「麻雀コラム」第84回
麻雀大好き落語家の三遊亭楽麻呂師匠が「麻雀」で現代社会を愉快に叩っ斬る!
「隠居さん、こんにちは」
「おや、八っつぁん、こんにちは。今日も麻雀帰りかい?」
「その通り! 休みの日だったんで、麻雀を終えた後に隠居さんにご機嫌伺いというわけで」
「そうかい、よく来てくれた。しかしいつもの休日より少し早いご帰還じゃないか?」
「そうですね。今日は夕方になるまでに終了しました」
「珍しいな。普段はだいたい夜までやるだろ」
「ええ、今日は子どもの麻雀教室だったんです」
「子ども?」
「そうです。このところ月に1回、午後のひと時に開催されているんです」
「ほー、子どもというと高校生くらいかい?」
「何を言ってるんですか、子どもも子ども、小学校の低学年の子たちです」
「低学年? そんな小さい子たちだけで?」
「もちろん年齢の上の人もいるにはいます。最高齢の人はみんなから《長老》というあだ名で呼ばれています」
「やっぱり年上もいないとな。で《長老》という人は何歳だい?」
「12歳です」
「おいおい、それでも子どもじゃないか?」
「そうなんですけど、年長でキャリアもあるので皆からそう呼ばれて一目置かれています」
「それにしても子どもが麻雀とは驚いた」
「今どきそんなこと言ってるようじゃ、隠居さん遅れてますよ」
「そんなもんかい。最近の子どもはなぜ麻雀をやるようになったんだ」
「まずは漫画の影響が大きいかもしれません」
「なるほど。人気漫画があるんだな」
「そうです。ちょっと前だと女子高生が麻雀をする『咲-Saki』なんてのがありました」
「へー、面白そうだな」
「そうですね。また最近では少女漫画誌で『ぽんのみち』が始まり、テレビアニメになってすごい人気です」
「かなり盛り上がっているんだな」
「それからネットでの麻雀ゲームやMリーグも子どもの麻雀人気に大きく貢献しています」
「素晴らしい時代だ」
「なかには、麻雀をやっているところをYouTubeで定期的に自分で配信している子までいます」
「いやーわれわれにはついていけないな」
「そんな老けこんだ発言をしちゃいけません」
「そりゃ失礼」
「このブームの裏には親の後押しもあると思います」
「親御さんが薦めてるのかい?」
「そうです。なんといっても麻雀のいいところは《考える》ということですから」
「まずはルールを覚える、点数の数え方を覚える、役を覚える、勝つための状況判断を身につけるなどいいことずくめです」
「忍耐力や洞察力も養われそうだな」
「そうですね。教育的効果抜群です。だから、このごろの親御さんは麻雀を頭脳スポーツという位置付けで見ています」
「そうなると、いずれは学校の授業でもカリキュラムのひとつとして取り入れてもらいたいな」
「本当です。そうすればどんどん子どもたちの脳が活性されると思います」
「ともかく八っつぁんが行っている会場は時代の流れをとらえて、月に1回子どものための麻雀教室を開いているってわけだな」
「そういうことです」
「で、そこには毎月毎月八っつぁんも参加しているんだな」
「そうです」
「そして、子どもたちに麻雀の強くなる方法なんかを教えてるわけだ?」
「いえ、アッシが子どもたちに教えてもらってるんです」