジャンパーにゲストプロ全員のサインが書かれている女性スタッフを見つけたので、もしやこれは麻雀ファンかと声をかけるとまさにビンゴ。詳しくお話を伺うと、佐々木あゆみさんは普段は鳥取県の県職員で、県庁で30人くらいの麻雀サークルを立ち上げて年2回県庁ナンバーワン雀士を決める大会を開催するなど、日々仲間と麻雀を楽しんでいるという生粋の麻雀ファン。昨年のリハーサル大会には選手として参加し、今回のボランティアに応募したのだそうだ。今回の大会を体験してみて「こんなに麻雀が好きな人たちが一堂に集まるなんてとても感動しました」と話してくれた。Mリーグは渋谷ABEMAS推しで選手は白鳥翔プロの大ファンだそう。実は麻雀プロにも興味があるということでいつかプロ試験を受けるかもしれないということだ。個人戦2回戦終了後の昼食休憩では、参加者・役員・スタッフみんなで筋力アップ体操『がんばる体操』で身体と頭をリフレッシュ。なんとステージ上には若桜町のスタッフとともに上川町長も登壇。みんなと一緒に体操を行った。なんと後からスタッフに聞いたところによると、町長のお名前が「元張(もとはる)」で「がんばる」と読めるので通称「がんばるさん」とも呼ばれているそう。そしてそこからとって『がんばる体操』なんだそうだ。見ていると誰よりも会場中を回って多くの方に声をかけてまわり、職員と一緒にステージで楽しそうに体操までしてくれる。そんな気さくな町長とこの若桜町がとても好きになった。
ボランティアスタッフの佐々木さん
町長も一緒に「がんばる体操」
そしてついに個人戦の後半2回戦も終了。2日間にわたった競技もすべて終了となった。その後、成績集計の時間を使って、ゲストプロの皆さんによる「何切る問題と解説」が行われた。大会プログラムに掲載されている各プロ出題の「何切る問題」を参加者の皆さんと一緒に検討。自分の解答と照らし合わせて熱心に聞き入り、ゲストプロの方々の愉快な意見も飛び出したりして会場は大いに盛り上がった。そして個人戦の成績発表・表彰式がスタート。
国士無双を成就した梶本プロ
各ブロックの優勝者は、『夏イチゴブロック』増田次郎選手(堺市)、『甘酒ブロック』辻嘉文選手(福井県)、『おやきブロック』内山雅美選手(浜松市)、『えごま油ブロック』野田耕嗣選手(名古屋市)だった。各ブロックの優勝者には、プレゼンターの上川町長より賞状と金メダルが授与された。各ブロックの準優勝は、『夏イチゴブロック』髙津靖史選手(滋賀県)、『甘酒ブロック』櫻井勝選手(千葉県)、『おやきブロック』村井博哉選手(東京都)、『えごま油ブロック』作田光雄選手(仙台市)、各ブロックの第3位は、『夏イチゴブロック』下崎恂選手(鳥取県E)、『甘酒ブロック』北岡悳選手(東京都)、『おやきブロック』佐野裕選手(岡山市)、『えごま油ブロック』清水ひとみ選手(兵庫県)となった。
【個人戦上位入賞者】
《夏イチゴブロック》①増田次郎(堺市)②髙津靖史(滋賀県)③下崎恂(鳥取県E)④土平研(名古屋市)⑤盛澤重吉(川崎市)⑥西中川幹弘(鹿児島県)⑦西川恵之祐(大阪市)⑧溝上正己(佐賀県)
《甘酒ブロック》①辻嘉文(福井県)②櫻井勝(千葉県)③北岡悳(東京都)④長濱健治(静岡県)⑤譽田敦弘(和歌山県)⑥榎本達也(神戸市)⑦橋本浩伸(徳島県)⑧乾忠義(京都市)
《おやきブロック》①内山雅美(浜松市)②村井博哉(東京都)③佐野裕(岡山市)④千田智子(川崎市)⑤木谷健一(島根県)⑥萩原正明(大阪市)⑦山崎博典(愛媛県)⑧深山勢都子(北海道)
《えごま油ブロック》①野田耕嗣(名古屋市)②作田光雄(仙台市)③清水ひとみ(兵庫県)④大内ヤス子(さいたま市)⑤髙橋昭二(岩手県)⑥吉野真佐夫(広島県)⑦髙橋孝明(岐阜県)⑧伊藤寛(横浜市)
個人戦各ブロックの優勝者 |
団体戦優勝の「岡山ロイヤルズ」(岡山市) |
団体戦準優勝の「しゃちほこ」(名古屋市) |
個人戦各ブロックの準優勝者 |
個人戦各ブロックの第3 位 |
団体戦3位の「すだち」(徳島県) |
表彰式に続いて行われた閉会式では、競技団体を代表して、大会顧問である山岸次雄・一般社団法人全国麻雀段位審査会会長があいさつを行った。続いて本大会を閉会するにあたって、主催者を代表して大会会長である上川元張・若桜町長がお礼のあいさつを行った。
その後、ねんりんピックの来年の開催地である岐阜県の選手・関係者が次期開催県あいさつを行い、ねんりんの輪がしっかりとリレーされた。そして最後に大会副委員長である澤田勝・鳥取県健康マージャン連盟副会長が閉会を宣言し、大会は幕を閉じた。その後、役員・スタッフが会場をあとにする選手の皆さんを最後のひとりまで拍手やあたたかいかけ声で見送り、「ねんりんピックはばたけ鳥取2024」健康マージャン交流大会はつつがなく終了した。
山岸・全段審会長のあいさつ
次期開催地岐阜県のあいさつ